10時台を聴く
23/09/10まで

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いちはらだいごくん(小学2年生・大阪府)からの質問に、「恐竜」の小林快次先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
小林先生:小林快次先生(北海道大学総合博物館教授)
川上先生:川上和人先生(森林総合研究所 野生動物研究領域 鳥獣生態研究室長)
だいごくん:質問者


――お名前を教えてください。

だいごくん:
だいごです。

――だいごくんは、どんなことが聞きたいですか?

だいごくん:
夏休みの自由研究に、「恐竜の飼い方図鑑」を作ろうと思います。僕は、イクチオルニスとシノルニスが飼いやすいと思います。小林先生は何が飼いやすいと思いますか?

――わぁ、おもしろい研究! 小林先生、お願いします。

小林先生:
はい。だいごくん、こんにちは。

だいごくん:
こんにちは。

小林先生:
これはなかなか……「飼い方図鑑」だから、飼い方をだいごくんが紹介して、夏休みの宿題にするという感じなのかな。それとも、飼いやすい恐竜を知りたいのかな。どっちなんだろう?

だいごくん:
書くんだけど、飼いやすい恐竜が何かっていうのを知りたい。

小林先生:
そうか。えーっとね、先生が思うのは、飼うためには、やっぱりその恐竜のことがよくわかっていないと駄目だよね。

だいごくん:
うん。

小林先生:
だから飼うのが簡単かどうかは別にして、恐竜の中でも、すごく研究が進んでいるグループとそうじゃない恐竜がいたりして、あと化石がたくさん出ているほうが、研究がたくさん進んでいるというのがあります。たぶん恐竜研究者の中で、先生も恐竜を研究しているんだけど、研究するのに結構人気のある恐竜というのがいるんです。だいごくんの好きな恐竜って、何?

だいごくん:
えっ。

小林先生:
たくさんあるから1つは選べないかな?

だいごくん:
エピデクシプテリクス。

小林先生:
おぉーっ、なかなかマニアックなところにいくねぇ(笑)。スカンソリオプテリクスが好きなのか、すごいね。ああいう皮膜を持ったやつが好きなんだ。

だいごくん:
うん。

小林先生:
すごいな……。これはなかなか強敵ですね。えっと、ティラノサウルスはすごく研究が進んでいます。なぜかというと、みんながティラノサウルスを好きなように、ティラノサウルスを中心にした研究は結構進んでいて、どういう生活をしていたかとか、どんなものを食べていたかがわかっているのね。一応参考になる本としては、『ティラノサウルス解体新書』というのがあるらしくて、私が書いた本ですけど(笑)、それを見てもらうといろいろ書いてあります。

あと2つ、先生が思うのは、よく研究が進んでいて、どんな生活をしてどんなものを食べていたかがある程度わかっていて、あと化石がたくさん見つかっているのは、ハドロサウルスの仲間と角竜(つのりゅう)の仲間です。「飼う」というのが、おうちで飼うのか動物園で飼うのかよくわからないけれど、研究が結構進んでいるからその辺は調べやすいし、どうやったらっていう想像がつくと思う。餌は何をあげるかとか、どういう生活をするかとか、動物のことをよくわからないと飼うことはできないので、やっぱりそういうのが大事かなと思います。だいごくんは、イクチオルニスやシノルニスがいいと思っているんだよね。理由は?

