【国語辞典サーフィン】Yesで答えなきゃいけない空気を出されること

24/05/25まで

国語辞典サーフィン

放送日:2024/05/18

#学び#勉強#お笑い

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突然ですが、あなたはいつもどんな服を着ていますか? 会社に行く日はビシッとスーツ。運動するならスポーツウエア。デートに行くならワンピース? ライフスタイルや年齢、職業によっても選ぶ服は変わってきますよね。
では、国語辞典はどうでしょう? 同じ辞書をずっと使っていませんか? 国語辞典なんてどれも同じ! と思ってはいないでしょうか? 実は国語辞典には、それぞれ編者のこだわり、編集方針があって、一つ一つ違うんです。また、言葉の意味以外にもたくさんの情報が詰め込まれていて、さまざまな楽しみ方があるのです。
さあ、国語辞典を開いて、広くて深い言葉の海、言葉の波を乗りこなしましょう!

【出演者】
タツオ:サンキュータツオさん
柘植:柘植恵水アナウンサー


タツオ:
ごきげんよう。国語辞典大好き芸人のサンキュータツオです。

柘植:
アナウンサーの柘植恵水です。

タツオ:
きょうも国語辞典を開いて、言葉の波を楽しみましょう。15分間のマニアックな国語辞典トークにお付き合いください。
恒例の街頭インタビューからスタートです。
街行く人たちにこんな質問を投げかけてみました。もしもあなたが国語辞典ならこの言葉、何と説明しますか? 何について説明しているのか、想像しながらお聴きください。

  • 周囲の空気を読む感じの力。
  • 周りに空気を読ませようとする圧力。
  • 当たり前と思われていることを押し付けてくること。
  • 日本人ぽい、周りに合わせるイメージ。
  • 他人に多数の意見を少数派に押し付けること。少数派に対して多数派が、同じようにするように圧力をかけること。
  • Yesで答えなきゃいけない雰囲気を出されること。

柘植:
ちょっと難しいですね。

タツオ:
正解は「同調圧力」です。

柘植:
最近よく聞くようになってきましたね。

タツオ:
どういう場面で聞きますか?

柘植:
人が集まる会議とか会合とかで起こりやすいのかな?

タツオ:
同調圧力が好きな人、多数派にまわりたい人もいますからね。とにかく何かに怒りたい、押し付けたい、そういった人たちが同調圧力側になっちゃうのかな。
国語辞典さんたちは「同調圧力」という言葉を拾っているかな? もちろん載っていない辞典もありましたが、三省堂国語辞典 第八版では、〈多数派/有力な者〉に合わせるべきだという、見えない圧力。「同調圧力がかかる」とあります。
明鏡国語辞典 第三版には、集団において、少数意見を持つ人に対して、多数派の態度・行動に合わせるよう、暗黙のうちに強制すること。

柘植:
暗黙のうちにって怖いですね。

タツオ:
「少数だからいいだろ? みんなこう言ってるんだから!」ということですよね。多数派の意見が絶対でしょ! と民主主義を勘違いしている人たちも多いので、“多数決と民主主義は違うんだよ”って僕は大学で教えたりするんですけどね。
新明解国語辞典 第八版、集団の中で、常にまわりと同じように考え、振る舞わなければならないと感じ、そのような行動をしないではいられない、逃れがたい雰囲気。「出る杭は打たれるという同調圧力/忖度(そんたく)も自主規制も、その根本には社会の強い同調圧力があると言われる」。けっこう具体的ですが、押し付けられる側からしたら不愉快ですね。
新選国語辞典 第十版では、その場の多数意見に反対できない気配。「同調圧力が強まる」とありますが、辞書によって同調圧力を〈かける側〉〈かけられる側〉の視点の説明になっているのがおもしろいですね。

