「皮膚トラブルに注意!」① ~マスクの肌トラブル~

23/09/25まで

健康ライフ

放送日:2023/05/29

#医療・健康#カラダのハナシ

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23/09/25まで

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【出演者】
猪又:猪又直子さん(昭和大学 医学部 皮膚科学講座 主任教授)
聞き手:福島佑理 キャスター

マスクでの肌トラブル、原因は

――感染症などの予防で、マスクを着けている方もいらっしゃると思います。また、病院や高齢者施設など、マスクの着用が求められる場面もありますよね。どのような肌トラブルの症状が見られるんでしょうか。

猪又:
症状としては、マスクと皮膚がこすれて赤くなったり、かゆくなったりします。マスクの刺激によるしわやしみ、そしてかぶれ、マスクで覆われている部分のニキビ、また、唇がただれたり、などの症状もあります。

――私も、マスクを着けている部分がブワーッと肌荒れしてしまったことがあるんですけれども、何が原因なんでしょうか。

猪又:
マスクでの肌トラブルの主な原因の1つは、摩擦による刺激の影響です。マスクが肌に直接触れる部位は、刺激から肌荒れやかぶれを起こしやすくなり、刺激性の「接触皮膚炎」を起こします。
繰り返しこすれているうちに赤くなってただれたりしてしまいますが、これはアレルギーに関係することと、アレルギーに関係しない場合がありますが、主には刺激性で起こるというふうに考えられています。

――ほかにはどういったことが考えられますか。

猪又:
蒸れによる影響です。マスクによって蒸れてしまうと、角質が柔らかくなってしまい、バリア機能が低下してしまいます。また、マスクの内側は吐く息で蒸れて、高温多湿になり、ニキビを引き起こす「アクネ菌」などの細菌や雑菌が繁殖しやすくなって、赤みやかぶれ、ニキビの原因になってしまいます。

――蒸れによる影響ということですね。ほかにはどういったことがありますか。

猪又:
マスクによって皮膚の脂、皮脂が奪われてしまい、また、マスクを着けている間は吐く息がこもっているので、肌が潤っているように感じるかもしれませんが、マスクを外すと一気に内側の水分が蒸発して、肌の水分まで同時に奪い、逆に乾燥を引き起こしてしまいます。肌が乾燥するとバリア機能が正常に働かなくなり、皮膚トラブルを招いてしまいます。

マスクでの肌トラブル、対策は

――では、どんな対策をしたらいいんでしょうか。

猪又:
肌に優しく、通気性のよいマスクを選びましょう。肌触りの滑らかなものを選ぶとよいと思います。
「不織布マスク」は感染防御の点からとても優れているといわれますが、長時間の着用で皮膚炎を起こしやすいものです。ですので、その下には綿の布製の「インナー(マスク用のシート)」を入れるか、ずれてしまうようでしたら布製の「インナーマスク」を内側にして、2重にしてつけるといいと思います。
医療機関などで使われているマスクは、長時間使用するため天然ゴムの成分を含まないものが多いので、医療機関で売っている「医療用マスク」などを使うというのもおすすめです。

――肌に優しいものを選ぶ、というのがいいんですね。ほかにはどういったポイントがありますか。

猪又:
蒸れによるマスク内の雑菌の増殖を防ぐために、清潔なタオルで汗をこまめに拭き取ることも大切です。汗と一緒に分泌される皮脂がアクネ菌の餌となって、ニキビの発生につながります。
汗を吸い取る場合は、こすらないように軽く押し当ててください。

――汗をこまめに拭き取って、マスク内の衛生環境を保つ。まだありますか。

猪又:
「スキンケア」で十分に保湿することも大切です。症状が特に気になる方は、入浴や就寝前まで待たずに、肌のバリア機能をきちんと働かせるよう心がけることが大切です。きれいに洗浄して、十分な保湿が重要なんです。
帰宅後はすぐに手を洗い、清潔な手で洗顔料をしっかり泡立てて、軽ーくこすって顔を洗います。肌をゴシゴシするのではなくて、手ではなく「泡」で優しく洗うことが大切です。
洗顔後はすぐに、化粧水や乳液、クリームなどで保湿してください。
熱いお湯は肌に必要な皮脂を落としてしまい、刺激になってしまいますので、38度程度のぬるま湯が好ましいといわれています。

――スキンケアで十分に保湿する、ということですね。さらに気をつけたほうがいいことはありますか。

猪又:
長時間、マスクを着用するときは、新しいマスクに交換することも肌荒れの予防になります。マスク内は細菌・雑菌が繁殖しやすいので、こまめにマスクを取り替えて、清潔に保つことが大切です。マスクによる肌荒れは、対処方法で症状が緩和するケースがあります。肌荒れの原因を少しでも軽減するように、対策を試みてください。

――それでも肌荒れが治らない場合は、どんな治療法があるんでしょうか。

猪又:
炎症を抑えるような「抗炎症薬」の軟こうを塗ったり、それ以外にも治療方法があります。
十分なスキンケアをしたり、適切なマスクを着けて交換もしっかりしているのに、治らない場合には皮膚科を受診するようにしてください。

――では最後に、きょうのポイントをお願いします。

猪又:
適切なマスクを選んで、マスク内の清潔を常に意識しましょう。


【放送】
2023/05/29 「マイあさ!」

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23/09/25まで

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