「見つめ直す! 目の健康」④ ~目にやさしい生活とは~

23/10/12まで

健康ライフ

放送日:2023/06/22

#医療・健康#カラダのハナシ

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【出演者】
山田:山田昌和さん(杏林大学 医学部 教授)
聞き手:福島佑理 キャスター

目にやさしい生活環境を、意識して作ろう

――現代人の目には、どんな変化が起きているのでしょうか。

山田:
1つは、子どもも大人も「近視」が増えていることです。文部科学省の調査によると、裸眼視力が0.3未満の小学生の割合は8.7%で、40年前に比べて約3倍に増えています。また以前は、20歳を過ぎれば近視は進まないといわれていましたが、最近は20代、30代でも近視が進行する場合があります。やはり、デジタル機器の影響が大きいようです。
もう1つは、幅広い年代で「眼精疲労」や「ドライアイ」が増えていることです。特に20代から60代の、就労している方が多い年齢では、ほとんどの方が仕事でパソコン、プライベートでスマートフォンを使っています。デジタル機器の使い過ぎで、目は休まる暇がありません。

――私たちが、意識して目にやさしい生活や環境を作らないといけないですね。その、目にやさしい環境づくりということですが、どんな環境なんでしょうか。

山田:
テレビやパソコンのモニター画面は、目に強い刺激を与えて、負担を強いている可能性があります。パソコンのディスプレーは明るさを控えめにして、目から40㎝以上離し、また、少し見下ろすような位置で、伏し目がちにディスプレーを見るようにするとよいでしょう。
意識的なまばたきを心がけることも、ドライアイ予防に重要です。
部屋の環境も大切で、エアコンの風が直接当たらないようにする、加湿器を使う、などの工夫が必要です。

目の疲れを感じたときは

――目の疲れを感じたときは、どうすればいいんでしょうか。

山田:
目の疲れを感じたときは、休憩タイムのサイン。手を止めて、目を休めましょう。
まずは目を閉じること。視覚情報がオフになって、目も脳も休むことができますし、目を閉じている間は乾燥からも守られます。1時間に1回、10分、無理なら4~5分は目を休めましょう。このときはスマートフォンも見ないこと。目を閉じて、完全に目を休ませることが大事です。
あるいは遠くをボーッと眺めることで、目の筋肉が緩んでリラックスしますので、そうしていただいても結構です。

――そのほかには、どんな方法がありますか。

山田:
疲れ目には、まぶたを温めるのが効果的です。市販の、目の疲れ対策グッズを利用する、それがない場合には、蒸しタオルを目の上にのせても結構です。温度は、温かいと感じる程度でいいと思います。
蒸しタオルの作り方は、水で湿らせたタオルをラップに包み、電子レンジで温めるか、熱めのお湯につけて絞ります。
ただ、目の周りは敏感な所ですので、熱すぎないように注意してください。
それから、睡眠も大切です。睡眠は目と脳を休ませて、疲れを取ることができる一番の方法です。

目の健康によい食べ物は

――次に、目にいい食べ物にはどんなものがありますか。

山田:
基本は、バランスのよい食事ということになります。ビタミン類では、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどが目によいとされています。

――ブルーベリーも、目にいいと聞いたことがありますけれども。

山田:
ブルーベリーが目によいと言われるのは、ポリフェノールの一種である「アントシアニン」を多く含んでいるからです。ブルーベリーは目の調節力を改善して、疲れ目の予防や改善に有効とされています。

――食べ方などで気をつけたほうがいいことはありますか。

山田:
通常は、バランスのよい食事であれば、糖質、たんぱく質、脂質、ビタミン類のほとんどは十分な量を摂取できているものです。好き嫌いがある場合や心配な場合には、サプリメントの摂取を考えてみてはどうでしょう。
ただし、ベータカロテン(カロチン)サプリメントを喫煙者が摂取すると、肺がんのリスクが高まるとされていますし、高用量のビタミンEサプリメントを摂取することは、脳出血や前立腺がんのリスクを高める可能性があります。とり過ぎには注意してください。

――このほかに、目の健康にとっていい食べ物はあるんでしょうか。

山田:
いわゆる青魚、サバやイワシ、サンマやアジなどで、これらの魚には「オメガ3(スリー)脂肪酸」と呼ばれる質のよい脂があります。オメガ3脂肪酸には「DHA」や「EPA」が代表的ですが、人の体の中で作ることができませんので、食品からの摂取が必要です。目にとっては、加齢黄斑変性の予防に有効とされているほか、ドライアイにも効果的である可能性が示されています。

――では最後に、きょうのポイントをお願いします。

山田:
目にやさしい生活習慣、食生活を心がけましょう。


【放送】
2023/06/22 「マイあさ!」

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