――疲労臭というのはあまり聞いたことがないのですが、どんなニオイなのですか。
関根さん: | サンプルを用意しましたので、まずは嗅いでみてください。 |
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――ボトルに入っています。ふたを開けますね。これは……、鼻につくような、強烈なニオイですね。虫刺され薬にもありそうな感じです。
関根さん: | 鼻にツーンと来るのが疲労臭、アンモニアの特徴です。 |
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――ニオイの原因は何なのですか。
関根さん: | 原因はストレスです。疲労臭は、加齢臭や中年男性臭とは異なり、血液から皮膚にしみ出してくるニオイなんです。精神的なストレスや肉体的な疲労がたまりますと、血液中のアンモニア濃度が上がることが分かっています。アンモニアが血管からガスとしてしみ出して、におってくることになります。 |
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――どうしてストレスで血液の中のアンモニア濃度が上がってしまうのでしょうか。
関根さん: | そもそもアンモニアは食べ物を消化したときに発生するものですが、アンモニアは体にとって毒物なので分解され、通常は尿として排出されます。 しかし、ストレスの影響でアンモニアを分解する力が弱まったり、分解できないほど多くアンモニアが作られたりすると、血液に乗って全身を巡り、ガスになって皮膚からしみ出すようになってしまうんです。 |
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――精神的なストレスは多くの人が感じながら生活していると思うのですが、どんな人に疲労臭が出やすいのでしょうか。
関根さん: | さまざまな要因があります。疲労臭が出やすいかどうかのチェックリストを作りました。5つ項目がありますので、チェックしてください。 1.お酒をよく飲む 2.肉や魚をよく食べる 3.ふだんあまり運動しない 4.心配性で緊張しやすい 5.夜更かしが多い 3つ以上当てはまる方は要注意です。 「疲労臭の原因は生活習慣の乱れ」といっても過言ではありません。性別や年齢も関係なく、血液中のアンモニア濃度が上がれば誰でもにおってしまいます。しかし一番の原因は、ストレスだと考えられます。 |
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――どの辺りからにおってくるのですか。
関根さん: | 特にどこの部分ということはありません。血液からしみ出しますので、全身からにおうことになります。しかもやっかいなことに、皮膚表面でニオイ成分が作られているわけではありません。ですから、体を洗ってもニオイが消えるわけではないんです。 |
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――洗っても落ちないニオイなのですか。
関根さん: | そのとおりです。疲労臭をなくすためには、ストレスや疲れを残さないことが重要です。それに加えて、肝臓や腸内環境を整えることも疲労臭を和らげるために有効です。先ほどのチェックリストでチェックが多かった方、あるいはふだんからストレスを感じている方は、食べ物で疲労臭を対策することをおすすめしています。 |
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――どんなものを食べればいいのでしょうか。
関根さん: | 腸内環境を整えるために、「ビフィズス菌」の入ったヨーグルトがおすすめです。腸の中でビフィズス菌という「善玉菌」が増えますと、腸の中でアンモニアを作る「悪玉菌」が減ります。そして結果的に、アンモニアの量を減らすことができるんです。 また、ビフィズス菌のエサになる「ラクチュロース」という、牛乳から作られるオリゴ糖があります。実験では、これを食べた人は疲労臭が見事に軽減できました。 |
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