うのざわりゅうくん(小学5年生・東京都)からの質問に、「科学」の藤田貢崇先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)
【出演者】
藤田先生:藤田貢崇先生(法政大学教授)
りゅうくん:質問者
――お名前を教えてください。
りゅうくん:
りゅうです。
――どんな質問ですか?
りゅうくん:
日本は同じ標準時子午線を使っているから時差はないけど、科学的に考えると、日本の最東端の島の南鳥島と最西端の島の与那国島の時差は何分か、知りたいです。
――りゅうくんは、どういうところからこの疑問を持ったのかな?
りゅうくん:
塾で緯度と経度のことを勉強して、「日本は同じ標準時子午線を使っているから時差はありません」と書いてあって、でも科学的に考えると、どれぐらいあるのかなと思いました。
――本当はちょっとあるんじゃないかな、ということですね。藤田先生、よろしくお願いします。
藤田先生:
はい。りゅうさん、こんにちは。
りゅうくん:
こんにちは。
藤田先生:
日本の標準時子午線は、東経何度でしょう?
りゅうくん:
東経125度?
藤田先生:
10、違うかな……。
りゅうくん:
あっ、東経135度。
藤田先生:
ね。東経135度が日本の標準時子午線ですよね。どこの町を通っているか、知っていますか?
りゅうくん:
兵庫県の明石市です。
藤田先生:
そうですね。兵庫県の明石市を通っている経度、東経135度を、日本は標準時子午線と決めました。りゅうくんが言ってくれたのは、日本で一番東にある南鳥島と、一番西にある与那国島とでは、本当は時間が違うんじゃないかという質問ですけれども、計算しようと思えば、簡単にできるんです。ただ、「時間」というのは、人間が決めたものですよね。
りゅうくん:
そうです。
藤田先生:
人間が決めたものなので、何か自然現象で、ある時間、「この時」という時刻を瞬間的にわかるような仕組みを考えないと、この計算はうまくいかないんですね。それで、太陽が真南に来たときを1つの基準に考えるということで、どうでしょう。地球上どんなところでも、太陽は必ずいつか、真南に来ますよね。
りゅうくん:
はい。
藤田先生:
私たち、1日は何時間というふうにしたんでしたっけ?
りゅうくん:
24時間。
藤田先生:
そうですね。では、東経・西経とありますけれど、地球をぐるっと一周したら、何度になるでしょう?
りゅうくん:
360度です。
藤田先生:
そうですね。360度を24で割り算すると、15という数字が出てきますよね。
りゅうくん:
はい。
藤田先生:
つまり経度が15度違うと、1時間、時間が違っちゃうということになります。ここまでは、大丈夫ですか?
りゅうくん:
大丈夫です。
藤田先生:
では日本の一番西の与那国島は、東経がどれぐらいなのかを調べてみると、だいたい東経122度です。ちなみに与那国島は何県にあるか、知っていますか?
りゅうくん:
沖縄県です。
藤田先生:
そうですね。では南鳥島は東経何度かというと、153度59分ですから、だいたい154度というふうにしましょう。そうすると、かなり大ざっぱな計算ですが、東経154度の南鳥島と東経122度の与那国島の差がいくつあるかというと32度だから、だいたい30度ですよね。さっき、「15度違えば1時間違う」というふうに言いましたよね。経度で30度くらいの違いがあるから、そうすると、どれぐらい違うんでしょうね。
りゅうくん:
2時間?
藤田先生:
2時間ですよね。南鳥島で太陽が真南に来てから、与那国島で太陽が真南に来るまで、だいたい2時間かかるんです。
りゅうくん:
へぇ〜。
藤田先生:
それぐらい違うんです。ここまで、大丈夫ですか?
りゅうくん:
はい。
藤田先生:
ちなみに南鳥島は、都道府県でいうとどこか知ってます?
りゅうくん:
東京都です。
藤田先生:
そうですね。地図見るの、好きですか?
りゅうくん:
普通……です。
藤田先生:
そうですか。南鳥島って、誰でも自由に行けると思います?
りゅうくん:
行けないと思います。
藤田先生:
そうなんです。自衛隊の施設があって、自衛隊の人と気象庁の人しか自由に行けないんです。りゅうくんがどんなに行きたくても、そういう仕事に携わっていないと行けないんですね。じゃあ、りゅうくんが自由に行ける一番東端がどこかというと、北海道の納沙布岬というところが、自由に行ける一番東端です。
りゅうくん:
へぇ〜。
藤田先生:
ここは東経145度49分ですから、どれぐらい時間が違うのかなというのは、ぜひあとで計算してみてください。
――りゅうくん、わかりましたか?
りゅうくん:
わかりました。
――当たり前だと思わないで疑問に持つのは、すてきなことですね、先生。
藤田先生:
そうですね。
――りゅうくんの質問から、本当に勉強になりましたよ。ありがとうございました。
りゅうくん:
ありがとうございます。
――またどうしてかなと思うことがあったら、質問を送ってくださいね。
りゅうくん:
はい。
――さようなら。
りゅうくん:
さよなら〜。
藤田先生:
さよなら〜。
【放送】
2023/07/23 「子ども科学電話相談」