11時台を聴く
21/08/01まで

11時台を聴く
21/08/01まで

さくらいたるほくん(小学5年生・福岡県)からの質問に、「心と体」の篠原菊紀先生が答えます。(司会・石井かおるアナウンサー)

【出演者】
篠原先生:篠原菊紀先生(公立諏訪東京理科大学 教授)
小林先生:小林快次先生(北海道大学総合博物館 教授)
成島先生:成島悦雄先生(日本動物園水族館協会 専務理事)
たるほくん:質問者


――お名前を教えてください。

たるほくん: たるほです。

――どんなことを聞きたいですか?

たるほくん: 必要なさそうなんだけど、なんで耳たぶがあるのか、です。

――どうしてそういうふうに思ったんですか?

たるほくん: お父さんが僕の耳たぶをプニプニしてきて、耳たぶがそんなにない人と、すごいプニプニしている人がいるなあと思って。

――人によって厚めだったり薄めだったり大きめだったり小さめだったり、いろいろありますものね。篠原先生に聞いてみましょう。お願いします。

篠原先生: たるほくん、こんにちは。
たるほくん: こんにちは。
篠原先生: ちょっと確認なんだけど、「耳介(じかい)」とか「耳朶(じだ)」ということばは分かりますか?
たるほくん: 分かりません。
篠原先生: うん。耳たぶのことを「耳朶」っていって、耳たぶの上の丸っこいやつを「耳介」っていいます。たるほくんが聞きたいのは、つり下がってプニプニしたもののことだよね。それが、たるほくんから見ると必要なさそうなんだけど、必要ないものがなんであるの、という質問ということで、いいかな?
たるほくん: はい……、
篠原先生: ん?
たるほくん: 人によって耳たぶはそんなにない人とある人がいて、なくても困ってないじゃないですか。それなのになんであるのかなって。
篠原先生: ああ。結論から言うと、人の体って不必要なものが結構あるんだよ。例えばたるほくん、おっぱい、ついてるよね。
たるほくん: うん。でも男だから、ぼく。
篠原先生: 男だけど乳首あるよね。
たるほくん: うん。
篠原先生: あれ、いらないじゃん?
たるほくん: うん。
篠原先生: でも、残ってるじゃん。眉毛も、いらなそうな気がしない?
たるほくん: うん。
篠原先生: 眉毛じたいは何かを保護しているわけじゃなさそうだし、いらなそうな気がするよね。あと「人中(じんちゅう)」って、分かるかな? 鼻の下の溝みたいなところ。あれも「なんであるの? いらないよね」って言われたら、「いらない」って話にはなるよね。

必要だから残ってるものはたくさんあるんだけど、不必要だから消すってわけでもないのね。例えば男の人のおっぱいは、もともと女性も男性も共通した体の構造を持っていてそれが途中から分かれていくものだから、消すほうがめんどうなんだよね。消すのにかかるエネルギーというか手間をなくす「得」が上回らないと、消えないのが普通だと思います。そういうふうに必要なさそうだけど残っているものは結構あって、耳たぶもその1つという言い方ができるかもしれない。
たるほくん: はい。
篠原先生: さっき、たるほくん、耳たぶがある人とあんまりない人がいるって、おもしろいこと言ってたよね。それは本当にそうで、2017年だったかな、ピッツバーグ大学かなんかが「ゲノムワイド関連解析」といって遺伝子を調べて、耳たぶの形に関係する遺伝子が49ぐらい特定されてるの。だからそれによって、耳とか耳たぶの形が作られるの。たるほくんの質問に対するもう1つの答え方としては、耳とか耳たぶの形を作る設計図が確かにあって、設計図があるから作られるんだっていう説明も、できるとは思います。
たるほくん: そうなんですね。
篠原先生: そういう中で、「分離型」といって耳と顔がちょっと離れていて肉づきがいいと、たるほくんが言うところの耳たぶがしっかりついてるみたいな話になって、そうでない人はついていない、と。耳の形の遺伝子はまあまあ調べられていて、立っているとか寝ているとかやや立っているとか、いろいろな違うタイプがロンドン大学の研究かなんかで出ていたりもします。

それから、「耳あか」は分かりますよね。おそうじすると思うんだけど、たるほくんは、乾いた感じ? 湿った感じ?
たるほくん: 乾いてる。
篠原先生: うん。湿ったタイプの人もいるんだけど、それも遺伝子のちょっとした変化で決まるらしいです。

必要ないけどなんで耳たぶがあるの、っていう質問にもう1度戻ると、必要かどうかは分かんないけど、それを作る命令みたいな設計図が存在しているからできちゃうんですよね、っていうのが、1つの回答としてあります。

「必要性」ということでは、いろいろ言われています。例えば「サーモグラフィー」といって顔の温度とかを映像化する機械があるんだけど、そういうので見ると耳とか耳たぶは結構青くなって、それは温度が低いってことなんだよね。熱いものを触ったときに耳たぶをぴゅっと触る人、いるじゃん? あれはある意味正しいんだけれども、そのために耳たぶがあるというのはおかしな話だから、それは理由にならないのかなと思います。

それから耳たぶがプニプニして気持ちいいから残ってるっていうのもへんな話だし、もっともらしい話としては、「ラジエーター説」があります。脳の温度は上がりすぎると困るので、耳たぶっていうのはほとんど脂肪と血管だけでできているので、あそこがラジエーターみたいになって温度を下げるのに役立つというんだけど、ちょっと量的にむりかなって気がするけれどそういう説もあります。

それから耳自体は、「音源定位」といって音がどっちからきているかを聞くには、こういうものがあると結構便利なのね。耳たぶがついてると反響がより強くなって音源定位しやすくなると言う人もいたりして、まあ、どうかなとは思いますけど。だから、必要だから耳たぶが存在するっていうよりは、そういう設計図が存在して、その設計図を消すほどのこともないので、ということだと思います。
ところで、恐竜は耳たぶ、ないですよね、小林先生。
小林先生: ないですね。は虫類と一緒です。成島先生、どうですか?
成島先生: 大型の類人猿、オランウータンとかチンパンジー、ゴリラとかでも、人間の耳たぶほどプニプニしてなかったと思うんですよね。
篠原先生: そうですよね。なんかの加減でできちゃったんですねえ。耳たぶは必要だからできてきたっていうよりも、作る命令みたいなものができて、それで残ってるって考えるのが妥当かなって思っています。

――たるほくん、いいですか?

たるほくん: はい。

――ありがとうございました。また「なぜかな」っていうことが出てきたら質問してくださいね。さよなら~。

たるほくん: ありがとうございました。さよなら~。

【放送】
2021/06/06 子ども科学電話相談 「心と体」 篠原菊紀先生(公立諏訪東京理科大学 教授)

11時台を聴く
21/08/01まで

11時台を聴く
21/08/01まで