10時台を聴く
23/07/30まで

10時台を聴く
23/07/30まで

もりしょうまくん(小学1年生・千葉県)からの質問に、「心と体」の篠原菊紀先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
篠原先生:篠原菊紀先生(公立諏訪東京理科大学教授)
小松先生:小松貴先生(昆虫学者)
岡嶋先生:岡嶋裕史先生(中央大学国際情報学部教授/学部長補佐)
しょうまくん:質問者


――お名前を教えてください。

しょうまくん:
しょうまです。

――どんな質問ですか?

しょうまくん:
みんなで力を合わせるとうまくいくのはなぜですか?

――しょうまくんは、みんなで力を合わせて「うまくいったなぁ」という体験が、何かあるんですか?

しょうまくん:
はい。

――教えてもらっていい? どんなことしたの?

しょうまくん:
幼稚園の運動会のときに、パラバルーンという種目をみんなでたくさん練習して、本番で大成功してうれしかったときに思いつきました。

――あぁ、うまくいったんですねぇ。みんなで色とりどりの大きい布の端っこを持って、空気を入れて浮かせたり形を作ったりするんだけれども、タイミングやリズムを合わせたりするのが、ちょっと難しいんですよね。では、先生にお答えいただきましょう。篠原先生、お願いします。

篠原先生:
はい。しょうまくん、こんにちは。

しょうまくん:
こんにちは。

篠原先生:
バルーン、面白いよね。見るのも面白いし、やるのも面白いよね。

しょうまくん:
はい。

篠原先生:
布の周りをみんなで持ってぐるぐる回ったり、立ち止まっていい感じに上下して波を作ったりね。真ん中にポールを立てて「メリーゴーラウンド」とかもやった?

しょうまくん:
うん。

篠原先生:
布を膨らませて中に入って「かくれんぼ」とか、上げ下げして「シーソー」とか、いろんな技があるんだよね。どんなのやったか、技の名前とか覚えてますか?

しょうまくん:
はい。「ウェーブ」とか。

篠原先生:
あぁ! 一緒に動かしたり真ん中によって膨らませたり、とにかくタイミングが合わないとうまくいかないよね。

しょうまくん:
うん。

篠原先生:
しょうまくんたちは、結構、練習したんでしょう?

しょうまくん:
はい。

篠原先生:
練習でうまくいかなくてバルーンがゆがんだりとか、あんまり膨らまなかったりとか波にならなかったりとか、でも練習で何度もやって合うようになって、ちゃんと動くようになっていったんだよね。

しょうまくん:
はい。

篠原先生:
しょうまくんの質問は、「みんなで力を合わせるとうまくいくのはどうしてですか?」っていう質問だったよね。

しょうまくん:
はい、そうです。

篠原先生:
「みんなで力を合わせるとうまくいくのはなぜ?」ということなんだけど、「力を合わせるから、うまくいく」というより、「力を合わせないと、うまくいかない」ということが、結構いっぱいあるってことだと思うんだよね。だから、みんなで動きを合わせてタイミングを合わせるような練習をたくさんするっていうことなんだよね。

しょうまくん:
はい、そうです。

篠原先生:
うん。たくさん練習すると、うまくバルーンが動いてくれるということなんだよね。だから、力をうまく合わせる練習が必要だと思うんだよね。似たような遊びでさ、フラフープって、わかりますか?

しょうまくん:
わかりません。

篠原先生:
プラスチックでできているまあるい輪っかみたいなのがあって、昔は腰のところに当てて腰をぐるぐる回してフラフープを回したりしたんだけど、今はするわけないよね(笑)。えっと……そういう丸い輪っかみたいなやつを、みんなで人さし指だけで支えるというのがあるんですよ。

しょうまくん:
はい。

篠原先生:
それをみんなで、だんだん上に上げていこうってことをやるんだけど、みんなの力が変なふうに合わさるとピューッと横に飛んでっちゃったりして、なかなかきれいに上に上がらないの。これは物理の話になっちゃうけど、みんなの力が合成されてちょうど上に向かってくれないと、うまくいかないんです。

同じような遊びでさ、まだ、しょうまくん、やったことないと思うけど、4人が指2本だけ使って人を持ち上げるゲームっていうのもあるんです。これもなかなかうまくいかないんだけど、「みんなで力を合わせて、やるぞ〜」みたいに息を合わせてやるとわりとうまくいったりするんですね。なので、みんなでちゃんとタイミングを合わせてうまくやるっていうことをやらないと、なかなかうまくいかないことはたくさんあるということなのね。

しょうまくん:
はい。

篠原先生:
きょうは、「昆虫」の小松先生と「コンピューター・ロボット」の岡嶋先生がいらっしゃいます。昆虫でも力を合わせないとうまくいかないとか、合わせるとうまくいくことがあるのかとか、人工知能とかプログラムどうしでも、うまくタイミングを合わせるとかしなきゃいけないとか、そういうことがあるのかっていうことを聞いてみたいと思いますけど、いいですか?

