10時台を聴く
21/08/08まで

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なかざわもとやすくん(小学6年生・群馬県)からの質問に、「鳥」の川上和人先生が答えます。(司会・石井かおるアナウンサー)

【出演者】
川上先生:川上和人先生(森林総合研究所 野生動物研究領域 チーム長)
もとやすくん:質問者


――お名前を教えてください。

もとやすくん: もとやすです。

――どんなことを聞きたいですか?

もとやすくん: カラスはなぜ危険を冒してまでタカにモビングをするんですか?

――「モビング」? それはどういうものですか?

もとやすくん: 「攻撃のまね」っていう意味です。

――カラスはなぜ危険を冒してまで、タカに対して追い払うような攻撃のまねをするのか、ということですね。川上先生に聞いてみましょう。お願いします。

川上先生: はい、どうもこんにちは、川上でーす。
もとやすくん: こんにちはー。
川上先生: もとやすくんは、カラスがモビングするの、見たことありますか?
もとやすくん: はい。
川上先生: そのとき、カラスは何羽でした?
もとやすくん: 1羽でした。
川上先生: 1羽でしたか、頑張ってたねえ。それはいつぐらいに見たの?
もとやすくん: うーん、忘れちゃいました。
川上先生: そっか、そっか。うん。カラスよりタカのほうが強いわけだよね。そこにカラスがわざわざ行って追い払おうとするっていうのは、逃げちゃったほうがいいんじゃないかなって、思うわけだよね。
もとやすくん: はい。
川上先生: ちょっと、タカの気持ちになってもらいたいんだけれども、タカは鳥をとって食べたりするよね。自分がタカだとして、例えばどんな鳥をとりたい?
もとやすくん: えーっ……。スズメとかムクドリとかヒヨドリとか。
川上先生: ちょっと小さくて、なんだか弱そうな鳥、だよね。
もとやすくん: はい。
川上先生: 例えば同じムクドリでも、こっちに向かって攻撃してくるムクドリと、攻撃してこないムクドリがいるとわかったときに、どっちを襲う?
もとやすくん: 攻撃してこないムクドリです。
川上先生: そうだよね。タカも鳥をとって食べるのは大変だから、ラクチンにとりやすいものをとるよね。実はカラスもタカに襲われることがあって、どういうのが襲われやすいかを考えてみてもらいたいんだけれども、どう思う?
もとやすくん: えーっ、攻撃してこなくておとなしいカラス。
川上先生: そうだよねえ。特にそれが一番できないのは、卵とかヒナだと思うんだよね。それで今度はカラスの気持ちになってみると、卵とかヒナが食べられちゃったら、大変だよね。
もとやすくん: はい。
川上先生: そういうときにカラスがそのまま逃げてしまったら、巣を見つけられて卵やヒナを食べられちゃうかもしれないわけだよね。そうすると、逃げるようなカラスっていうのは子どもを残せなくなるかもしれません。そのときにカラスが攻撃したらどうなるかっていうと、例えばもとやすくん、何か捜し物をしているとき、横から友達がちょっかい出してきたら、捜し物をしづらくなるよね?
もとやすくん: はい。
川上先生: それと同じでカラスが攻撃をし始めると、タカが巣や卵を見つけるのはたぶん難しくなると思うんだよね。集中できなくなっちゃう。あとタカは、相手に逃げられないように、先に相手に見つからないようにして急に襲いかかったりするんだけれども、そういうときに相手に気づかれてちょっかい出されてしまうと、襲えなくなっちゃうんだよね。
だからカラスにとってはモビングしたほうが、もしかしたら子どもも残しやすいし、攻撃も受けにくくなるんじゃないかといわれています。
もとやすくん: はい。
川上先生: モビングって、カラスだけじゃなくていろんな鳥がするって、知ってる?
もとやすくん: はい。
川上先生: どんな鳥がするか、知ってるかな?
もとやすくん: オナガとか。
川上先生: あっ、そうだよね。シジュウカラの仲間とかツバメとかヒヨドリとか、いろんな鳥がするんだけれども、みんなで騒ぎを起こすと、その捕食者の捕食者が集まってくるときがあるんだよね。襲いかかっているほうが今度は目立っちゃって、危険になるんじゃないかともいわれています。

あともう一つ、自分の敵が誰かを知らない子どもたち、っていうのがいるんだけれども、その子どもたちに、敵がやってきて騒ぎ立てることで、「これが敵なんだよ」と教えることができるんじゃないかともいわれています。そうしたら子どもたちも、それを警戒するようになるんじゃないかといわれています。

モビングをすると、そのほうが生き残りやすくて、子どもたちをたくさん残せるんじゃないかということで、そういうふうにするんじゃないかと考えられています。ただし、僕も見たことがあるんだけれども、カラスがモビングしてオオタカを追いかけたあとで、オオタカが急に反撃してカラスを食べちゃったことがあります。恐ろしいよね……。モビングは本当に命懸けでやっていて、ときには返り討ちにあうこともある。それでも、そういう行動をするだけの利益があるから、そうやって進化してきたと考えてもらえばいいと思います。だいたいわかりました?
もとやすくん: はい。

――川上先生、もとやすくんが見たのは、1羽のカラスがタカにモビングしていたということですが、ツバメとか小さい鳥も、1羽で立ち向かうことはあるのですか?

川上先生: 集団でやることが多いです。最初に1羽が騒ぎ始めると周りからほかの個体も集まってきて、それでみんなで追いかけることがよくあります。ただ、カラスのように1羽でかかっていくということもやっぱりありますね。

――本当に命懸けなんですねえ。もとやすくん、先生のお話聞いてどうでしたか?

もとやすくん: 本当にモビングって大変なんだなあと思いました。

――また身近なところで観察して「どうしてかな?」ということがありましたら、質問してくださいね。ありがとうございました。さよなら~。

もとやすくん: ありがとうございました。さよなら~。

【放送】
2021/06/13 子ども科学電話相談 「鳥」 川上和人先生(森林総合研究所 野生動物研究領域 チーム長)

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