11時台を聴く
23/10/29まで

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やまがみかほさん(小学5年生・愛媛県)からの質問に、「動物」の成島悦雄先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
成島先生:成島悦雄先生(元・井の頭自然文化園園長/獣医師)
清水先生:清水聡司先生(大阪府営箕面公園昆虫館 副館長)
小林先生:小林快次先生(北海道大学総合博物館教授)
かほさん:質問者


――お名前を教えてください。

かほさん:
かほです。

――どんな質問ですか?

かほさん:
ペットショップとかに行って、ふと動物を見たときに「かわいいな」って思うんですよ。なんでぱっと見たときに「かわいいな」って思うのかなって、思いました。

――ちなみにかほさんは、どんな動物を見たときにそう思ったの?

かほさん:
インコやハムスターなどの小動物とか、猫や犬です。

――動物を見て「かわいいな」と思う方、多いかもしれません。成島先生、お願いします。

成島先生:
はい。かほさん、こんにちは。

かほさん:
こんにちは。

成島先生:
そうだよね。動物たちが僕たちよりも小さいと、かわいいと思うよね。

かほさん:
はい。

成島先生:
どうしてだろうと、思いますよね。たぶん、自分よりも小さくて弱い動物を守ってあげたいなという気持ちが、僕たちの心の中にあると思うんだ。そういう気持ちを、インコとかハムスターとか犬とか猫を見ると刺激されると思うんです。かほさんは、特にどういう動物を見たときに「かわいい」と思いますか?

かほさん:
インコです。

成島先生:
インコのどういうところが好き?

かほさん:
チョコマカ動き回ってかわいいです。

成島先生:
そうだよね。僕たち人間はインコよりうんと大きいし、動き方もインコに比べれば、まぁ、かわいくはないよね。

かほさん:
ふふふ。

成島先生:
ゴツゴツしているような感じがしますよね。ハムスターなんかもそうですけれども、チョコマカ動いたりするそのしぐさが、とってもかわいいと思うじゃない?

かほさん:
はい。

成島先生:
自分たちより弱い者を守ってあげたいという、僕たちの気持ち。もっと言えば、かほさんが大人になって例えば仮にお子さんを産むことがあった場合に、自分の子どもをなんとか大きく育てたい、ちゃんと育ってもらいたいなという、そういう人間の本能的な気持ちがあると思います。そういうところに、たぶんつながっていると思うんです。

かほさん:
はい。

成島先生:
それで特にペットショップなんかで動物を見ると、大人の犬や猫じゃなくて、生まれて半年あるいは1年とかっていう、いわゆる子どもみたいな動物が並んでいるよね。それはどちらかというと頭が大きくて手足が短くて、結構モコモコしているような感じが大人に比べてあるじゃない?

かほさん:
はい。

成島先生:
そういう形が、どうも僕たちに「守ってあげたいな」っていう気持ちを作るらしいんですよ。例えば人間の赤ちゃんを見ても、大人の人間に比べると頭の割合が大きくて、ふっくらしていて手足が短いじゃない? 犬や猫も、大人に比べると子猫や子犬は同じような特徴を持っているでしょう? よく言われるのは、ぬいぐるみ。ぬいぐるみというのは、手足が長くてほっそりしているより手足が短くてふっくらしているほうが、何か「かわいい」という気持ちを僕たちに引き起こさせませんか?

かほさん:
はい。

成島先生:
「守ってあげたいな」という気持ちが、人間には本能的にインプットされているみたいなんですよ。

かほさん:
ほうほう……。

成島先生:
インコとかハムスターとか子犬とか子猫を見ると僕たちにそういう気持ちが引き起こされて、守ってあげたいな、かわいいな、なんとかしてあげよう、力になってあげようという気持ちになるらしいんです。そういう「刺激」、それは残念ながら「愛情」というより、つまんない話をしちゃいますけど、そういう「信号」が僕たちに対してやってくると、守ってあげなきゃいけないなということになっているらしいんです。それは命をつなぐうえでとても大切なことで、赤ちゃんを守ってあげなきゃ、大人が守ってあげなきゃ、命がつながっていかないでしょう?

かほさん:
はい。

成島先生:
例えば僕たち人間という種類が、これからずっと何年も孫子の代まで命がつながっていくようにということが頭の中にインプットされていて、それがきっと、「かわいい」という気持ちを引き起こさせているんじゃないかなって、おじさんは思うんです。

かほさん:
はい。

――動物園で赤ちゃんが生まれるとニュースになって、たくさんの人が見に行きますものね。

成島先生:
そうなんです。しぐさとか姿形とか、かわいいですよね。

かほさん:
はい。

成島先生:
もちろん動物園に行ったら、かわいいだけじゃなくて動物のいろんな情報を知って、僕たちと動物がどうやって一緒に生きていくかを考えてもらいたいんですけれども、きっかけとしては、赤ちゃんが生まれたときに見に行くと、あぁ、この動物はこういうところもかわいいなって、例えばゾウは生まれたときには100kgもあって僕たちより大きいけれども、しぐさなんか、かわいいじゃない?

かほさん:
はい。

成島先生:
だからやっぱり、子犬や子猫、あるいはインコなどをかわいいと思う気持ちは、たぶん本能的なところでつながっているんだろうなと思います。

かほさん:
はい。

――清水先生は、美しいチョウとかを見てキュンとしたりするんですか。

清水先生:
あぁ、そうですね、「捕りたいー」とか思って(笑)。やっぱり毎日飼育していますので、幼虫を見ているうちにだんだん「かわいいな」って思ってきて、つい餌をあげてしまったりして、それはたぶん幼虫に操られているんでしょうね。

――小林先生は恐竜の化石を見て?

小林先生:
これはまだ1回も言ったことがないんですけど、今、赤ちゃんの恐竜を研究していて、すごくかわいいですよ。頭、大きくて。

成島先生:
頭が大きい(笑)。

――生まれたてのかわいさもあるし、清水先生がおっしゃったみたいに、お世話しながら愛情がわいていくかわいさもありそうですね。

清水先生:
僕のは、ちょっと違うかもしれない(笑)。

――「かわいいな」と思う気持ちは、人間にそもそも備わっている部分もあるかもしれないというお話でした。かほさん、どうですか。

かほさん:
ペットショップとかに行って、動くところとか、特にちっちゃい子を見て、そういうことなんだなって、思いたいです。

成島先生:
思いたい……。

――人間にはそういうところがあるんだなって、自分の中でふに落ちたのかもしれませんね。

かほさん:
はい。

成島先生:
あぁ、だったらよかった、よかった。

――かほさん、質問してくれてありがとうございました。

かほさん:
はーい、ありがとうございました。

――さようなら。

かほさん:
さよなら〜。

成島先生:
さよなら〜。


【放送】
2023/09/03 「子ども科学電話相談」

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