10時台を聴く
23/11/19まで

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いまいさやかさん(中学3年生・北海道)からの質問に、「鳥」の川上和人先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
川上先生:川上和人先生(森林総合研究所 鳥獣生態研究室長)
田中先生:田中康平先生(筑波大学生命環境系助教)
さやかさん:質問者


――お名前を教えてください。

さやかさん:
さやかです。

――どんな質問ですか?

さやかさん:
鳥は赤ちゃんのときから筋肉がムキムキなのですか? また、もし赤ちゃんのときからムキムキなら、鍛えてもいないのにムキムキになれるのですか?

――おもしろいですねぇ。さやかさん、鳥を飼っていたりするんですか?

さやかさん:
はい。おばあちゃんちにオカメインコがいます。

――そうなんですねぇ。鳥がムキムキっていうのは、何かで読んだんですか?

さやかさん:
はい。川上先生の本を以前読んで、鳥の大人は筋肉がムキムキっていうのが書いてあって、それは知ってたんですけど、飼っているオカメインコが、ひなのときもずっと筋肉がすごくムキムキだったんですよ。ひなって飛べないから筋トレとかできないのに、なんでマッチョなのかな、みたいな。

――先生の本からの情報とオカメインコちゃんからの情報で、疑問がわいたんですね。川上先生、お願いします。

川上先生:
はい。どうもこんにちは、川上でーす。

さやかさん:
どうもこんにちはー。

川上先生:
本を読んでくれてありがとうございます。

さやかさん:
はい。

川上先生:
さやかさんは、ムキムキになりたいですか?

さやかさん:
はい。

川上先生:
僕もなりたいんです。鍛えてるんですけど、なかなか筋肉がつかなくて困ってるんです……。

さやかさん:
あぁ……。

川上先生:
そろそろ秋になってきて食欲の秋ですが、ごはん、しっかり食べていますか?

さやかさん:
はい。

川上先生:
きのうの晩ごはんは何を食べましたか?

さやかさん:
なんだっけ……あっ、巻きずしです。

川上先生:
巻きずしですか。お魚系ですね。僕はね、カツオのフライを食べました。

さやかさん:
おー。

川上先生:
というわけで、今の話は関係ないんですけどね、ハイ。じゃあ、ちょっと鳥について考えてみたいんですけれども、きのうは巻きずしを食べたということですが、最近、鶏肉は食べましたか?

さやかさん:
はい。

川上先生:
おっ、食べましたか。どうやって食べました?

さやかさん:
お鍋に、鶏肉をつぶしておだんごにして。

川上先生:
あーおしいなぁ、そのまま食べてほしかったんだ、実は(笑)。というのはですね、過去のことでいいんですけれども、鶏肉を食べるとき、かたくてかみ切れないということはありましたか?

さやかさん:
はい。

川上先生:
あっ……ありますね、そういうこともあります(笑)。でも比較的やわらかく食べられたんじゃないかなって、僕は期待していたんですけれども、それはダメ? ダメですかっていうのもなんですけれども、やわらかいお肉だと思ってもらえるとうれしいです。

さやかさん:
はい。

川上先生:
食べるときに、かみ切りやすかったり、ちょっとやわらかいお肉だなと感じたことがあってもいいかなって思うんですけれども、「あった」って、言ってもらえます?

さやかさん:
はい。

川上先生:
よかったです……。鶏肉って結構やわらかいんですね。なんでかというと、1つは、鶏肉って若鳥の肉なんですよ。

さやかさん:
あー、若鳥?

川上先生:
若い鳥。普通に売られている鶏肉は、大人じゃなくて大人になりかけのまだ若い鳥のお肉だと思ってください。

さやかさん:
あぁ。

川上先生:
そうすると結構やわらかいお肉なんですね。インコを見てくれたときに、子どものときも結構筋肉がついているなと思ってくれたかもしれません。でも、確かに筋肉はついているんですけれども、大人の筋肉と子どもの筋肉って実は大きな違いがあります。例えば、赤ちゃんの腕とか太ももとか、触ったことある?

