10時台を聴く
23/09/17まで

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そがわこうきくん(5歳・埼玉県)からの質問に、「鉄道」の梅原淳先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
梅原先生:梅原淳先生(鉄道ジャーナリスト)
藤田先生:藤田貢崇先生(法政大学教授)
こうきくん:質問者


――お名前を教えてください。

こうきくん:
こうきです。

――こうきくんは、どんな質問ですか?

こうきくん:
なんでカラスは電車の架線に止まってもビリビリしないんですか?

――カラスが架線に止まっているところを見たんですね。

こうきくん:
はい、そうです。

――なんで大丈夫なんだろうと、思ったんですねぇ。梅原先生、お願いします。

梅原先生:
はい。そがわくん、こんにちは。

こうきくん:
こんにちは。

梅原先生:
梅原です。これ結構、私の苦手な(分野の)質問で……。まず、電車の架線に鳥が止まっているのと同じように、街にある普通の電信柱の電線とか、あと高圧線も電気が流れていて、それにカラスに限らずスズメもハトも止まっていたりしますけれど、みんな大丈夫ですよね。

こうきくん:
はいっ。

梅原先生:
結論から言うと、まず電線には電気が流れて、カラスはつかまってはいるけれども、電線に電気が流れたままになっていてカラスの体に電気は流れていない。電気が流れていないから、ビリビリしないということなんですね。ところがカラスはいつも安全なのかというと、他の何にもつかまらないで両足を電線につけていると、電気が流れる通り道になっていないからビリビリしないんですけれど、仮にカラスが、例えばちょっと電柱の近くに行きましたとか、他の電線に触っちゃいましたとか、他のカラスに触るとかそんなことがあると、とたんに電気がカラスの体を流れてビリビリすることはあるんですね。カラスの体に電気が流れないから、という、ものすごく簡単な結論になるんですけれども、これは科学がテーマの質問でもあると思うので、「科学」の藤田先生にちょっとうかがってみたいと思います。

こうきくん:
はいっ。

藤田先生:
こうきくん、こんにちは。

こうきくん:
こんにちは。

藤田先生:
こうきくん、5歳ですね。電気に触ったらビリビリするんだろうなっていうのは、知っているわけですね。

こうきくん:
はい。

藤田先生:
カラス、確かに電線に止まっていますよね。電線の中には電気が流れているんですけれど、例えば「流れる」ものって、他に何があります?

こうきくん:
携帯。

藤田先生:
携帯? あぁ、携帯電話には電波が流れてくるとか言いますよね。電波は目に見えないから、難しいかもしれないですね。こうきくんの目に見えるもので言うと、例えば水がありますね。

こうきくん:
水?

藤田先生:
水って、流れるじゃないですか。

こうきくん:
はい。

藤田先生:
こうきくんの身の回りに、大きなビニールプールみたいなものはありますか?

こうきくん:
ない。

藤田先生:
じゃあ、お風呂に入ったときに、洗面器はありますか?

こうきくん:
はい。

藤田先生:
洗面器を床に置いて、その中に水が入っているとします。平らに置いたら、水は動きますか?

こうきくん:
動きません。

藤田先生:
動かないですよね。ちょっと傾けたらどうですか?

こうきくん:
こぼれちゃう。

藤田先生:
こぼれちゃいますよね。水は、高いところから低いところに動いていきますか? それとも低いところから高いところに動いていきますか?

こうきくん:
えーっと、高いところから低いところに落ちていく。

藤田先生:
そうですよね。水は、高いところから低いところに落ちていく、流れていくんですね。電気も、実は同じなんです。電気には「電圧」というものがあって、電圧が高いところから低いところに流れていくんです。電圧という言葉はあまり聞いたことがないと思いますけれど、とにかく高いところから低いところに流れていくんですね。それから、カラスが電線に止まっているとき、カラスの左足と右足は電線にくっついていますよね。

こうきくん:
はい。

藤田先生:
この左足と右足で電圧を測ってみると、ほとんど変わらないんです。だから、カラスの体の中に電気が流れられないという理由が1つ。もう1つは、こうきくん、今、2つの道があります。この2つの道は同じところに行ける道です。例えば、こうきくんの家から遊園地に行く道です。1つの道は、ものすごく混んでいます。もう1つの道は、ものすごく空いています。というと、どっちを通ります?

こうきくん:
ものすごく空いているところ。

藤田先生:
そうですよね。もう1つのパターンで、1つの道は、ものすごく上ったり下ったりしないといけません。もう1つは、すんなりいけます。どっちを通ります?

こうきくん:
すんなりいくほう。

藤田先生:
そうですよね。それは電気もそうなんです。電気も、流れやすいところと流れにくいところがあると、流れやすいところを通りたいんです。電線とカラスとを比べると、電線はもともと電気が通りやすい金属で作ってあるから、そっちが流れやすい。だからカラスには流れないですね。ここまでは、わかってくれた?

こうきくん:
はいっ。

藤田先生:
ということでカラスはビリビリしないんですけど、「僕もやってみよう!」とかっていうのは、ダメですよ。こうきくん、「試してみよう」と思って電線にぶら下がったりすると、人間はいつまでもぶら下がっているわけにはいかないでしょう? 必ず地面に足がくっついちゃったり、電線が切れちゃったりします。その瞬間に、こうきくんの体を電気がバシッと通って、もっと流れやすい地面のほうにどんどん流れていって、こうきくんは大変なことになってしまうんです。さっき梅原先生が、カラスが電線じゃないところと電線に足をかけたら大変なことになるんじゃないかなとおっしゃっていましたけれど、そういうことが起きちゃうから、こうきくんは、絶対にそういうことはしないでくださいね。

こうきくん:
はい。

――カラスが特別なわけではなくて、電気は架線のほうが流れやすいから、そっちを通るということなんですね。

梅原先生:
少し補足すると、ちょっと違う話で電気の流れ方なんですが、こうきくん、電車に乗りますよね。見たことがないかもしれないんですけれど、電車は屋根の上から電気が入ってきて、車輪からレールに向かって流れていくんです。ところがたまに車輪からレールに電気を通さないところがあって、さっき藤田先生がおっしゃった、電気が通りにくくなるところがそこにあるんですね。 レールを通りにくくなったらどこを通るかというと、車体を通るときがあるんです。電車と電車をつないでいる連結器とか、電車と電車の間に「ほろ」や板が2枚重ねてあったりするんですが、そこを電気が流れて火花が散ったりすることがたまにあります。これは結構怖いんですけれど見たことはあるので、ふだんの車体はカラスと一緒で、電車の金属の車体の中にいても人間に電気は通らないけれど、電気が通れなくなるとそんなことがたまに起きます。もちろん感電はしないです。

――こうきくん、わかったかな?

こうきくん:
はいっ。

――よかった〜。もし電線が切れていたりしても、絶対に触ったりしないでね。ちょっとぶら下がってみようかなとか、危ないから絶対にしないでくださいね。カラスのまねはしないよね。

こうきくん:
うん。

――よかった。それだけは気をつけてくださいね。 質問してくれてありがとうございました。

こうきくん:
ありがとうございました。

梅原先生:
ありがとうございます。

――さようなら。

こうきくん:
さよなら〜。

梅原先生:
さよなら〜。


【放送】
2023/07/23 「子ども科学電話相談」

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