11時台を聴く
23/07/23まで

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きのしたけいたくん(小学3年生・大阪府)からの質問に、「昆虫」の丸山宗利先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
丸山先生:丸山宗利先生(九州大学総合研究博物館 准教授)
川上先生:川上和人先生(森林総合研究所 野生動物研究領域 鳥獣生態研究室長)
林先生:林公義先生(北里大学海洋生命科学部 講師)
けいたくん:質問者


――お名前を教えてください。

けいたくん:
けいたです。

――どんな質問ですか?

けいたくん:
テントウムシはなぜ赤いんですか?

――けいたくんは、どんなところからこの疑問がわいたんですか?

けいたくん:
おじいちゃんの畑に行って、カエルは土の色をしてたり、アオムシはキャベツの色をしていたりして、(なのに)テントウムシは赤くて目立っていたから。

――あぁ、おじいちゃんの畑でねぇ。教えていただきましょう。丸山先生、お願いします。

丸山先生:
はい。けいたくん、こんにちは。

けいたくん:
こんにちは。

丸山先生:
すごいことに自分で気づいたね。えらいねぇ。実は前の質問で、虫の色は、敵に見つからないようにするためっていう、これは他の多くの生き物と同じだね。あと、紫外線から身を守る意味もあるという話をしたばっかりなんですけれども、例外もあります。例えばね、テントウムシじゃないけどきれいなチョウチョだと、同じ種の仲間に対して「同じ種だよ」とか、「同じ種のオスだよ。メスだよ」というのを示す意味を持っています。

けいたくん:
へぇ〜。

丸山先生:
テントウムシはどうしてかということなんだけれども、テントウムシに触ったこと、ある?

けいたくん:
ある。

丸山先生:
触るとどうなる?

けいたくん:
黄色い液みたいな……。

丸山先生:
そうそう。テントウムシが出す黄色い汁って、なんか、くさくて苦い汁なんだよね。

けいたくん:
へぇ〜。

丸山先生:
テントウムシは黄色とか赤とか派手な色が多いんだけれども、それはね、小鳥とかの敵に対して、「黄色い汁が出るから、食べてもおいしくないよ」ということを示している色なんだよね。もう少し詳しく話すと、例えば若い小鳥とかカエルとかが、最初に間違えてテントウムシを食べちゃうんだよね。そのときにその黄色い汁の味がして、「わぁ、まずい!」ってなって、「この模様の虫は2度と食べない!」というふうに、勉強するんだよ。

けいたくん:
うんうん。

丸山先生:
そのテントウムシは死んでしまうけれども、そのあと、他のテントウムシが襲われずに済むことができます。

けいたくん:
へぇ〜。

丸山先生:
テントウムシは赤い色に黒い模様がついていたりするでしょう? それは、敵が「まずかった」ということをとても覚えやすい色なんだよね。それでテントウムシはそういう派手な色をしています。

けいたくん:
へぇ〜。

丸山先生:
他にもそういう派手な虫、知ってる? 例えばスズメバチとかアシナガバチも、派手な色、してるでしょう? 黄色と黒のシマシマで。

けいたくん:
あぁ!

丸山先生:
スズメバチとかアシナガバチは、刺されるととても痛いでしょう?

けいたくん:
うん。

丸山先生:
だからああいう色も、敵が1回(刺されて)覚えると、「これは刺されたら危ないんだ」っていうふうに覚えやすい色なんだよね。だから派手な昆虫というのは、だいたい刺されたら痛いとか、食べたらまずいとか、そういう意味を持っているものがほとんどです。

けいたくん:
はい。

丸山先生:
それで面白いのはね、ちょっと話が脱線するんだけど、毒がないのにテントウムシとかスズメバチと似た色の昆虫がたくさんいるんです。

けいたくん:
そうなんだ。

丸山先生:
熱帯に行くとテントウムシにそっくりなゴキブリがいたり、それから日本にも、スズメバチにそっくりなガとかカミキリムシがいたりします。体に毒とかを持っていないんだけれども、テントウムシやスズメバチが嫌われることを進化の間で身につけて、それでそういう色や形をしているんだよね。体に毒などの危険なものを全然持っていないんだけれども、そういうまねをして、身を守っている昆虫もたくさんいます。テントウムシの場合は、「苦い汁を出すからまずいんだよ」ということを天敵に示すための色をしている、ということですね。わかったかな?

けいたくん:
はい。

――川上先生、鳥にもいろいろな色の鳥がいますよね。

川上先生:
先ほど丸山先生が言われたとおり、毒があったりする場合にそれをわからせる役割があるということで、例えば、珍しいけれど毒のある鳥、ズグロモリモズの仲間というのがいるんですけど、特徴的な色彩をしていて、それに擬態しているような鳥がいるんじゃないかと言われていますね。似たような姿をすることで、だますんじゃないかとか言われています。

――先ほど丸山先生のお話にあった、テントウムシのようなゴキブリという感じでしょうか。林先生、魚はどうでしょう。

林先生:
食べられないためというか、その逆の効果を使っているものもいますね。安全な魚の色や模様に合わせて、実はひどいこと、例えば魚のウロコを取って食べてしまうとか肉をかじってしまう、そういうことをするものがいます。食べられるほうが、安全な魚だと思って逃げないんですよね。安全な魚のふりをして近づいて実はひどいことをするという、そういう魚もいます。

――いい人のふりをして寄ってくる、みたいな?

林先生:
そういうことです(笑)。だから生物って、すごいですよね。いかに自分たちを守りつつ、餌になるものをとっていくかというしくみですよね。

丸山先生:
昆虫もいろんな色とか形があるんですけれども、ほとんどの意味がわかっていないんですよね。鳥もそうだと思いますけど、なんでそうなのか、わかっていないことが圧倒的に多いんです。だから今回のけいたくんの疑問も、大事なことだと思いますね。

――けいたくん、テントウムシを触ったこともあったんですね。おじいちゃんの畑で、いろんな生き物が見られていいですね。

けいたくん:
はい。

――これからも不思議だなと思うことがあったら質問送ってくださいね。

けいたくん:
はーい。

――ありがとうございました。

けいたくん:
ありがとうございました。

――さよなら〜。

けいたくん:
さよなら〜。

丸山先生:
さよなら〜。


【放送】
2023/05/28 「子ども科学電話相談」

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