8時台を聴く
23/09/25まで

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にしわきなおきくん(小学1年生・三重県)からの質問に、「科学」の藤田貢崇先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
藤田先生:藤田貢崇先生(法政大学教授)
なおきくん:質問者


――お名前を教えてください。

なおきくん:
なおきです。

――なおきくんは、どんな質問ですか?

なおきくん:
方位磁石は、どうして赤いほうが北を指してるってわかるんですか? 地球が磁石なんですか?

――なおきくんは、方位磁石を持っているのですか?

なおきくん:
磁石は家にあります。食べ物屋さんでもらったおもちゃです。

――そうなんですね。では藤田先生、教えてください。

藤田先生:
はい。なおきくん、おはようございます。

なおきくん:
おはようございます。

藤田先生:
なおきくんが持っている方位磁石は、赤いほうがいつも決まった方向を指しているんですね。

なおきくん:
はい。

藤田先生:
それが北を指していると、誰かから聞いたのかな? 「赤いほうが北だよ」って、誰かに聞いたんですか?

なおきくん:
はい。

藤田先生:
それがどうして北だとわかるんですか、ということですね。なおきくんは、地球が磁石なんじゃないかなと考えたんですね。

なおきくん:
はい。

藤田先生:
答えから言ってしまうと、そのとおりです。なおきくんが予想してくれた、地球が磁石なんじゃないかということ、それは正しいです。地球が磁石だから、赤いほうを北に向けて引っ張っているということになります。なおきくんは、その方位磁石のほかに磁石を持っていますか?

なおきくん:
金属のものなら持ってます。

藤田先生:
金属ので大丈夫です。金属の磁石を、その方位磁針にくっつけてみたことはありますか?

なおきくん:
ありません。

藤田先生:
今度その金属の磁石を、方位磁石に近づけてみたらいいと思います。どうなると思います?

なおきくん:
引っ張られると思います。

藤田先生:
そう、引っ張られちゃうんですね。近づけた磁石によって、赤いほうが動いて、赤いほうが動くとその反対側の針が当然真逆の方向に動くけれども、金属の磁石はどんな形をしていますか?

なおきくん:
家に持っているのは丸い感じです。

藤田先生:
冷蔵庫などにピタッとくっつけるような、そんな感じかな。

なおきくん:
はい。平べったいです。

藤田先生:
平べったい磁石のいろんな場所を方位磁石にくっつけて、赤いほうが引っ張られるか、赤くないほうが引っ張られるか、いろいろ確かめてみたらいいと思います。

なおきくん:
はい。

藤田先生:
ちょっと違う話をすると、今、なおきくんの持っている方位磁石は、赤いほうにNと書いてありますか? NとかSとか、書いてありますか?

なおきくん:
はい。

藤田先生:
赤いほうが北を向くようにできているんですね。なおきくんは小学1年生だから、学校で磁石のしくみとかまだ習っていないと思うけれども……

なおきくん:
習っていません。

藤田先生:
そうですよね。N極とかS極って、聞いたことはありますか?

なおきくん:
はい。

藤田先生:
N極とくっつくのは、S極でしょうか、それともN極でしょうか。それは聞いたこと、あるかな?

なおきくん:
Sです。

藤田先生:
おぅ! そうです。N極とS極は引き合うんです。ではNとN、あるいはSとSだったら、どうなるでしょうか。

なおきくん:
離れます。

藤田先生:
離れていくんですよね。磁石はそういう働きを持っています。さっき、なおきくんが予想してくれたとおり、地球は大きな磁石ですけれども、地球の北極のほうには、磁石でいうと何極があることになりますか。

なおきくん:
……地球の、何側?

藤田先生:
地球の北極。北のほうにあるのが北極、南のほうにあるのが南極ですよね。方位磁石の赤くてNと書いたほうが、北極を指したんですよね。そうすると北極は、磁石でいうとS極になっているのかな、N極になっているのかな?

なおきくん:
Nだと思います。

藤田先生:
これね、逆なんですよ。方位磁石はN極が北を向くようにできているので、地球の内部に北極と南極を結ぶ棒磁石があるとすると、北極にS極が、南極にN極があるとイメージできるんですね。これはちょっと難しいかな……。ちょっと難しいけど、地球は磁石なんだということは、きょうわかった1つの大きなことですね。さらに言うと、今、なおきくんは、方位磁石の赤いほうが北を指しているのはわかりましたよね。

なおきくん:
はい。

藤田先生:
でも、これから何年も何十年も何万年もずっとそうとは限らないんです。たぶん変わっちゃうんです。

なおきくん:
……はい……。

藤田先生:
実際に今から77万年ぐらい前は、なおきくんの持っているN極の赤いほうが南を指していた時期があったんです。今と逆ですね。そしてそれが非常に長く続いたんです。地球はとても長い歴史があって、人間が知っているのはそのほんのごく最近のわずかなところなので、全部がわかっているわけではないけれども、かなり頻繁にというかちょくちょく変わったんです。

例えば77万年前から258万年前までは、主に今の北と南が逆転していたんです。ただこの77万年前から258万年前の間でも時々変わったんです。というような時代があったんですね。「そうだったんだ」という感じでわかってくれればいいと思うんですけれど、どうしてこういうことが起こるのかは、よくわかっていません。それと、北と南、N極とS極がひっくり返る時間も長いんですよ。きょうあしたでパッと変わるわけではなくて、大体2万年ぐらいかかるんじゃないかということがわかっています。さらにその途中でいろいろな変化があるということが、今のところは予想されているということです。なおきくん、ここまではわかってくれました?

なおきくん:
はい。

藤田先生:
ありがとうございます。

――なおきくんは、「地球は磁石なんじゃないか」って、すごいところに気付いてくれましたね。

藤田先生:
そうですね、気付いちゃった。

――まだ習っていないのに、すごいなぁと思いました。北と南が逆だったことがあるというのも、驚きでしたね。

なおきくん:
はい。

――勉強になりました。なおきくん、質問してくれてありがとうございました。

なおきくん:
ありがとうございました。

――また何かあったらぜひ質問を送ってみてください。さようなら。

なおきくん:
さよなら~。

藤田先生:
さよなら~。


【放送】
2023/07/31 「子ども科学電話相談」

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