さやかさん:
はい。なんかプニプニしてる。

川上先生:
プニプニしてやわらかいよね。筋肉はあるんだけれども、その筋肉が結構やわらかいんです。

さやかさん:
あぁ~!

川上先生:
なんでやわらかいのかというと、いくつか理由はあるんですけれども、1つはね、あるものがたくさん含まれています。さて、何が含まれているでしょうか。

さやかさん:
たんぱく質。

川上先生:
たんぱく質、しっかり含まれています。そのとおりです。でもそれは大人にも子どもにも、たくさん含まれていると思ってください。子どもの筋肉にたくさん含まれているものが、実は他にあるんです。何だと思います?

さやかさん:
ぜい肉?

川上先生:
あぁ、ぜい肉、いいねぇ。ぜい肉っていうと脂肪とか脂とかだよね。鳥の場合は確かに筋肉の中に脂肪とかがある場合もあるんだけど、ほとんどは皮下脂肪といって皮膚の下に脂肪があることが多くて、筋肉の中にはあまり脂肪が入っていないんです。若い鳥とか、鳥以外でもそうなんだけれども若い子どもの筋肉の中には、水分、水がたくさん含まれているんです。

さやかさん:
あぁ!

川上先生:
水が含まれている分、それだけやわらかくてプニプニしているんだと思ってください。

さやかさん:
はい。

川上先生:
大人になるにつれてその水分が抜けていって、それでかたくなっていきます。なので、ふだん食べている鶏肉も食べるとやわらかいんだけれども、大人の鳥の肉を食べると結構かたくてしっかり締まった筋肉になっています。というわけで、確かに子どものときも筋肉はついているんだけれども、さやかさん、マッチョな人っていうと、どんな筋肉を思い浮かべますか?

さやかさん:
なんか、カチカチな感じ?

川上先生:
そうそう。かたくてしっかり締まった感じね。そういう筋肉になっていくのはやっぱり大人で、子どものときとか赤ちゃんのときは、筋肉に水分がいっぱいあってやわらかくて、まだあんまり鍛えていないのでそんなにかたくはなくて、いわゆるマッチョではないんです。というわけで、触らないで遠目に見れば筋肉がしっかりついているように見えるんだけれども、実はその筋肉は力をちゃんと発揮できるようないい筋肉ではなくて、まだやわらかくてあんまり力が出ないようなフニャフニャの筋肉なんです。

さやかさん:
あぁ!

川上先生:
これは鳥だけじゃなくて哺乳動物でもそうだし、若いときの筋肉というのはちょっと白っぽくて、どんどん大人になると赤っぽくなってくるんですけど、それも筋肉の肉の密度が水に対して増えていくからとか、たぶん理由があると思います。というわけで、同じ筋肉でも筋肉の質がちょっと違うんだということになります。

さやかさん:
はい。

川上先生:
他の動物でも実際はどうなのかを知りたくなると思うんだけれども、きょうは幸い隣に田中先生がいらっしゃって、田中先生は恐竜、特に赤ちゃんの恐竜の研究をしているので、恐竜が赤ちゃんのときは筋肉がどうだったのか、聞いてみましょうか。

さやかさん:
はい。

川上先生:
田中先生、お願いします。

田中先生:
はい。さやかさん、こんにちはー。

さやかさん:
こんにちはー。

田中先生:
さやかさんは恐竜は好き?

さやかさん:
はい。

田中先生:
よかったー。恐竜の筋肉は、まぁちょっと骨しか見つからないからなかなか想像するのは難しいんだけれども、赤ちゃんが見つかっている恐竜は何種類かいるのね。

さやかさん:
はい。

田中先生:
恐竜の赤ちゃんはニワトリのヒヨコと同じように、ふ化したらすぐにピョコピョコ動き回れると言われているのね。あんまり巣にとどまって親が餌を与えてというよりかは、生まれたらすぐに巣から離れて、自立して行動していくのか親と一緒に行動するかはちょっとわからないんだけれども、ふ化してしばらくすると動けるようになります。

