10時台を聴く
24/07/07まで

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ゆりくさあささん(小学6年生・愛知県)からの質問に、「科学」の藤田貢崇先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
藤田先生:藤田貢崇先生(法政大学教授)
百野先生:百野直実先生(広島市森林公園こんちゅう館次長)
あささん:質問者


――お名前を教えてください。

あささん:
あさです。

――あささん、どんな質問ですか?

あささん:
アメンボのように人間が水の上に浮くには油がどのくらい必要ですか? 油の付け方やどうやって付けるかは考えないで教えてください。手足以外は油を付けずに浮きたいです。

――おぉ、すごい発想! どういうところからこの疑問が湧いたんですか?

あささん:
うーん……ダイラタンシー現象で人間が死んだりすると硬くなるというのを聞いて、そういえばアメンボは水に油で浮いているなと思って、人間がそうやって浮くにはどうしたらいいのかなと思いました。

――……はい。藤田先生に教えていただこうと思いますが、あささんは前にも質問をしてくれましたね。藤田先生、お願いします。

藤田先生:
はい。ゆりくさあささん、こんにちは。

あささん:
こんにちは。

藤田先生:
前は「ムペンバ効果」の自由研究で、お湯のほうが水よりも早く凍ったのはなぜかという話でしたね。きょうは、アメンボのように水に浮いてみたい。油は手足以外には付けないで、一体それができるかどうかを知りたい、ということでいいですか?

あささん:
はい。

藤田先生:
アメンボはそもそもどうして浮いているのかを、せっかくなので「昆虫」の百野先生にお聞きしてみたいんですけど、先にそれを説明していただいてから、考えていきましょうか。百野先生、お願いします。

百野先生:
はい。きっともう知っていると思うんですけど、アメンボには脚が6本ありますね。その脚の先には、私たちの目では見えないくらい、顕微鏡で見たらわかるくらいの毛がいっぱい生えています。さっき質問で言ってくれたように、その毛に体の中から出てきた油を付けて浮いています。それは知っていましたか?

あささん:
はい。

百野先生:
そういう仕組みで、毛と油の力で水の上に浮いています。藤田先生、よろしいでしょうか。

藤田先生:
ありがとうございます。アメンボが水に浮いているのは、細かい毛がいっぱいあって、そして油が付いていて水をはじいてくれるから浮かぶ、そういう理由ですよね。じゃあ、人間はできるのか、ということですが、アメンボが浮かぶポイントは、細かい毛がたくさんあるというところなんです。細かい毛がたくさんあると何が起こるかというと、水と触れ合う面積がとっても広くなるんです。人間の手のひらにインクを付けて紙に押したら、その面積が決まりますよね。

あささん:
はい。

藤田先生:
これだけの面積で水を押したときに、水の表面で押し返してくれる力が、人間が地球に引かれる重さとちゃんと釣り合ってくれればいいんだけれども、水が人間の重さをはじき返せるかというのが、浮かぶことができるかどうかのポイントになってくるんです。水が物をはじく力、上の方向に押し上げる力を「表面張力」と言います。あささん、聞いたことありますよね。

あささん:
はい。

藤田先生:
表面張力というのは、例えばアメンボが浮いているところをよく見たこと、あります?

あささん:
あんまりないです。

藤田先生:
物が水に浮かんでいるところをよく見ると、水にくっついている部分は、ほんのちょっとへこんでいると思うんです。へこんでいるけれども、その水は上にある物を押し上げようとしてくれているんです。あささん、1円玉を水に浮かべたことはありますか?

あささん:
ないです。

藤田先生:
じゃあ今度、やってみたらいいと思うんです。ラジオを聴いているお友達の中には、1円玉を水に浮かべたことがある人がいると思うんですけど、1円玉の表面の「1」という数字が見えるようにして静かに水の上に置けば浮かぶけれども、1円玉を縦……なんて説明したらいいんでしょうね……。

――自動販売機にお金を入れるとき、みたいな?

藤田先生:
そうそう。1円玉の表裏を指で挟んで、縁の部分から水に入れて浮かぶかどうかを試しても、たぶん絶対に沈むんです。つまり、水と接する面積が、広ければ広いほど浮かびやすくなるんです。人間の場合、両手両足の面積だけでは、水が人間を押し返すだけの十分な力はないんです。それでどうしても沈んじゃう。

あささん:
はい。

藤田先生:
人間の場合は油があるかないかは大きな問題ではなくて、水がどれだけ押し返すことができるかが、浮かぶ・浮かばないのポイントになるんです。結局、人間はできないので何をするかというと、例えばとても大きなプラスチックの板を水の上に浮かべておいて、人間がそこに静かに乗ればたぶん浮かぶんです。サーフボードとかヨットなんかがそうですよね。人間が乗ってそれを広い面積で支えるから、1平方センチメートル当たりにかかる力が小さくなるからより支えやすくなる、という感じです。ここまで、わかってもらえましたか? 大丈夫?

あささん:
はい。

藤田先生:
つまり、表面積をどんどん大きくしていかないと、うまく浮かばないですよということです。仮に手や足に油を付けるとしても、実は油は水より表面張力が小さいのであまりうまくいかないんですね。だから表面積を大きくしないと、アメンボのように水に浮かぶことはどうしてもできない、ということになってしまうんです。納得してくれました?

あささん:
はい。

――油は水をはじくというイメージが、ありますよね。

藤田先生:
そうですね。アメンボはそのはじく力を利用して浮かぶんですけれども、表面張力をうまく使うためには、表面積をどんどん大きくしないといけないということなんです。

――油よりもそちらのほうが大事ということですね。

藤田先生:
そうですね。でも、「どうしてこうなるのか」とか、例えばあささんの質問にあった「油の付け方は考えなくてよくて、手足だけに付けるのならどうか」とか、こういうのを「条件」と言いますが、そういうのをいろいろ考えていくのはとても大事ですよね。そもそもあささんは、ダイラタンシーという現象を知って……

――ダイラタンシー?

藤田先生:
片栗粉とかの話ですよね。片栗粉を水に溶いて普通に混ぜるとフニャフニャしているんだけれども、急に力をかけると固くなるという、そういう現象ですよね。

あささん:
はい。

藤田先生:
そういうところから、水に浮くにはどうするのかと考えていくというのは、すごくいいことだと思います。

――条件を変えながらいろいろ考えていくという発想、あささんはいつもすごいですね。

藤田先生:
あささんは理論物理とか、そういうのが好きなのかもしれないですね。理論ですから、いろいろなことを考えていく。それをこう、ある現象を見てこれはどうなるんだろう、こうやったらどうなるんだろうとか考える。そういうのに、興味がありますか、あささん?

あささん:
はい。

藤田先生:
うん、言わせてしまった感じが(笑)。でも、すごくいいと思いますよね。

――百野先生としては、アメンボも見てもらいたいですよね。

百野先生:
そうですね。種類を変えればかなり長い期間、真冬じゃなければ見られますのでね。

――あささん、どうでしょう、わかりましたか?

あささん:
はい。

――よかったです。またいろいろ発想を新たにして質問してくださいね。ありがとうございました。

あささん:
ありがとうございました。

――さようなら。

あささん:
さよなら~。

藤田先生:
さよなら~。


【放送】
2024/05/12 「子ども科学電話相談」

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