10時台を聴く
23/11/19まで

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きしそうごくん(小学2年生・神奈川県)からの質問に、「天文・宇宙」の国司真先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
国司先生:国司真先生(跡見学園女子大学兼任講師)
そうごくん:質問者


――お名前を教えてください。

そうごくん:
そうごです。

――どんな質問ですか?

そうごくん:
レントゲンで人間の体の中を見るように、宇宙から地球の中を撮影して見ることはできますか? 見ることができたらプレートの動きが見えて、地震がいつ来るかわかったり、火山がいつ噴火するかわかると思います。

――そうごくん、2年生ですよね。

そうごくん:
はい。

――すごくいろいろ考えていますねぇ。では国司先生、お願いします。

国司先生:
はい。そうごくん、こんにちは。

そうごくん:
こんにちは。

国司先生:
そうだね、すごいこと考えたね。それができると、地震がどういうしくみなのかとか火山がいつ噴火するかがわかって、人にとってはとても役に立つことだよね。そうごくん、それを考えてくれたんだ、うん、すごい!
まず、X線というかレントゲンで、骨の様子や歯の様子がわかるんだよね。実はおじさん、このあいだ歯が痛くて歯医者さんに行って、歯のレントゲンを撮ったの。そしたら先生がその写真を「これ、記念です」っていうので、もらってきちゃった(笑)。じっくり見るとおもしろいの。そうごくんは、そんなレントゲン、撮ったことある?

そうごくん:
ある。

国司先生:
あっ、ある。そうすると、骨の様子とかがわかったよね。例えば歯医者さんでは、虫歯になると何か詰めるでしょう? 金属を詰めるとそこは黒く見えるの。じゃあ、そのレントゲンのことをちょっと簡単に説明すると、レントゲンで使っているX線というのは、目で見ることができる光、可視光線とか、今ラジオで放送している電波とかと同じ仲間で、電磁波といいます。電気の力と磁石の力がちょうど合わさって、エネルギーを持つものなんです。

そうごくん:
はい。

国司先生:
X線というのは、ラジオの電波とか目で見える光よりも波の長さが短いから、エネルギーが高い。そうすると、体を通して届くので、骨の様子とかがわかるのね。でも、そのX線が地球とか岩を突き抜けるかというと、レントゲンを撮るときには何かこう、鉛の服みたいなものを着てレントゲンが通らないようにするでしょう? そういう金属があるとX線は通れなくなってしまうから、だからそれは難しいんだよね。
そうごくんがすごいのは、他に方法がないかって、考えてくれたのね。あるのかっていうと、あります。それはね、宇宙空間からは、ちっちゃなちっちゃな、エネルギーの強ーい粒がやってくるんだけど、「素粒子」という言葉は聞いたこと、あるかな? 例えば「ニュートリノ」とか、聞いたこと、ない?

そうごくん:
ない。

国司先生:
そうか、じゃあ、その説明をしなくちゃいけないな。例えばきょう、そうごくん、ごくんって、水、飲んだよね。

そうごくん:
うん。

国司先生:
あの水は何でできているかというと、ちっちゃい粒々でできていて、水素という原子と酸素という原子が合わさって水の分子になっているのね。その原子の粒々をもっと細かくすると、電気を帯びた電子というのと、真ん中に核みたいなものがあって、それは原子核というんだけど、それを分けると陽子とか中性子になって、それをもっと細かくすると、素粒子というちっちゃな粒になるの。それが、宇宙空間からやってきたり、宇宙空間からやってきたものが今度は地球の大気に反応して違う素粒子ができたりするの。そしてそれはいろんなものを通過して、例えばニュートリノなんていうのは、いつでもそうごくんの体の中を突き抜けていくの。ほとんど反応しないから、大丈夫なんだけどね。

そういうものを使ったり、それからμ(ミュー)粒子というのは地球の大気からまた分かれてくるんだけど、それは岩石を通り抜けていくの。そういうものが、どういうふうに通り抜けてこっちの数が少なくなっているのか、というようなことで、地球の中を調べることができそうなの。例えば火山の中を調べると、素粒子が多く来たり少なく来たりということで、さっき言った噴火のもとになるマグマの位置が、「ここに少しかたまっているな」というようなことがわかってきたんだって。すごいよね。

そうごくん:
はい。

国司先生:
だからそうごくんの発想は、近未来を予想しているという、すごい発想なんだよね。火山のことはそうしてだんだんわかってきて、じゃあ今度は、地震はどうして起こるかということなんだよね。さっき、そうごくん、「プレートの動き」って言ってたから、プレートはわかるんだね。
地球というのは、よくゆで卵に例えるんだけど、殻があって白身があって黄身があってというふうになっていて、殻のところ、地球でいう地殻のところにいくつかひびが入っていて、そのひびが上から下に入り込むようなところでピンと跳ね返って地震が起こるの。それを調べるのに素粒子の観測が役に立てばいいんだけれども、今はそれをどうやって実現させようかという段階なんです。火山のことはわかってきたんだけど、地震のところはまた違う方法で調べています。例えば地殻の位置が少しずつ、場所によって上がってきたり下がってきたり、ちょっとずれていったりというようなところで調べる方法のほうが、まだわかりやすいのかもしれません。
でも近い将来、実用化されて、地震のことも解明できる日が来るかもしれない。だからそうごくんの発想というのは、すばらしい発想だなと、おじさん、思ったのね。是非、そういったことを将来研究してもらいたいなと思います。

――火山のマグマなどは調査できるようになってきたけれども、地震に関しては……

国司先生:
地震は、これからどうやってやろうかな、と。つまりそれを受けるには、地球にセンサーみたいなものをずっとはっていかなきゃいけないわけです。それができるようになると、「あっ、少しプレートが動いてきたぞ」っていうのがわかるかもしれない。

――そういうことができる時代が、来るかもしれない?

国司先生:
センサーの開発がどんどん進んでいきますので。

――そうごくん、国司先生もおっしゃっていたように、人間も検査できるんだから地球も検査できるんじゃないかというそうごくんの発想、すごいね。

そうごくん:
はい。

――そうごくんが大きくなるころには、そういうこともどんどんできるようになるかもしれないですね。

国司先生:
目に見えないものを見えるようにする技術というのは、とってもよく進歩しているんですよ。私は歯医者さんでレントゲン写真をもらって、「えっ、これ、いただけるんですか?」って、そんなところでもびっくりしました。

――そうごくん、どうですか、わかりましたか?

そうごくん:
はい。

――よかったです! また疑問がわいたら質問を送ってください。

そうごくん:
はーい。

――さようなら。

そうごくん:
さよなら~。

国司先生:
さよなら~。

――ありがとうございました。


【放送】
2023/09/24 「子ども科学電話相談」

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