しょうまくん:
はい。

篠原先生:
じゃあまず、小松先生、お願いします。

小松先生:
集団行動っていうことなんですけれども、昆虫において集団で活動するのが上手な昆虫といったら、何はなくても、アリ。特に外国にいるグンタイアリと呼ばれているアリの仲間は、他のアリとは違う大きな特徴が1つあって、絶対に1匹で行動しないんですよ。常に餌をとるにも群れで行動しますし、他の虫を殺して食べちゃうんですけれども、その殺した虫の残骸とかを運ぶときも、特に大きくて1匹で運べないようなものは必ず仲間と共同で、整然と運んでいくんです。でも面白いことに、その大きさの餌を運ぶのに必要最小限の数のアリしか参加しないんですよ。余計なアリは絶対に協力しません。

しょうまくん:
はい。

小松先生:
私、昔、南米のジャングルに行ったときに、餌を運んでいるグンタイアリを観察したんですが、3cmぐらい、小指の大きさぐらいのキリギリスの死体を、確かアリが4匹ぐらいで共同で運んでいたんです。運んでいる最中、周りにいっぱい手ぶらのアリがいるんですけど、誰もそれに協力しないんですよ。ところが餌を運んでいるアリたちが草がいっぱい生えているところにさしかかると、餌が草に引っ掛かって動かなくなっちゃったんですよ。周りにいる他の手ぶらのアリたちはそれまで協力も手助けも何もしていなかったんですけれども、獲物が草に引っ掛かって全く動かなくなったその瞬間に、周りでそれまで素通りしていた手ぶらのアリたちが、一斉にそこにうわっと集まってきて、草から獲物を外すのを手伝ったんです。そしてまたうまく餌を運べるようになったとたんに、手助けしていた手ぶらのアリたちは風のようにいなくなって、また3匹か4匹で運び始めたんですよ。

しょうまくん:
わぁ……。

小松先生:
私、試しに、ピンセットを使って運んでいる最中の獲物をつまんで動かなくしたんです。そしたらまた周りにいた手ぶらのアリたちがうわっと集まってきて、ピンセットを外そうとし始めたんです。私がピンセットを離すとまた手助けのアリたちがいなくなって、また3〜4匹で運び始めた。何回やっても結果は同じでした。

グンタイアリって、目が見えていないんです。目がすごく悪くて物が見えていないので、周りの状況を目で見て理解することはできてないんですよ。なので恐らくアリたちは、餌を運んでいるときに何かに引っ掛かったりして具合が悪くなったときに、何らかの信号、たぶん音、あるいはにおい、化学物質なんですけれども、そういうものを出して、「今、困っているから助けてくれ」っていう信号を周りに発するんですよね。それに反応した周りのアリたちが、それを助けに行く。そして状況がよくなった時点で、助けを求めていたアリたちは信号を出すのをやめるので、それで周りの手助けたちは、もう必要ないと思ってどこかに行くという、たぶんそういうシステムを彼らはとっているんですよ。グンタイアリの仲間は、化学物質を使った仲間どうしのコミュニケーションをとっているらしいんですけど、まだまだ解明されていない点が多いみたいですね。

しょうまくん:
はい。

――面白いですねぇ。風のように去っていく、と。岡嶋先生、人工知能やコンピューターではどうでしょう。

岡嶋先生:
もともとコンピューターはいろんなものが力を合わせてでき上がっている機械ですよね。画面があって、計算するところがあって、キーボードがあって、それが力を合わせることで、1つのコンピューターという機械を作っていたりします。今、お話しくださった人工知能は、1つ1つでもうまく動くものもありますよね。例えば、絵を描くAI、お話をするAI、それぞれすごく便利だと思うんです。でも例えば絵を描くAIに、「こういう絵を描いて」とお願いしているんだけど思ったとおりの絵にならないとき、お話をするほうのAIに、「こんな絵を描きたいんだけど、絵を描くAIにどんなふうに頼んだらいいか」を教えてもらって、それでその言葉を使って頼むと、自分が頼んだときよりうまい絵が出てくるとかありますから、組み合わせることによって、すごく力がつくとかもっとよくなるということは、いろんな場面であると思います。

しょうまくん:
はい。

――コンピューターの世界でも、力を合わせるということがあると。最後に篠原先生、お願いします。

篠原先生:
みんなの話を合わせると、力を合わせるとうまくいくことが結構あるんだけど、必要なときに必要なだけ、うまい組み合わせで力を合わせるというのが、どうも大事っていうことらしいから、やたらめったら「みんなでやろう!」というよりは、「ちゃんとうまいことやってみましょう」というところが大事だなっていうふうに思いました。こんなところで、よろしいですかね。

しょうまくん:
はい。

――しょうまくん、質問くれてありがとうございました。

しょうまくん:
ありがとうございました。

篠原先生:
ありがと〜。

――さようなら。

しょうまくん:
さよなら〜。

篠原先生:
さよなら〜。


【放送】
2023/06/04 「子ども科学電話相談」

10時台を聴く
23/07/30まで

10時台を聴く
23/07/30まで