だいごくん:
鳥に近いグループだから、それで飼いやすいかなと思って。

小林先生:
鳥だからって、飼いやすい、のかな……。

だいごくん:
結構、大きめの恐竜だったら、ちょっと危ないかなと思って。

小林先生:
大きくてもおとなしかったら、よくない? 背中に乗ったりとかできたらどうだろう。

だいごくん:
んん……。

小林先生:
東南アジアとかでぞうさんの背中の上に乗ったりするのが、テレビであったりするじゃない。そういうの、よくない? 恐竜の背中に乗って遊ぶ、みたいな。

だいごくん:
うーん。

小林先生:
だいごくんがせっかく「鳥に近い恐竜」と言ってくれたので、ちょうど隣に、恐竜も大好きな「鳥」の川上先生がいるので、先生、どうですかねぇ。

川上先生:
はい。どうもこんにちは、川上でーす。

だいごくん:
こんにちは。

川上先生:
鳥の中にも飼いやすいのと飼いづらいのがいるので、飼いやすい鳥の条件というのを、ちょっと言いますね。どういうのが飼いやすいかというと、家の中で世話ができると飼いやすいので、1つはやっぱり小さいということですよね。だからさっきだいごくんが言ってくれたのは、1つ当たりかなと思います。

もう1つ大切なのは、餌がやりやすいということです。例えば魚しか食べないとかだと、いつも魚を用意しなきゃいけないから大変だけれども、雑食とか、種子、タネを食べるような鳥は飼いやすいですね。あと頭がいいやつは、なつきやすいんです。人間のこともすぐに覚えて「この人、いい人だ」ってわかるし、群れを作るような鳥も、「群れの仲間だ」と思ってくれるので飼いやすいんです。だから小型で、雑食とか種子食で、頭がいい、群れを作るような恐竜がいたら、飼いやすいんじゃないかなと思います。いいですか?

だいごくん:
うん。

小林先生:
川上先生、ありがとうございます。今、先生が言ってくれた条件を満たす恐竜というと、恐らくオビラプトル系の恐竜がいいのかなと思います。

だいごくん:
あぁ……。

小林先生:
大きいのもいるんだけど、もっと小さいやつで、くちばしなので恐らく砂肝みたいなものを持っていて、種子も食べられるだろうし雑食という可能性もあるし、あと、群れをなして生活していた。頭はめちゃくちゃよくはないかもしれないけれど普通にいいから、今の川上先生の条件だったら、オビラプトルか、オルニトミムスの仲間はダチョウ型で足が速いからちょっとやっかいかもしれないんだけど、あとはテリジノサウルスの仲間とか、そんな感じかなぁ。その中で一番よさそうなのは、オビラプトルの仲間かもしれない。あとは好きなやつを選んでください、オビラプトルの中で(笑)。どうだろうか?

だいごくん:
わかりました。

小林先生:
川上先生、イクチオルニスとかシノルニスが駄目な理由を教えてください。

川上先生:
だいごくん、イクチオルニスが食べるのは何だっけ?

だいごくん:
魚?

川上先生:
そう、魚だよね。魚をいっぱい用意するのはなかなか大変なのと、あと魚を食べると、結構、生臭くなっちゃうんです、鳥自体が。だからイクチオルニスを飼うとたぶんすごく生臭いと思うので、僕はあまりおすすめしないですね。シノルニスはいいかもしれない、小型だし。

小林先生:
シノルニスのほうがまだよくて、イクチオルニスは水の中で生活するので、プールも用意しないといけない。

川上先生:
そうですよね。大きいから、飛べるような大きなケージも用意しなきゃいけないので、イクチオルニスよりもシノルニスのほうがいいかなと思いますね。

小林先生:
そう思います。

――だいごくん、どうでしょう?

だいごくん:
わかりました。

小林先生:
ただ、先生が飼うんだったら、ハドロサウルスの仲間のカムイサウルスを飼います。

――それはなぜ?

小林先生:
カムイサウルスとヤマトサウルスは、私が名前を付けたので愛着があるので(笑)。

――あっ、そうなんですねぇ。だいごくん、小林先生と川上先生が一生懸命考えて答えてくれました。おもしろい質問をしてくれて、ありがとうございました。

だいごくん:
ありがとうございました。

小林先生:
ありがとうございました。

――自由研究、頑張ってね。

だいごくん:
うん。

――終わったら、また教えてほしいですね。

小林先生:
そうですね。教えてください。

――ありがとうございました。

だいごくん:
さよなら〜。

小林先生:
さよなら〜。

川上先生:
さよなら〜。

――さよなら〜。


【放送】
2023/07/16 「子ども科学電話相談」

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