さやかさん:
おぉー。

田中先生:
だからその分の筋肉は必要というわけだよね。ただ、今の川上先生のお話だと、どうなんでしょう。川上先生、結構恐竜の赤ちゃんもブヨブヨのやわらかい筋肉なんでしょうか。

川上先生:
そうですねぇ。やっぱり大人に比べるとやわらかかったんじゃないかなと思うんですけれども、よく動き回っていたんだったら、もしかしたら完全に大人になる前にしっかりとした筋肉になっていたのかもしれないなって、今お話を聞いていて思いました。 田中先生、どうもありがとうございました。

田中先生:
はい。

川上先生:
そう思うと、生活のしかたによって、早く動き回るような鳥なんかだと早めに筋肉がかたくなるかもしれないです。もう1つ、水が入っていると言いましたけれども、実はそれは大切なことで、例えば、ニワトリ……いや、ニワトリじゃないほうがいいな、他の鳥のひなとか、自分で水を飲みに行けなかったりしますよね。

さやかさん:
あぁ、はい。

川上先生:
そういうときに筋肉の中にしっかり水が入っていると、実は脱水症状になりにくいというような、水をちゃんとためておくという機能も筋肉にはあるんじゃないかと思います。だから筋肉がたくさんあると、例えば人間でもそこに水分がちゃんと入っているので、脱水症状になりにくいということも言われたりします。

さやかさん:
あぁ、そうなんだ。

川上先生:
そうなんです。だから水が筋肉に入っているというのは、水をためる場所という機能があるんだということも、1つ、思っていてください。あと、大人になった鳥の肉はどうなのかなっていうので、時々親鳥の肉を売っているので、そういうのももし食べるチャンスがあったら食べてみてほしいなと思います。同じ鳥の肉でも、若鳥のときと親のときとではこんなに違うんだというのがわかると思います。というわけで、確かに子どものときから筋肉はあるんだけれども、親のときに比べるとやわらかい筋肉で、まだまだ鍛えられていないんだと。というわけで、「筋肉は一日にしてならず」というふうに、きょうは覚えていただければいいと思います。だいたいわかった?

さやかさん:
はい。

――さやかさん、どうですか。

さやかさん:
はい、すごくよくわかりました。あと親鳥を食べてみたいです。

川上先生:
結構かたくてしっかりしていて、味がすごく濃くて僕はおいしくて好きなので、是非よくかみしめて食べてみてください。

さやかさん:
はい。

――筋肉の中には若いほど水分がしっかりあるんですね。「お肉!」というイメージがありましたけど、水分も重要なんですね。

川上先生:
そうですね。筋肉は実は水の貯蔵庫としての意味があるんだということも覚えてもらえるとすごくいいと思います。例えば渡り鳥なんかは飛んでいるときに水が飲めないわけですけれども、さやかさん、渡り鳥、わかる?

さやかさん:
はい。

川上先生:
そういう鳥も、なんで水を飲まなくて大丈夫なんだろうと思うかもしれないですけども、筋肉の中に水分が蓄えてあるので、その水分を使って生きているんだと思ってもらえればと思います。おもしろいよね。

さやかさん:
はい。

――人間も、脱水症状を防ぐためにもちゃんと筋肉があったほうがいいかもしれませんね。

川上先生:
筋肉をつけるのは体にとってすごくいいことだと思います。

さやかさん:
おぉー。

――さやかさんのオカメインコちゃんからの疑問から、私たちも学びがたくさんありました。さやかさん、わかりましたか?

さやかさん:
はい。マッチョになれるように頑張ります!

川上先生:
僕も頑張ります。一緒にマッチョになりましょう(笑)。

――皆さんもしっかり食べて筋肉つけましょうね。さやかさん、質問をしてくれてありがとうございました。

さやかさん:
ありがとうございました。

――また質問を送ってください。さようなら。

さやかさん:
さよなら~。

川上先生:
さよなら~。

田中先生:
さよなら~。


【放送】
2023/09/24 「子ども科学電話相談」

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