たけうちかのんさん(小学6年生・富山県)からの質問に、「鳥」の上田恵介先生が答えます。(司会・中條誠子アナウンサー)
【出演者】
上田先生:上田恵介先生(立教大学名誉教授/日本野鳥の会会長)
坂本先生:坂本真樹先生(電気通信大学副学長)
かのんさん:質問者
――お名前を教えてください。
かのんさん:
かのんです。
――どんな質問ですか?
かのんさん:
鳥はなぜ飛行機のように助走せずに飛べるのですか?
――かのんさんは、どんな鳥を見たんですか?
かのんさん:
家にスズメがいて、そのスズメに近づいたらすぐに逃げていったので、なぜ助走せずに飛べるのか、気になりました。
――上田先生に聞いてみます。お願いいたします。
上田先生:
はい。かのんさん、おはようございます。
かのんさん:
おはようございます。
上田先生:
「鳥」の上田です。助走なしでぱっと飛べるのを、スズメなんかで見たのね。
かのんさん:
はい。
上田先生:
カラスなんかも、近づいたら助走せずにぱっと飛び上がるよね。その他にどんな鳥、見た? いろいろな鳥、見てる?
かのんさん:
スズメとかカラスとか、ハトです。
上田先生:
ハトもぱっと飛び上がるね。それから?
かのんさん:
うーん……。
上田先生:
池とか湖とかに行くと、ハクチョウとか、いる?
かのんさん:
います。カモメとか、あと田んぼとかにカモとかもいます。
上田先生:
うん、OK、OK! カモぐらいになると体が重たそうだけど、ぱっと飛び上がれるのは体が軽いからなんですね。カモなんかだと、体が軽いとぱっと飛び上がれるのもいるけど、水の上を2~3mぐらいパタパタッと助走してから飛び上がるのもいます。
かのんさん:
あぁ……。
上田先生:
それから、カモの仲間みたいなカイツブリって、水に潜る鳥は知ってるかな?
かのんさん:
知りません。
上田先生:
カイツブリなんかは翼がちょっと小さいのね。飛ぶことはできるんだけれども、飛び上がろうとすると、水の上をちょっとパタパタッと走ってから飛び上がります。ハクチョウなんかもそうなのね。ハクチョウは体重が何kgぐらいあるか、知ってる?
かのんさん:
知りません。
上田先生:
かのんさんは何kgぐらいかな、オオハクチョウなんかだと大体20kgぐらいあります。鳥の中で空を飛べるのは、体重的に大体20kgが限界だといわれていて、それ以上になるとどんなに頑張っても鳥は空を飛ぶことができません。だからオオハクチョウぐらいが限界ね。鳥が飛ぶときは、翼をバタバタと羽ばたかせるでしょう?
かのんさん:
はい。
上田先生:
だから、胸の筋肉がすごいのね。胸の筋肉をしっかりつけておけば、舞い上がれる。スズメとかカラスとかハトぐらいまでは、バタバタと助走しなくても一気に舞い上がれるけど、もうちょっと大きくなって15~20kgくらいになってくると、助走が必要ですね。だから、どんな鳥でも助走なしで飛び上がれるわけではありません。体が軽い鳥は、飛び上がれます。
かのんさん:
はい。
――かのんさん、イメージできましたか?
かのんさん:
はい。
上田先生:
あぁ、よかった!
――かのんさんの身近にいる鳥は、比較的小さい鳥が多かったということですね。かのんさんは、飛行機の助走とも比べてみていたんですね。
かのんさん:
はい。
――飛行機はだいぶ助走をつけますものね。先生、だいぶ助走をつける鳥というと、どんな鳥がいますか?
上田先生:
実際に見ることは少ないけど、アホウドリなんかは、かなり助走をつけないと飛び上がれないです。
――大きいから?
上田先生:
アホウドリは大きな鳥で、体重もあるからね。島にすんでいますけど、斜面というか坂のなるべく上のほうにいて、そして坂を下に向かってバタバタ走るの。走っていって「えいや!」と、翼を広げて舞い上がります。
――頑張って飛ぶんですねぇ。
上田先生:
坂のないところだとどうするんだろうって、ちょっと心配になるんですけどね。
坂本先生:
飛行機の場合だと、すごく重いので、エンジンの「推進力」というんですけど前に進む力がどうしても必要ですね。ただ翼の形などで、「揚力」、浮かぶ力を、飛行機の場合は工夫してありますね。もしかしたら重たい鳥でも、翼の形が進化すれば……ということですよね。
上田先生:
そう。いったん舞い上がってしまえば、あとは大丈夫なのね。あとは風にのって、羽ばたかなくてもずっと飛んで行けます。グライダーと同じですよね。
――かのんさん、鳥にも飛び方がいろいろあるんですね。わかりましたか?
かのんさん:
わかりました。
上田先生:
うん、よかった!
――また何か聞きたいことがあったら質問してくださいね。
かのんさん:
はい。
――ありがとうございました。さようなら。
かのんさん:
ありがとうございました。さよなら~。
上田先生:
さよなら~。
【放送】
2023/08/03 「子ども科学電話相談」