柘植:
どっち目線かで雰囲気が違いますね。

タツオ:
でも、かける側は「よーし、同調圧力をかけてやろう!」とは思ってないですよね。つまり、受け手は暗黙のうちに感じてしまうということなんです。

柘植:
だから気配とか雰囲気がという言葉が出てくるんですね。

タツオ:
新明解国語辞典で出てきた「忖度」は2017年の流行語です。さらに10年前の2007年は「空気が読めない」の「KY」が流行語になっていました。

柘植:
KYってけっこう前なんですね。

タツオ:
空気が読めないと悪いみたいな感じですが、同調圧力となると、圧力をかける人のほうが無意識にやってる感じですね。時代によっても空気に対する考え方が変わってきている感じがしますね。

柘植:
多様性という言葉が出てきたように、みんなが同じ方向を向いてなくてもいいじゃない! という感じですね。

タツオ:
多様性といっても“過激なダンスショー”はよくないですよ(笑)。

柘植:
そうですね~。

タツオ:
同調圧力を感じているとは思いますが、新年度始まって少し経ちましたが、同調圧力、忖度、有力者、そういったものに振り回されず、ストレスフリーにお過ごしください。

おたより紹介

ニュースなどを聴いていて、ひっかかる言葉の使い方があります。それは「もっとも」の使い方です。「これはもっとも有名な絵画の一つです」「彼はもっとも活躍した選手の一人です」という言い方。「もっとも」はほかに比べて一番、唯一無二、他よりすぐれている という意味だと思っているのですが、用例でいうと「ほかにもナンバー1がある」という意味不明なことになるのではないでしょうか? 長年のもっともモヤモヤしている気分を解決してください。(神奈川県・Tポチさん)

タツオ:
「もっとも」に関して、三省堂国語辞典には、この上なく、いちばん。いちばんというと一つというイメージですよね。用例も「日本でもっとも高い山」とあって、これは富士山ですよね。新選国語辞典にも、第一に。いちばん。とあります。第一(いちばん)がたくさんあったらおかしいと思いますよね。
ただ、このもっともが、単数なのか複数なのかについてはあまり言及されていないんですが、明鏡国語辞典 第三版の使い方の項目に、(1)「最も偉大な作家の一人」など、「最も…」を一つに限らない言い方は、英語などの最上級表現(He is one of the greatest novelists.)の翻訳からきて一般化したもの。また、「最も有効な手段の中の一つ」の「中の」は不要。(2)話し言葉としては、明治・大正期には「一等」が、今では「一番」がよく使われる。「最も」はやや文章語的。とありますが、間違っているとは書いていません。外国からの表現が日本で定着して、みんなが違和感なく使い始めているということで、もはや間違いではないということになっています。
やはり読者が知りたい情報にちゃんとアクセスして、注意書きでも書いてくれるというのも、読み物としておもしろいところですね。意味を知りたいだけじゃないですからね。こういった努力をしている国語辞典もあります。

柘植:
番組では国語辞典にまつわるエピソード、タツオさんへの質問、お遊び企画のお悩み相談も募集しています。NHKラジオ第1の国語辞典サーフィンのホームページから送ってください。また、#国語辞典サーフィンをつけてSNSに感想なども投稿してください。

タツオ:
もっとも反響のある番組の一つにしてもらいたいですね。


タツオ:
国語辞典サーフィンいかがでしたでしょうか? 柘植さん、同調圧力はどうですか?

柘植:
おかげさまでほとんど感じたことがないんです(笑)。でも、する側になっていないか、気をつけなきゃいけませんね。

タツオ:
同調圧力を気にしないで流せるタイプなんですね。僕は同調圧力に全部戦っちゃうタイプです。

柘植:
それはそれでスゴイです! でも、タツオさんの授業で、“多数決と民主主義は違う”という授業を受けてみたいです。

タツオ:
それは知っておかなきゃいけないことなんですよ。
また、国語辞典を開いて言葉の波を一緒に楽しんでいきましょう。

柘植:
お相手は柘植恵水と。

タツオ:
サンキュータツオでした。ごきげんよう。

国語辞典サーフィン

ラジオ第1
毎週土曜 午後0時45分

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【放送】
2024/05/18 「国語辞典サーフィン」

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