10時台を聴く
23/08/06まで

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あしだけいくん(5歳・兵庫県)からの質問に、「動物」の小菅正夫先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
小菅先生:小菅正夫先生(札幌市円山動物園参与)
けいくん:質問者


――お名前を教えてください。

けいくん:
けいです。

――どんなことが聞きたいですか?

けいくん:
「変温動物と恒温動物がいるのはなぜですか?」と、「最初はバクテリアだったのにいつ分かれたんですか?」の2つです。

――あらっ、けいくん、すごいこと知っていてびっくりしました。本とか図鑑で見たのかな?

けいくん:
いいえ。大昔の生物の年表で見ました。

――そうなんですねぇ。これは小菅先生、お願いします。

小菅先生:
けいくん、こんにちは。

けいくん:
こんにちは。

小菅先生:
けいくんは、大昔の生き物の年表を見ているの?

けいくん:
はい。

小菅先生:
すごい! バクテリアからいつどうなったかというのは、載ってた?

けいくん:
載ってなかったです。

小菅先生:
そうか。年表にはどんなことが書いてあった?

けいくん:
年表には、「最古の生物化石、シアノバクテリアによる光合成が始まる」と、一番下に書いてありました。

小菅先生:
スゴイ……おじさんがそのことを知ったのはね、動物園に入ってからだよ、ゴメン(笑)。シアノバクテリアが最初の生命体だということが、ちゃんと載っているんだね。

けいくん:
でもバクテリアの前に、「最古の生物化石」と書いてありました。

小菅先生:
それはね、細胞があってバクテリアとはっきりわかるのは、シアノバクテリアより、もっとあとなの。生命の最初の誕生が恐らくシアノバクテリア。海岸の岩みたいなところに張り付いているみたいなんだけど、ゴメン、おじさんも読んだだけで詳しくないんだけど、そんな感じであったのが、35億年前ぐらいのものが発見されて、とにかく細胞があるとわかったのかな。ところで、けいくんは、バクテリアが単細胞生物だというのは知ってるの?

けいくん:
知ってる。

小菅先生:
おっ、すごい! 僕たちが多細胞生物だというのは、知ってる?

けいくん:
知ってる。

小菅先生:
あぁ、そう! けいくん、すごい。多細胞生物が出てきたのは、10億年前ぐらいだと言われてるんだよ。バクテリアというか単細胞生物の時代が、ものすごく長いの。それで多細胞生物が出てきた。多細胞生物が出てきて、そこからいろいろな生き物が出てきたんだね。いつ分かれたのか、はっきりわからないんだろうけど、10億年ぐらい前と言われているんだよ。

けいくん:
そうなんだ。

小菅先生:
多細胞生物が出て、それからいろんな生き物が出て、そしてあの有名な、海の中にも生き物が出てきてね。

けいくん:
プテリゴトゥスとか三葉虫とか?

小菅先生:
あーっ、三葉虫が出てきて、そして背骨を持った動物が出てきて、その中に海から上陸する生き物が出てきたわけだ。君がよく知っている変温動物と恒温動物は、そこが境目だったんだよ。海の中って、水温はそんなに変化しないでしょう?

けいくん:
うーん……。

小菅先生:
例えば海の温度がマイナスになるということは、絶対にないじゃない?

けいくん:
ないない。

小菅先生:
ねぇ、そうだね。だけどプラス、例えば40℃になることはないと思わない? 海の水だよ。

けいくん:
うーん……。

小菅先生:
それはわかんないよね。でもそのぐらい幅が狭いんだよ、水温の変化は。

けいくん:
それ、わかる。

小菅先生:
そうか! ところがそこから、背骨を持った動物が上陸し始めたんだよね。陸に上がったの。

けいくん:
イクチオステガ?

小菅先生:
おっ、ハァ〜……イクチオステガ、知ってるの?

けいくん:
デボン紀時代だよね。古生代のね。

小菅先生:
うわぁ……ほとんど負けそう……すごい。イクチオステガはまだ変温動物なんだけど、どんどん陸に上がっていくと、陸は下手したらマイナス10℃とか20℃までいっちゃうし、暑いときはプラス50℃とかいっちゃうでしょう? 変温動物というのは、外気温と自分の体温がそんなに変わらなくなっちゃうわけよ。だから20℃ぐらいだったらちゃんと活動できた動物も、マイナス近くになるとだんだん動けなくなっちゃうわけ。

けいくん:
うん。

小菅先生:
活動できなくなっちゃう。水の中はいいけれど、陸に上がったら気温の変化が大きすぎてうまく活動できない。そこで現れたのが、恒温動物なの。恒温動物は、鳥と哺乳類だね。鳥と哺乳類が出てきて、自分の体温を自分で維持できるようになったわけ。だからそこで変化が起きた。自分の体温を自分で決められるというのはとてもいいことで、例えば外気温が40℃になっても、僕たちの体温は40℃にならないじゃない?

けいくん:
あぁ。

小菅先生:
おじさんは北海道だから、マイナス10℃のところにいたって体温はずっと36℃だもんね。いつどんな状態でも活動ができる。

けいくん:
うん、わかる。

小菅先生:
動物にとって、外気温に影響されないで活動できるのは、ものすごくいいことだよね。そうやって恒温動物がどんどん広がってきたんじゃないかなと思うんだ。そのかわりちょっとつらいのは、体温を維持するためにエネルギーを常にとっていないと駄目なの。けいくんは、カエルとかカメとか、飼ってる?

けいくん:
飼っていません。しかし昔、カブトムシを飼っていて、今もカブトムシを飼っています。

小菅先生:
そうかそうか。カブトムシもそうだけど、寒くなると動かなくなっちゃうし……

けいくん:
今は夏なので暑くなっちゃうかもしれないので、日陰に置いています。

小菅先生:
そうか、えらいねぇ。変温動物だから、外気温に影響されるからね。変温動物は、外気温と合っているからそんなにしょっちゅう食べなくてもあまり関係ないんだけれども、恒温動物は、温度を一定に保つためにエネルギーを使うんだよ。そのために、いつも何か食べてないといけないの。だけど食べてさえいれば、自分の体温が維持できる。ものすごく活動的でとてもいいことなので、そういうふうにして変わっていったんだよ。

けいくん:
はい。

――けいくん、わかりましたか?

けいくん:
はい。

――けいくん、いろいろ知ってて、スタジオの先生たちもみんなびっくりしてました。

けいくん:
そうですか? これが当たり前なんですけど。

――あー(笑)、当たり前でしたかー。

小菅先生:
けいくん、いくつ?

けいくん:
5歳。

小菅先生:
5歳でイクチオステガを知っているなんて、おじさん、初めてお話ししました。これからもいろいろな動物のことを、昔のことも含めてどんどん勉強してくださいね。

けいくん:
はい。

――またぜひ質問してくださいね。

けいくん:
はい。ありがとうございました。さよなら〜。

小菅先生:
ありがとー。さよなら〜。

――さようなら。


【放送】
2023/07/30 「子ども科学電話相談」

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