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21/01/04まで

コラムニスト・時代劇研究家のペリー荻野さんが、時代劇的視点で歴史上の人物とその人物を楽しむための“おさんぽ”プランをご案内。今回は、毎年年末をにぎわせる時代劇のヒーロー。「忠臣蔵」といえばこの人、大石内蔵助(おおいし くらのすけ)です。


3月に討ち入り希望もかなわず… 悲しい懐事情

ペリーさん: 史実としてすごいのは、やっぱり討ち入りを果たしたことかな。これが一番大事というか。
でも最近、いろんな説や見方が出てきていて。映画『決算! 忠臣蔵』というのがありますけれども、これは大石内蔵助と関係者が残した決算書を基にして描かれた映画です。討ち入りの総予算が9500万円くらいだったと。討ち入りの相場って分からないけど、9500万円はちょっと足りない気もするってことで。大石としては「3月に浅野内匠頭(あさの たくみのかみ)の命日があるから討ち入りたい」って宣言したら、会計係の家臣に「3月までもちまへんで」って。岡村隆史さんが言っていたんですけど……。そう言われて「お金ないし、12月に討ち入りますか」みたいなことがバタバタ決まったみたいに描かれていて。でも、史実的には本当にお金がなくて。予算内でなんとか討ち入りしたっていうようなことが出てくるのは、ちょっとおもしろいなと思いますね。

――3月に討ち入りしていたら、年末時代劇はどうなっていたんだろうという懸念がありますね。

ペリーさん: 本当にねー。「4月スタートのドラマがあるんで早くしてください」みたいな感じで、全然イメージが違っていたでしょうね。

どっしりした千恵蔵、剣豪の三船、ユーモアとシリアスが同居した五代目勘九郎

――これまで時代劇には、どんな大石内蔵助が登場したでしょうか。思い出の内蔵助を3人お願いします。

ペリーさん: これは長谷川一夫さん、江守徹さん、緒形拳さんがいいっていう、ラジオを聞いている方もいらっしゃると思います。ビートたけしさんまでやってますからね。だから選ぶのは大変だったんですけど……。
あえて選ぶとすれば、昭和34年に公開された東映のオールスターキャスト映画『忠臣蔵 櫻花の巻(おうかのまき)・菊花の巻(きっかのまき)』。
これは片岡千恵蔵さんが大石内蔵助をやったんですけど、どっしりした感じで本当に「これぞ忠臣蔵」という名場面の数々。美空ひばりさんが出たりものすごい豪華で、映画全盛期の華やかな大石内蔵助ですよね。

次に名前を挙げるとすると、昭和46年の民放のテレビドラマ<大忠臣蔵>。さすが「大」が付いてるだけあります。大石内蔵助は三船敏郎さんがやったんです。主題歌は冨田勲先生で、すごい重厚感のあるオープニング曲。民放のドラマでは大豪華版。三船敏郎さんの大石は剣豪でよく刺客に狙われるんですけど、どんどん返り討ちにして。3人をバババッて倒したあとに「峰打ちだ」なんて言うんです。何十人襲いかかっても大丈夫だったんじゃないかって。1人で討ち入っても勝っちゃったんじゃないってくらい、すごい大石内蔵助でしたね。

そして3人目に挙げるとすると、平成11年の大河ドラマ<元禄繚乱>。
当時は五代目中村勘九郎さんで、のちに十八代目中村勘三郎さんになられました。これは大石内蔵助の人柄をすごく重視した作品で、浅野内匠頭を東山紀之さんがやっていたんです。すごい信頼される家老でありながら、ちょっと遊び心があったりね。ユーモアとシリアスが同居した内蔵助で、勘九郎さんならではの遊んでいる感じからキリリと討ち入りする瞬間に顔が変わっていくっていう。あの瞬間は、やっぱりこの方じゃなければ見せられない大石内蔵助だったなという感じがしますね。

――よくぞ宣言どおり、3人にまとめていただきました。

ペリーさん: 悶絶(もんぜつ)しながら選んだ3人です。

「やられたらやり返す」 堺雅人の内蔵助を見てみたい

――今後の大石内蔵助を妄想しましょう。ペリーさん、誰に依頼しましょうか。

ペリーさん: 2020年に質問されたということで、やっぱり「やられたらやり返す」という。この人しかいないということで、堺雅人さん。われもわれも、また敵方が次々出てきますよ。

――皆さん、丸ごとオファーということですね。

ペリーさん: 敵方に四十七人そろっちゃいそうなくらいすごいですけどね。見たい方も多いと思います。ぜひ堺さん、私の声を聞いてください。

――きっと聞いていると思いますよ。

ペリーさん: 楽しみです。

“おさんぽ”は四十七士の墓所がある泉岳寺

――最後に“内蔵助スポット”をご紹介ください。大石内蔵助を身近に感じるには、どこを“さんぽ”すればいいでしょうか。

ペリーさん: やっぱり、大石内蔵助を含む四十七士の墓所がある東京の泉岳寺ですね。ここはドラマや映画で「忠臣蔵」をやるときは俳優さんがお参りに行くということでも有名です。
私も去年行ってきたんですけど、「ここか!」ってことを感じながら「忠臣蔵」を見るのもすごくいいと思いますよ。

――ことしは季節の移り変わりを感じることが少なかったんですけど、大石内蔵助が出てくるととたんに12月感が増しますね。

ペリーさん: できることなら陣太鼓をたたきたいというくらいの気持ちですけどね。季節を感じる雪の中の討ち入り。本当に美しいシーンが多いので、ぜひ皆さんに見ていただきたいです。

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