音楽クリエイターのヒャダインさんが、最新の音楽情報を紹介する<ヒャダインの音楽室>。今回は新しい価値観を提供してくれる若手ミュージシャンの曲を紹介します。

今月の注目曲 Ado 「ギラギラ」

Adoさんは現在顔出しをせずに活動している18歳の女性シンガーです。最近、Adoさんと同じように顔出しをせずに活躍しているアーティストがとても多い気がしています。例えばStrawberry Prince、略してすとぷりは今大人気ですね。あとは秋山黄色くん、amazarashiさんのようにちょっと髪で顔を隠したり遠目で撮ったりしてほぼ素顔が見えない状態、全貌を見せないような戦略を打っているアーティストもいらっしゃいます。

私が思ったのは、SNSなどによって匿名の文化がずいぶん染みついてきたことが影響しているのかなと思います。匿名社会に生きている若者にとって顔出さないということは別に違和感ではなくて、なんなら仲良くしているお友達も電話番号も交換せずにLINEのIDだけを交換するので、本名を知らなかったり、何をしている人なのか知らなかったりとかするのが当たり前の世の中になっています。そういったアーティストが受けられるっていう地盤もあるんじゃないでしょうか。

また、若い人たちのジェンダーやLBGTQやルッキズム(外見による差別)とかに対する差別をなくしていこう、そういったものを気にしないでいこうという思いがどんどんどんどん強くなってるのかなと思いまして。そういった点では、顔を出さないアーティストっていうのはとても今の時代になじんでいて、流行の先にいると思っています。

今月の気になる人 ジェイコブ・コリアー

♪『In My Bones』/ジェイコブ・コリア― feat.キンブラ & タンク・アンド・ザ・バンガス

現在26歳のジェイコブ・コリアーはロンドンを拠点に活動するシンガーソングライターです。
彼のサウンドを初めて聴いたとき衝撃を受けまして、今お聴きいただいた『In My Bones』も展開がすさまじかったと思うんですが、マサチューセッツ工科大学で設計・製造された、「一人用視聴覚ライブパフォーマンス手法」の開発に着手されたという科学者的な一面もあるんですね。そして演奏できる楽器がピアノ、キーボード、コントラバス、ベース、ドラム、ハーモナイザー、鍵盤ハーモニカ、ギター、マンドリン、ウクレレ、パーカッション…何でもできるんですよね。

最近つくづく思うのが、そういった若者が増えているんですね。ただ歌える、ただ曲を作れる、ただギターが弾けるだけじゃなくて、「あれもできます」「これもできます」「踊れます」などなど…マルチプレーヤーが本当に増えている気がします。私も同業者になりますので、自分の持ち球がちょっと足りなくなってきてるなと思いまして、新しい能力を何かしら手に入れないといけない、「うかうかしてられないな」と思わせてくれるすばらしいミュージシャンです。


音楽室で待ってます。ヒャダインでした。


【放送】
2021/04/10 マイあさ! 「ヒャダインの音楽室」 ヒャダインさん(音楽クリエイター)