おおわせいくん(小学6年生・千葉県)からの質問に、「科学」の藤田貢崇先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)
【出演者】
藤田先生:藤田貢崇先生(法政大学教授)
せいくん:質問者
――お名前を教えてください。
せいくん:
せいです。よろしくお願いします。
――よろしくお願いします! どんな質問ですか?
せいくん:
氷のように、金も加熱し続けたら気体になるんでしょうか?
――せいくんは、どんなときにこういう質問が浮かんだんですか?
せいくん:
学校で水を沸騰させて気体にする実験をして、金も熱し続ければ気体になるんじゃないかと思いました。
――学校の実験で疑問に思ったわけですね。では藤田先生、お願いします。
藤田先生:
はい。おおわせいくん、こんにちは。
せいくん:
こんにちは。
藤田先生:
氷のように金も加熱し続ければ気体になるだろうか、という質問ですね。では、氷のときはどういう状態だったのか、少し詳しく聞きましょう。氷は温めていくと、何になりますか?
せいくん:
まず、0℃まで温度が上がると水になりました。
藤田先生:
はい。このときの温度を「融点」といいます。それは習いましたか?
せいくん:
いえ、それは習いませんでした。
藤田先生:
はい。まず、固体だったものが液体になりました。そして液体の水は、何℃になったら、どうなりましたか?
せいくん:
水は100℃になると沸騰しました。
藤田先生:
沸騰して、水は何に姿を変えましたか?
せいくん:
水は沸騰して水蒸気になりました。
藤田先生:
そうですよね。氷、水、水蒸気というふうに、物質には3つの姿があるというのは習いましたか?
せいくん:
はい。
藤田先生:
氷のときは固体、液体のときは水、気体のときは水蒸気になる、ということでしたね。
せいくん:
はい。
藤田先生:
固体から液体になるときの温度のことを、「融点」と呼びます。液体から気体になるときの温度のことを、「沸点」といいます。そうすると水の融点は何℃になりますか?
せいくん:
水の融点は0℃ですか。
藤田先生:
そうですね。では水の沸点は?
せいくん:
100℃ですか。
藤田先生:
そうですね。物質には3つの姿があると話しましたが、やっぱり金もそうなんです。
せいくん:
へぇ〜。
藤田先生:
一般的にどんなものでもそうなんですね。ただ、液体の金は見たことありますか?
せいくん:
ありません。
藤田先生:
ないですよね。普通は見ることはないんです。どうしてかというと、融点がかなり高いところにあるんです。どれぐらいかというと、金の融点は1064℃ぐらいです。日常生活では経験できない温度ですよね。
せいくん:
そうですね。
藤田先生:
1064℃を超えると、固体だった金は液体になるんですね。
せいくん:
へぇ〜。
藤田先生:
金は、固体であってもいろいろな形に作り変えることができますよね。延べ棒になったり、コインみたいな形になったり、あるいはネックレスみたいな装飾品になったりしますよね。たたいて修正することもありますけれども、溶かして形を変えることもあると思います。では、液体になった金の温度をさらに上げていくと、物質には3つの姿があるので、やがて気体になるんです。
せいくん:
へぇ……。
藤田先生:
どれぐらいの温度かというと、液体が気体になる温度だから沸点ですよね。金の沸点は、2857℃というふうに求められています。相当高いですよね。かなり頑張らないと気体にならないということです。
せいくん:
はい。
藤田先生:
物質というのはこのように温度によって姿を変えるんですけれども、もうちょっと難しいことをいうと、温度と圧力によって決まります。とても身近に固体・液体・気体の状態を見ることができるのは、水、ということになります。金を気体にして何か使い道があるかというと、何かあると思います?
せいくん:
えーっ、あんまり思いつかないですね。
藤田先生:
例えば、金に限らないのですが、人間の技術で「蒸着(じょうちゃく)」という、これは、固体を気体にして何かの表面にくっつけてやることをいうんですね。
せいくん:
へぇ〜。
藤田先生:
例えば、スキーのゴーグルを見たことはありますか?
せいくん:
はい、あります。
藤田先生:
あれって、キラキラしてますよね。
せいくん:
してますね。
藤田先生:
あれはフィルムに物質を蒸着させることによって、反射率をうまく調整したり、いろんな見えるうえでの工夫をしたりするということがあるんですね。例えば金の場合は……電子顕微鏡という、ものすごい性能の、拡大率がいい顕微鏡があるんですが、それでものを見るときに、金を蒸着させてサンプルを見る方法があったと思いますね。というように、実験でも金を蒸着させることはありますけれど、真空にした容器の中で、金の温度をぐっと上げて蒸着させるというような技術があります。というふうにするんですよ。
せいくん:
はい。
藤田先生:
物質には3つの姿があると、せっかく学校で学んだけれども、実はもう1個あるのは知ってました?
せいくん:
えっ、そうなんですか?
藤田先生:
さらに温度を上げると、電気を通す気体になれるんです。
せいくん:
えーっ?
藤田先生:
それを、「プラズマ」といいます。プラズマというのは実は身近で、蛍光灯の中、ありますよね。
せいくん:
ありますね。
藤田先生:
あれはプラズマです。
せいくん:
えーっ……。
藤田先生:
というようなこともありますね。大丈夫かな?
せいくん:
はい。
――プラズマというのも、生活の中でよく聞く言葉になってきましたね。せいくん、わかりましたか?
せいくん:
はい。
――またぜひ質問を送ってください。
せいくん:
ありがとうございました。
――ありがとうございました。さようなら。
せいくん:
さよなら〜。
藤田先生:
さよなら〜。
【放送】
2023/06/11 「子ども科学電話相談」