わたなべしょうこさん(小学3年生・愛知県)からの質問に、「天文・宇宙」の永田美絵先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)
【出演者】
永田先生:永田美絵先生(コスモプラネタリウム渋谷 チーフ解説員)
福田先生:福田寛之先生(気象予報士)
丸山先生:丸山宗利先生(九州大学総合研究博物館 准教授)
しょうこさん:質問者
――お名前を教えてください。
しょうこさん:
しょうこです。
――どんな質問ですか?
しょうこさん:
水は透明なのに、どうして海は青いんですか?
――しょうこさんは、「こうかな」って思っていることはあるんですか?
しょうこさん:
はい。
――おっ、どんなふうに?
しょうこさん:
普通の水は少ないけど海の水は多いから、それが違うからそのことに関係があるのかなって。
――なるほどねぇ。量が違ったりするからということですね。永田先生、お願いします。
永田先生:
はい。わたなべしょうこさん、こんにちは。
しょうこさん:
こんにちは。
永田先生:
しょうこさん、なかなかすごくいい推理を繰り広げていますね。
しょうこさん:
はい。
永田先生:
じゃあまず私たちが「ものを見る」というのは、光が反射して、実はものが見えているんですね。真っ暗なお部屋とかだと見えなくなっちゃうでしょう?
しょうこさん:
はい。
永田先生:
太陽からやってくる光の中には、透明なんだけれどもいろんな色が混ざっているんだって。それは聞いたこと、ある?
しょうこさん:
はい。
永田先生:
よく知ってるね。虹のような色で赤とかオレンジとか黄色、青、紫……いろいろあるんだけれども、これがまず1つ、関係がありそうなんだって。
しょうこさん:
はい。
永田先生:
海の水は、手に取ると確かに透明なんだけれども、遠くから見ると青っぽく見えているよね。海の水の中には、私たちの目に見えないような小さな粒々がたくさんあって、太陽からの光が海に当たると、「いろんな色があるよ」って言ったけれども、そのうちのわりと赤っぽい光が吸収されちゃうんです。それも、深くなればなるほど少しずつ吸収されて、そうすると、残るのが青い光なのね。その青い光を反射して見ているので、海のような深いお水がいっぱいあるところは、青く見えるんですって。だから、しょうこさんの推理、「量で違うのかな」というのは、確かにそう。深くて水の量がすごく多い海とかだと、青っぽく見えるんだと思います。このへんは、「天気・気象」の福田先生にもちょっと一緒に手伝ってもらいたいので、福田先生、補足をお願いいたします。
福田先生:
はい、そうですね。しょうこさん、こんにちは。気象予報士の福田です。
しょうこさん:
はい。
福田先生:
よろしくお願いします。今、永田先生が説明してくれたことでほとんどそうなんですけど、海の青さというのは、赤い光の波長を吸収してしまうからなんですよね。ちょっとだけ、話を広げてもいいですか?
しょうこさん:
はい。
福田先生:
海の青は、さっき教えてもらったように、海の中の細かい粒々が光の中の赤いのを吸収してしまうから青くなるということでした。でも空が青いのは、ちょっと理由が違うんですよ。空にも同じように太陽から光が届いて、いろんな光が混ざっているんですけど、そのうち、目に届く光というのがあって、虹って見たことあります?
しょうこさん:
はい。
福田先生:
7色あって、一番外側が紫になっていると思います。紫の隣が何色だったか、ちょっと想像してもらってもいいですか。何色ですか?
しょうこさん:
青?
福田先生:
そのとおり! すばらしいです。そこから色がだんだんと、緑、黄色と変わって、オレンジ、赤というふうにいくんですけど、もう1つ、ここで覚えておいてほしいのは、さっき、いろんな色の光が吸収されると言ったんですけど、光は「波の性質」を持っています。ここは何となく、それはそういうものなんだなと思ってください。細かい波と大きな波があって、それによって色が変わるというふうに、ひとまず考えてもらってもいいですか?
しょうこさん:
はい。
福田先生:
そのうちで、青とか紫というのは小さい波なんです。赤とかは大きい波なんです。 この波の大きさの違いが、空の青さと関わっています。というのは、空にも、海と一緒で見えないくらいの細かい粒々が実はあります。そこに太陽の光が当たるわけですけど、その波が小さいと、なんて言うんでしょう……その、よく当たるんですね。 波が大きいと、当たりづらい。だから一番、波が小さい紫の光が、「散乱」という言葉があるんですけど、ぶつかって散らばっちゃいます。そうすると人間の目には届かなくて、紫の次にちょっと長い青の光はそこまでぶつからなくて人間の目まで届くので、空は青く見えるといわれています。
しょうこさん:
はい。
福田先生:
ちょっと話を広げましたが、海が青い理由と空が青い理由は、同じように光が原因なんですけど、その青のでき方が違うんですね。すごくわかりやすく言うと、海というのは、赤い光を吸収することによって青く見える。空というのは、紫の光とかが散らばっちゃうことによって青く見える。同じ青でも、「散らばり」か「吸収」かの違いがあります。ちょっと話を空まで広げちゃったんですけど、自然の中の青の秘密ということで、お話ししました。
永田先生:
福田先生、ありがとうございます。そうなんですよね。私はいつも思うんだけれども、私たちが見ている風景って、本当に色とりどりできれいですよね。空もいろんな色になったり、海も、ちょっとエメラルドグリーンみたいなのもあるじゃない? あれは、わりと浅いところだと赤い光がそんなに吸収されなくて残っちゃうので、ちょっとエメラルドグリーンになったりするんですって。だからちゃんと意味があるんだなということですね。太陽からやってくる光によって美しい世界が見られているので、これからも、しょうこさん、周りをいろいろと見渡してみてください。きれいな風景がいっぱいありますからね。
しょうこさん:
はい。
――丸山先生、腕組みして聞いてらっしゃいますね。
丸山先生:
ちょっと気になったのが、アフリカのナミビアに行ったときに、空がすごく濃い青だったんですよね。あれはなんでかなと思ったんですけど……。
福田先生:
それは恐らく、空は青と白っぽいのと濃いブルーなどがあるんですけど、それは大気の中、空の中にある小さな微粒子が多いか少ないかによるんです。要は、空気がきれいかどうかと思ってもらえばいいんですけど、空気が湿っていたり、ほこりとか花粉などが散らばっていると白っぽくなってしまう。ナミビアは、恐らく乾燥してすごく空気が澄んでいたから濃い青になったんじゃないかなと思います。
丸山先生:
わかりました。ありがとうございます!
――しょうこさんの質問から丸山先生も興味がわいて(笑)、教えていただきました。しょうこさん、すてきな質問をありがとうございました。
しょうこさん:
はい。
――わかりましたか、大丈夫ですか?
しょうこさん:
はい。ありがとうございました。
――ありがとうございました。さようなら。
しょうこさん:
さよなら〜。
永田先生:
さよなら〜。
福田先生:
さよなら〜。
【放送】
2023/06/25 「子ども科学電話相談」