【出演者】
山田:山田昌和さん(杏林大学 医学部 教授)
聞き手:福島佑理 キャスター
目が乾きやすい要因 3つの「コン」
――改めて、「ドライアイ」とはどんな病気なんでしょうか。
山田:
「ドライアイ」は涙の病気で、涙の量が不足したり、質の低下などが原因で起こります。涙は、ふだんから目の乾燥や異物の侵入から守ってくれる、とっても大切なものです。
――私も、日頃パソコンやスマートフォンを使っていると、目が乾くことや目が疲れるといった不快な症状があります。ドライアイの自覚症状には、どんなものがあるんでしょうか。
山田:
ドライアイの症状はさまざまですが、目がゴロゴロする、目が乾いた感じがする、ものがかすんで見える、目が疲れやすい、などの症状が代表的です。中には、目を開けられない、頭痛や吐き気がするなど、ちょっと変わった症状を訴える患者さんもいらっしゃいます。
――ドライアイとは、目がどのような状態になっているんでしょうか。
山田:
目の表面は粘膜であり、常にぬれている必要があり、涙がその役割を担っています。まばたきをすると、目を開けるときに涙の薄い膜ができて目の表面を覆うのですが、そのうちに乾燥した部分が出てきます。
涙の量が少ない、まばたきが少ない、などの原因で、目が乾燥して細かい傷がつくようになります。
――ドライアイになる原因は何でしょうか。
山田:
さまざまな要因がありますが、現代病としてのドライアイでは3つの「コン」が乾きやすい要因になります。
――3つの「コン」とは何でしょうか。
山田:
■ パソコン
■ コンタクトレンズ
■ エアコン
1つ目の「パソコン」は、画面を見ているときにはまばたきが極端に少なくなり、目の乾燥が生じやすいのです。
2つ目の「コンタクトレンズ」は、ハードレンズもソフトレンズも、涙が蒸発したり不安定な状態になったりして、目が乾きやすくなります。
3つ目の「エアコン」は風。風は目を乾かしますので、目の保湿を意識した生活の環境づくりが大切になります。
――パソコン、コンタクトレンズ、エアコン。職場でも自宅でも、身近なものが目に負担をかけているということなんですね。
体全体やメンタル面などにも影響を与えるVDT症候群
山田:
パソコンやスマホなどの使い過ぎは、ドライアイのように目だけではなく、体全体やメンタル面などに広く影響を与えると考えられています。これを「VDT症候群」と呼びます。
――VDT症候群、ですか。どういったものなんでしょう。教えていただけますか。
山田:
VDTとは「Visual Display Terminals」の略で、パソコンやスマートフォン、タブレット端末などのディスプレーのことです。生活の中にさまざまなデジタル機器が普及して、その機器を長時間使うことによって起こる病気です。
――どのような不調が現れるんでしょうか。
山田:
体の症状として、首や肩のこり、腕の痛み、腰のだるさ、そして頭痛、食欲不振、うつ状態、睡眠障害などがあります。症状はさまざまですが、首や肩のこり、痛みや頭痛などは目の疲労と関係していることが多いようです。
――このような症状に気付いたら、何科を受診したらいいんでしょうか。
山田:
まずは、お勤めの企業の産業医にご相談いただくのが一番です。
あるいは、主な症状によって、目の場合は眼科、首・肩の痛み、腰痛などでは整形外科、頭痛・不眠などではメンタルクリニックがよいと思います。
――今回は、ドライアイとVDT症候群についてお話を伺っています。自分で行える、予防する方法を教えてください。
山田:
まずは、目を休めることです。1時間に1回、10分、無理ならせめて4~5分でも結構ですから、目を休めることです。
次に、作業中はまばたきを心がけること。
また、目の乾きを感じたら、ドライアイ用、またはコンタクトレンズ用の目薬も有効です。
ディスプレーの向きや、画面の明るさにも気をつけてください。
――ディスプレーの明るさ、ということですが、どれくらいの明るさがいいんでしょうか。
山田:
明るさが強い画面は負担がかかりますので、周囲の明るさとバランスをとることが大切です。
――最後に、きょうのポイントをお願いします。
山田:
ドライアイとVDT症候群、デジタル機器の普及に伴って増加しています。予防していきましょう。
【放送】
2023/06/20 「マイあさ!」
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