10時台を聴く
23/08/06まで

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こわたしゅういちろうくん(小学2年生・東京都)からの質問に、「植物」のアキリ亘先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
アキリ先生:アキリ亘先生(農研機構 上級研究員)
しゅういちろうくん:質問者


――お名前を教えてください。

しゅういちろうくん:
しゅういちろうです。

――どんな質問ですか?

しゅういちろうくん:
どうして植物は心臓がないのに生きていけるの?

――しゅういちろうくんは、何か植物を育てていたりするんですか?

しゅういちろうくん:
お母さんが庭にいっぱい花を植えていたりするんですけど、たまに庭を見たりしています。

――そういうときに、「心臓がないのに元気に育ってるなぁ」と思うんですか?

しゅういちろうくん:
思ったのはちょっと前で、年中さんぐらいのときにパパと草取りをしていて、「どうして心臓がないんだろうなぁ」って、思ったんだ。

――パパと草取りしたときに思ったんだねぇ。では先生に聞いてみましょう。アキリ先生、お願いします。

アキリ先生:
はい。こわたしゅういちろうくん、こんにちは。

しゅういちろうくん:
こんにちは。

アキリ先生:
おもしろい質問ですよね。どうして植物には心臓がないのに生きているのか、ということですよね。

しゅういちろうくん:
はい。

アキリ先生:
しゅういちろうくんは、心臓はどんな役割があるか、考えたことはありますか?

しゅういちろうくん:
うーん、ないけど、図鑑で見たことはあるなぁ。

アキリ先生:
そっか。少し知っているんだね。

しゅういちろうくん:
うん。血を作る、血を流すっていうのは。

アキリ先生:
うんうん。例えば、しゅういちろうくんとか私とか、人も動物も心臓を持っているんだけれども、血を流すというのはいろんな役割があって、1つは、鼻から吸った空気の中の酸素っていうのを体の中に取り込んで、その酸素を体中に巡らせるというのがあるよね。それは知ってるかな?

しゅういちろうくん:
知らなかった。

アキリ先生:
そういうのがあって、それからもう1つは、しゅういちろうくん、ごはんを食べるでしょう?

しゅういちろうくん:
うん。

アキリ先生:
ごはんには栄養があるでしょう? でも口からごはんを食べて栄養が口だけで止まっちゃったら、手とか足に栄養がいかないよね?

しゅういちろうくん:
はい。

アキリ先生:
それでは困るから、食べたらおなかの中に食べ物が入って、おなかの中で栄養分が体の中に入っていって、それが、心臓からの血の流れで栄養分が体中に届けられるということなんだけれども、今のこと、覚えておいてくれるかな?

しゅういちろうくん:
はい。

アキリ先生:
体に必要なものを体中に届けるのが、心臓の役割なんですよね。動物だと、血を体中に巡らせて栄養分を届けるというのが心臓の役割なんだけど、じゃあ植物はどうなのか――。植物も、体の中に栄養を届けるしくみがあるんですよ。

しゅういちろうくん:
えーっ……。

アキリ先生:
植物には人間みたいな血はないんだけれども、お水と一緒に栄養分を体中に届けるしくみがあるんです。ただ、心臓がないから、動物とはちょっと違うしくみで流れているということなんです。ここまでは大丈夫かな?

しゅういちろうくん:
はい。

アキリ先生:
体中に栄養を届ける水の流れを作るしくみを、簡単に説明しますね。まず、しゅういちろうくんは、大人の人が庭とかで花を育てているときに、たまに栄養分をあげているのを見たことはありますか?

しゅういちろうくん:
肥料とかまいているところ?

アキリ先生:
そうだよね、そうそう。肥料は植物の栄養になるものなんですよね。根っこの近くにあげるでしょう?

しゅういちろうくん:
はい。

アキリ先生:
植物は根っこから栄養を取り込むことができるんですね。そのときに、お水と一緒に取り込むような感じになるんです。根っこの表面が、栄養を水と一緒に取り込むようなかたちになりますね。でもここで終わっちゃうと根っこにだけ栄養がたまって葉っぱとかに栄養がいかないから、植物は困っちゃうよね。そうならないように、上に向かう水の流れを作るんです。そのときに、まず根っこが水を上に押し上げる力が1つ。それから葉っぱから、根っこにある水を引き上げる力が1つ。この2つが、力として必要なんですね。もう1つ重要なのが、水って、細いストロー(の中)だと泡が入らないでずっとつながっていられるのは知っていますか?

しゅういちろうくん:
知りません。

アキリ先生:
お水って、指ではすくえないけど、ストローとかで吸い上げると飲めるでしょう?

しゅういちろうくん:
はい。

アキリ先生:
それと同じような感じで、植物の体の中には細いストローみたいなものがたくさんあるんですよ。その中にお水が入っていて、それを上の葉っぱのほうから引き上げるような力が働いているんです。

しゅういちろうくん:
ふぅ〜ん。

アキリ先生:
もう1回まとめて言うと、根っこで栄養を水と一緒に取りました。根っこは頑張ってそれを持ち上げようとするんだけれども、それだけでは足りないから、葉っぱが今度水を引き上げるという働きをするんです。そうすると根っこから葉っぱに向かって、お水の流れができるんですね。お水の流れができると栄養もその流れにのって、下から上に届けることができるんです。これが、植物の栄養を届けるしくみなんです。

しゅういちろうくん:
へぇ〜。

アキリ先生:
葉っぱがお水を引き上げるには実は難しいしくみがあって、葉っぱってね、汗をかくんですよ。

しゅういちろうくん:
へー。

アキリ先生:
今度ビニール袋を持ってきて、植物の葉っぱとかをその中に置いてみてください。そうするとビニール袋の中にいっぱい水滴がつくんです。葉っぱからお水がたくさん出ていることがそれでわかるんだけれども、葉っぱも汗をかくんですね。

しゅういちろうくん:
へぇ〜。

アキリ先生:
葉っぱが汗をかくと、葉っぱのお水が減るでしょう?

しゅういちろうくん:
うんうん。

アキリ先生:
そうすると、足りなくなった分を下から吸い上げるんです。それが、葉っぱが水を持ち上げる力になっているんです。

しゅういちろうくん:
あぁ!

アキリ先生:
こんな感じなんだけど、わかるかな?

しゅういちろうくん:
はい。

アキリ先生:
根っこが持ち上げるし葉っぱも持ち上げる。それで水の流れができる。その水の流れにのって、栄養が体全体に届けられる。その栄養を使って、植物は育つことができる。そういう流れになるんですね。いいかな?

しゅういちろうくん:
はい。

――お父さんと草むしりをして疑問に思ったって、すてきですよね。身近なところに、「どうかな?」っていうこと、ありますよね。

アキリ先生:
そうですね。動物と植物は体のつくりがもちろん違うので、そうやって触れ合うことで、植物に対するいろいろな疑問が生まれていくので、もっともっと観察して動物との違いも見つけていってほしいなと思います。

――しゅういちろうくん、大丈夫ですか?

しゅういちろうくん:
はい。

――質問くれて、ありがとうございました。

しゅういちろうくん:
ありがとうございました。

――さよなら。

しゅういちろうくん:
さよなら〜。

アキリ先生:
はい、さよなら〜。


【放送】
2023/06/11 「子ども科学電話相談」

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