11時台を聴く
23/08/13まで

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はりたりくさん(小学5年生・大阪府)からの質問に、「鳥」の上田恵介先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
上田先生:上田恵介先生(立教大学名誉教授/日本野鳥の会会長)
田中先生:田中理恵子先生(埼玉県こども動物自然公園園長)
りくさん:質問者


――お名前を教えてください。

りくさん:
りくです。

――どんな質問ですか?

りくさん:
ハシボソガラスについての質問で、ハシボソガラスの餌は、一気に巣へ運ぶんじゃなくて途中で隠したりするところがあるんですか?

――りくさんは、どういうところからこの質問を思ったんですか?

りくさん:
歩いてるときに、いつも、ハシブトガラスをめっちゃよく見るけど、ハシボソガラスを見つけて珍しいからずっと見てたら、ネコのカリカリの餌を口にくわえては飛んでいって、追いかけたら学校の校舎の屋上に置いていて、そのあとまた餌場に戻っては屋上に置くのを繰り返していたけど、餌がなくなったら今度は屋上からもっと遠くへ飛んでいったから、だから隠しているのかなと思いました。

――りくさん、よく観察していますねぇ……。では上田先生、お願いします。

上田先生:
はい。りくさん、こんにちは。ハシブトガラスとハシボソガラス、その区別は知ってるのね。

りくさん:
本で見て知りました。

上田先生:
そうかそうか。ハシボソガラスってね、先生なんかカラスを見ていると、ハシブトガラスも見てるけれども、ハシボソガラスのほうがハシブトガラスよりちょっと賢いような気がします。ハシブトガラスもハシボソガラスも、いっぺんで餌を食べずにくわえていって隠します。屋根の隙間とかに隠してるんだけど、ハシボソガラスはいったん隠したらまた取り出して、違うところに運んだりということもしています。

りくさん:
はい。

上田先生:
なんでそういうことをしてんのかなっていうと、たぶんね、仲間のカラスに隠した場所を見られたりしたときに、とられないように、いったん隠したふりをして違うところに持って行ったり、そういうことをしているのかもしれない。それぐらい、ハシボソガラスは頭がいいと思います。あと、りくさんは、ハシボソガラスをずーっと見てたのね。

りくさん:
はい。

上田先生:
それはたぶん、ハシボソガラスが人間に見られてるなということを感じて、「ヤバイからちょっと違うとこへ隠そうかな」と思ったんじゃないかなと思います。カラスがそういうふうに隠し場所を変えるというのは、ごく普通のことですね。カラスって、賢いでしょう? 先生のしりあいでカラスの研究してる先生がいて、その先生が言ってたんだけど、「カラスって、鳥の中のチンパンジーだよ」って言ってたね。ここは田中先生に急にふっちゃいますけど、チンパンジーもそういうこと、しますか?

田中先生:
うちの動物園にチンパンジーがいないのでわからないのですが、ただ、餌をためるというので有名なのは、リスですね。リスの場合は、例えば動物園にもホンドリスという、日本の本州にすんでいるリスがいるんですけど、餌をあげると自分の餌を自分の巣箱に持って行って食べるんです。でも冬のときに食べられるように残しているんですよ。動物園ではいつも絶対餌をもらえるのに、それでもためるという、そういう本能がありますね。だから巣箱を交換するときに、その巣箱を開けると餌がビッチリ入っていてジャラジャラ出てきます(笑)。

上田先生:
あぁ、ほんと、すごいね(笑)。ハシボソガラスも餌がたくさんあるときは、おなかが空いていたらその場で食べてしまうけど、いっぱいあったらちょっと隠しておいて、あとで餌が少ないときに取り出して食べようとしているんだと思います。カラスはそれぐらいのことはちゃんと考えてできる賢い鳥だなと思います。

――カラスはとても好奇心が強くて、いろんなことができるんですね。

上田先生:
そう。本当にびっくりするようなことをしますし、遊んだりもしますね、人間みたいに。例えば電線にぶら下がってブランコみたいにブラブラしてたりね、滑り台を頭と背中を下にして滑るとか、それはカラスにとってはなんの意味もないように思うでしょう? だけど、どうも楽しんでやってるみたい、何回も繰り返すから。すごいでしょ。

――鳥の中でもそうやって遊ぶというのは珍しいことですか?

上田先生:
あまりないと思うんですけどね。巣立ったばかりの若い鳥たちは、ちょっと遊ぶ傾向があるような気はしますけどね。ツバメなんか見てたらね、飛ぶ練習をするんですよね、若いツバメが。若いツバメだとなんでわかるかというたら、若い子たちは尻尾が短い。だからこれは巣立ったツバメの子だなと思うんですけど、そういうのが、スズメとかほかの鳥が止まってたらサッと急降下して脅かしたりするの。これはツバメにとっては別に意味のあることじゃないから、遊んでるんじゃないかなと思ったことがあります。

――それにしても、りくさん、よく観察してましたね。

上田先生:
そう。ずっとハシボソガラスの行動を見てたんですものね。

――りくさん、カラスってそんないろんな行動をするんですって。

上田先生:
そう。いろいろできるよ。

りくさん:
すごーい……。

上田先生:
もっともっと見てると、誰も見たことのないような行動を見つけることができるかもしれません。

りくさん:
はい。

――ねぇ。遊んだりもするんですって。りくさん、鳥を見るときはどうしても上を見てしまいますから、どうぞ気をつけて観察してくださいね。

りくさん:
はーい。

上田先生:
はい。

――質問してくれてありがとうございました。

上田先生:
ありがとうね。

りくさん:
ありがとうございました。

――さようなら。

りくさん:
さよなら〜。


【放送】
2023/06/18 「子ども科学電話相談」

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