――体に合った枕というと、オーダーメードで注文するなど高いものかと思っていましたが、玄関マットを使って枕が作れるのですか。
山田さん: | 実は、ほどよい硬さである玄関マットを使った枕で十分なんです。枕の形はとてもシンプルで、頭を乗せても沈み込まず、真っ平らな形であればいいんです。 玄関マットとタオルケットを折り重ねて、簡単にできます。 |
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――玄関マットは、靴を脱いで上がったところに敷いてあるマットですよね。厚手のじゅうたんのような玄関マットがここにあるのですが、作ってみたいと思います。
山田さん: | 玄関マットは裏地がついているので、とてもしっかりしてへたらないのがいいところです。 厚さ1cmぐらい、横幅60cm、縦90cm程度の長方形のものを用意しましょう。毛足が短くて、しっかり硬めで、裏地にも硬い素材が使われているものがいいです。 その玄関マットを、アルファベットの「Z」のように、3つ折りにしてください。 |
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――Zの形に折っていけばいいのですね。
玄関マットを3つ折りにする
山田さん: | そして玄関マットと同じぐらいの大きさに、タオルケットも折り畳みます。これを、先ほど作った玄関マットの上に重ねます。 それを枕にして、首側でタオルケットがめくれるようにしてあおむけに寝てください。 |
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玄関マットの上にタオルケットを重ねる。めくれるほうを首側に
山田さん: | 首下まで、しっかり枕が入っていることを確認してください。 そして前回と同じように、あおむけと横向きで枕の高さが合っているかを確認します。まず、横向きになってみてください。 |
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――左を下にしてみます。
山田さん: | 首の左右の筋肉に、突っ張った感覚はないですか? |
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――ないです。
山田さん: | では次に、あおむけになってみてください。のどに圧迫感はないですか? 呼吸はしやすいですか? |
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――ちょっとあごが下がっていますが、息はしやすいです。
山田さん: | ちょっとだけ微調節しましょう。ご自分の手で、タオルケットの一番上の1枚を持ち上げてはがしましょう。先ほど少しあった首の違和感が、とれたのではないでしょうか。 |
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――確かに。かすかにあったのどの違和感、「あごが引きすぎている」というのがなくなりました。
山田さん: | タオルケット1枚、たった1~2mmでも、のどの感覚は変わるんです。 |
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――ずいぶん繊細なんですね。もう少し高くしたい場合はどうすればいいですか。
山田さん: | もし足りなければ、さらに普通のタオルを1枚乗せてみても結構です。 |
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――これも折り畳んだほうがいいですか。
山田さん: | そうですね。1枚1枚、めくったり増やしたりして微調節をしてください。 |
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――高さが決まったら、完成ですか。
山田さん: | 上向きで高さが決定できましたら、最終チェックがあります。寝返りです。 前回ご紹介したように、両方の腕を胸の前でクロスしましょう。両ひざを立てて、右左、左右と、回転してみてください。 |
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――右に転がってみます。次は左に転がってみます…。腰を中心に回っているような感じがあります。
寝返りを打って高さを調整
山田さん: | これでは高さが合っていないので、タオルケットを2枚ぐらい、抜いてみてください。 |
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――さらに低くするわけですね。
山田さん: | そうです。そしてまた同様に寝返りを打ってみてください。 |
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――先ほどは腰を使って回っている感覚でしたが、今回は自然に回って横向きになれます。
山田さん: | ほとんど肩と腰が同時に寝返りを打てていますね。これを、スムーズな寝返りと呼んでいます。 |
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――たった2枚分ですが、感覚がまったく違います。これが理想の高さなのですね。
玄関マットを使っているので硬さはあると思うのですが、これで1晩寝ても大丈夫ですか。
山田さん: | 自分の好みではない枕は、最初は使い心地が悪いと感じる人もいるかもしれませんが、本当に正しい睡眠姿勢を得るためには、適切な枕に体を慣れさせる必要があります。 もし1~2週間使い続けても、後頭部が圧迫される感じや首が反った感じが残っているとしたら、枕の調節が適切ではなかったと考えられますので、もう1度、調整し直してみましょう。 |
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