放送の前半を聴く
2019年5月7日(火)放送より

放送の後半を聴く
2019年5月7日(火)放送より

【出演者】
三宅キャスター:三宅民夫キャスター
ヒャダインさん(音楽クリエイター)


三宅キャスター: ヒャダインさんがスタジオに来てくださったのは実は今、音楽の世界が大きな転換点を迎えていて、ラジオをお聞きのみなさんに訴えたいことがあるんだそうです。どういうことか教えてください。
ヒャダインさん: まず音楽の聴き方が昨今ものすごく変わりまして、「サブスクリプション」という聞き方になってきてるんですね。定額音楽聴き放題サービスのことを言うんですが、定額で幾ばくかお金を払ったら何千曲、何万曲を聴き放題ですぐ聴けるっていうサービスになってきた。
それによって良いこともたくさんありますし、本当にいろんな曲を聴くこともできるんですが、一方収益。特に若手ミュージシャンにとって音楽でお金を稼ぐ方法がものすごく狭くなってしまったということがありまして、それによって若手ミュージシャンの育成が難しくなっている状況があるということを訴えたいなと思いまして。
三宅キャスター: 音楽というと、かつてはレコード、それからCDになりました。そこがまた大きな変化を今起こしつつあるということですか?
ヒャダインさん: そうですね。もう、モノが必要じゃない。CDだったら例えば1枚3000円とかするんですが、定額だったら1か月で980円とか払ってウン万曲聴くことができるんで、1曲あたりの収益っていうのがめちゃくちゃ少ないんですよね。そういうことによりまして、ミュージシャンに返ってくるお金が本当に少ない。
「お金お金って言うなよ」って思われるかもしれないんですが、お金が無いとミュージシャンも音楽を続けることができないんです。音楽の聴き方が変わることによって、ミュージシャンへのフィードバッグが少なくなることが今大変問題じゃないかと思っております。
三宅キャスター: 聴くほうにとっては安くて便利で良いんでしょうけどね。ミュージシャンの人にどういう影響が出ているのか、このまま行ったらどうなるのか、話していただけますでしょうか。
ヒャダインさん: まず日本ではまだ売り上げが8割ぐらいはCDとなっていて、我々は専門用語で「フィジカル」と言うんですけど、モノがある状態が大体を占めているんです。
サブスクリプションは無料サービスも有料サービスもあるんですが、合計2000万人ぐらいが登録している。1億2000万人中2000万人なので、6分の1ぐらいになっているんですが、音楽の印税の分配方式が、CDベースで考えられているんですね。
CDは1枚3000円で結構単価が高いので、ミュージシャンがその分配でもやっていけるんですが。基本アーティストがもらえるアーティスト印税っていうのは売上の1%。1曲がサブスクリプションで再生されたら、これはあんまり明確には言われていないですが、大体おおよそ1円と言われている。1円の1%は1銭なんです。100万回再生されたところで大したお金にはならない、ということになるんですよ。
僕たち作曲家・作詞家も印税の分配は本当に少なくて。印税がもともとある6%の中の半分ぐらい、1.5%ぐらいしかもらえないんですね。なので、サブスクでドンと売れたところで、もらえるお金は限られていて。

だけど、サブスクはとてもいい部分もありまして、大物ミュージシャンとか持ち歌が多い人たちは、昔の曲は「カタログ」っていうんですが、そのカタログ曲が多いとその分いっぱい聴かれるじゃないですか。となると彼ら彼女たちにとってはものすごく有利な状況で、旧譜によって累積でいっぱい曲数を聴かれるっていうことがあります。
三宅キャスター: そうすると大変な状況に追い込まれてるのは?
ヒャダインさん: 若手なんですよね。若手は曲数もございませんし、その1曲がすごいバズっていっぱい聴かれたとしてもそこまでお金が入らない。
今、考え方として音楽は聴き放題であることが当たり前で、そこで収益を得るんじゃなくて「2次使用料」といわれる、ラジオだったりテレビだったりに関わることによって入る印税、もしくはライブ。サブスクとかでいっぱい聴いてもらって知名度を上げてライブをして、そこで物販を売ったりとか、チケット代だったりとかで収益を得る。アイドルちゃん達だったら、もともとサブスクよりもCD。単価の高いCDに握手券をつけて、それを複数買いしていただいて、それによって収益を得るっていう形をして何とか生き延びていかなきゃいけない。
三宅キャスター: 音楽、特にJポップス等はアジアの垂涎(すいぜん)の的ですし、日本にとっても大事な産業だと思うんですが、このままにしておくと、どういうことになると思います?
ヒャダインさん: 特に売り上げが見込めないけど、音楽性が高いアーティスト。これから育てていったら世界的に活躍する、だけど一朝一夕に売り上げが伸びないアーティストっているんですよね。音楽で食えないので、諦めて他の仕事に就くっていう方々が本当に多い。
レコード会社も音楽不況と言われて久しいので、育成費もそこまでないんです。若手アーティストが1年ぐらい契約して、芽が出なかったらすぐに契約を切るだとかして、育成をするお金がない。なので、音楽的に育たないんですよね。
三宅キャスター: ヒャダインさんとしてはどうしていくべきだと。
ヒャダインさん: まず印税の取り分、旧態依然とした部分が多いので、分配率を変えていただきたいっていう部分もあるんですね。
三宅キャスター: CDだと結構な値段していたので、その部分は印税も良くなるんだけど、それはそうじゃなくなっていくと。
ヒャダインさん: CDを出すのにかかっていた手数料とかをお支払いしていた部分があるんですけど、それと似たような分配率になっているので、そこを変えていただいて。
欧米では「アーティストを育てるのが一番」っていう考え方があります。その分配があるからまだやっていけたり、単純に欧米では登録者数が多いので、逆に最近欧米のレコード会社は過去最高益を出している会社もあったりとかして、CDのときよりも。
日本ではあと3000万人サブスクに登録しないと、とんとんにならないっていう話もあるんです。今登録しているのは有料無料を含めて2000万人なので、プラス3000万人。それでも人口の半分も行っていない。人口の半分以上がサブスクリプションという方式に慣れて、そこで課金していただくことによって、とんとんになる。
プラス、違法ダウンロードへの法整備もちゃんとしていただかないと。無料で聴くことに当たり前になってきてしまっているデジタルネイティブの世代、子どもたちの世代に「音楽はタダで聴けて当たり前でしょ、何でお金払わなきゃいけないの」といった観念が生まれてしまったら、いよいよもってミュージシャンが食べていけなくなるので、そういう違法ダウンロードに対する法整備も必要じゃないかと思っております。
三宅キャスター: 音楽聴く側にとっては非常に便利で安く楽しめる時代になっているんですが、それが音楽家たちの暮らしをおびやかしているという。
ヒャダインさん: ちょっと本末転倒になるところもあるのかなと思っているので、なるべくそうやって首を絞めないような形にしていただきたいなというのがあります。

放送の前半を聴く
2019年5月7日(火)放送より

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2019年5月7日(火)放送より