9時台を聴く
23/09/27まで

9時台を聴く
23/09/27まで

おがさわらわたるくん(小学2年生・埼玉県)からの質問に、「鉄道」の梅原淳先生が答えます。(司会・中條誠子アナウンサー)

【出演者】
梅原先生:梅原淳先生(鉄道ジャーナリスト)
わたるくん:質問者


――お名前を教えてください。

わたるくん:
わたるです。

――どんな質問ですか?

わたるくん:
なぜ、北海道新幹線の線路には寝台特急が走れないんですか?

――わたるくんは埼玉県に住んでいるでしょう? どうして北海道に寝台特急が走れたらいいのにって思ったのかな?

わたるくん:
「TRAIN SUITE四季島」だけは走れることはわかるんだけど、それ以外は走れないんです。そういうことがわかっているから。

――なるほど。では梅原先生に聞いてみましょう。お願いします。

梅原先生:
はい。おがさわらさん、おはようございます。

わたるくん:
おはようございます。

梅原先生:
北海道新幹線の線路に、なぜ寝台特急は走れないのかということで、答えは実は2つあります。ちょっとおっしゃっていましたけど、JR東日本の豪華な寝台列車の「TRAIN SUITE四季島」というのが、北海道新幹線の線路を走っているんですけど、それは青函トンネルを走っているんですね。

わたるくん:
うん。

梅原先生:
まず寝台特急列車というのは、上野駅から札幌駅まで「北斗星」とか「カシオペア」というJRの在来線を通っていく寝台列車、それから、大阪駅から札幌駅までを結ぶ「トワイライトエクスプレス」というのがあったのですが、北海道新幹線が開業して、それらはなくなってしまったんです。北海道新幹線の線路と在来線の線路は2本のレールの幅が違うので、それでまずは走れないというのはあります。新幹線のほうが1.435メートル、在来線が1.067メートルですから、大体37センチぐらい違います。新幹線が速く走るのに広いほうが安定しているからという理由で、わざわざ幅を変えたんですけれども、例外はさっきの青函トンネルです。青函トンネルだけは貨物列車も走りたいので、もう1本トンネルを掘るのは大変なのでそこは一緒に通ることにしたので、「TRAIN SUITE四季島」という豪華寝台列車は、毎日ではないですけれどたまに通っているんです。ではなぜ在来線の寝台列車、「北斗星」や「カシオペア」がなくなってしまったのか、走ってくれないのか、ということですよね。

わたるくん:
はい。

梅原先生:
今はまだ北海道新幹線は新青森から新函館北斗、つまり北海道の南のほうまでしかありませんが、将来、北海道の中心都市の札幌まで伸びたときに、東京駅から東北新幹線を通って北海道新幹線の札幌までどのぐらいの距離かというと、大体1,000キロと少しぐらいです。これは実際のレールの長さですね。東京と博多の間も実際の線路の長さは大体1,100キロぐらいで、東京と博多の間はのぞみ号で5時間を少し切るぐらいで走っていますから、東京から札幌も恐らく5時間を少し切るか、5時間ちょっとぐらいで行くと思うんですね。

わたるくん:
はい。

梅原先生:
“寝台”特急列車というくらいですから、夜中じゅう走りますよね。もし新幹線で寝台特急列車にすると、5時間で走ってしまうということは、例えば夜の6時に乗ってもその日の11時ぐらいに着いちゃうんです。そうすると別に夜通しかけていく意味がない。昼の明るいうちとか、夕方に出ても夜中に着いてしまうので寝台特急に乗る意味がなくなってしまったんですね。

わたるくん:
うん。

梅原先生:
青函トンネルが出来る前は、東京の上野駅から札幌駅まで17時間かかっていたので、例えば夜の6時に出ると次の日の昼前ぐらいに着いていましたから、これはやっぱり寝台特急列車である意味はあったんです。でも早く着くようになると、夜通し乗る人が実際にいなくなってしまったんですね。やっぱり皆さん、列車は昼間のうちに乗ったほうがいいということになって、あまりにも時間がかかるのだったら寝ている間に目的地に着くのがいいんだけれども、そうでもないんだったら昼間に乗りたいということで、寝台特急がなくなってしまったんです。ということなんですけれど、どうでしょうか。もちろん、いろんな選択肢があったほうがいいんですけど、せっかく置いてもなかなか皆さん、乗ってくれなかったりするんですよね。

わたるくん:
うん。

――わたるくんは、寝台特急でゆっくり、埼玉から北海道まで行ってみたいなって思ったんですか。

わたるくん:
はい。そこから、もうすぐ引退しちゃう観光列車に乗りたかった。

――それはなんですか?

わたるくん:
えっと……。

――北海道に、あるんですね。

わたるくん:
はい。

――北海道まで行って、そこから観光列車に乗り継いで旅をしたかったんですねぇ。

わたるくん:
はい。

――ゆっくりした旅を味わいたい方も、たくさんいるんじゃないかなと思いますけどね。

梅原先生:
在来線で例えば上野から青森まで寝台特急列車に乗ったりすると、日本の広さがよくわかります。青森県とか岩手県とか結構な時間走るので、すごい遠いなと、わかるんですよね。

――わたるくんは、寝台特急があればいいのになって思っているけど、そのほかにも、在来線でいろいろ楽しめるかな?

わたるくん:
楽しめると思います。

――いろいろ乗るとまた疑問もわいてくると思うので、また質問を送ってくださいね。

わたるくん:
はい。

――ここまでは大丈夫ですか?

わたるくん:
ちょっとわかんないところがあるかも。

――どこがわからなかった?

わたるくん:
えーっと……。

梅原先生:
寝台特急が青函トンネル以外は物理的に走れないとなると、北海道新幹線の線路を在来線の寝台特急の車両が走るのではなくて、新幹線に寝台特急の車両を用意すればいいではないか、ということですよね、たぶん。

わたるくん:
はい。

梅原先生:
ごめんなさい、そこが抜けていました。昔、確かに東京から博多まで、寝台の新幹線の車両を作ったことがあったんです。試作段階ではあったんですけど、誰もやっぱり乗らないだろう、と。それから新幹線の線路は、昼間に激しく高速で走っているので、夜中は念入りに修理をしなければいけないということと、あと、夜中に高速で走ると沿線の人たちの迷惑になるので、それでなかなか新幹線の寝台列車は難しくなってしまったんです。

わたるくん:
はい。

梅原先生:
ごめんなさい、それが抜けていました。

――わたるくん、わかった?

わたるくん:
はい。

――じゃあまた質問があったら送ってくださいね。きょうはありがとう。

わたるくん:
ありがとうございました。

――さようなら。

わたるくん:
さよなら~。

梅原先生:
さよなら~。ありがとうございます。


【放送】
2023/08/02 「子ども科学電話相談」

9時台を聴く
23/09/27まで

9時台を聴く
23/09/27まで