11時台を聴く
22/03/27まで

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きどともひとくん(小学4年生・京都府)からの質問に、「動物」の小菅正夫先生が答えます。(司会・石井かおるアナウンサー)

【出演者】
小菅先生:小菅正夫先生(札幌市円山動物園参与)
塚谷先生:塚谷裕一先生(東京大学大学院 理学系研究科教授)
ともひとくん:質問者


――お名前を教えてください。

ともひとくん: ともひとです。

――ともひとくんは、どんなことを聞きたいんですか?

ともひとくん: はい。どこからが生きていると言えて、どこからが生きていないと言えますか?

――これはえっと、動物についてということでいいんですかね。

ともひとくん: うーん、なんか……ウイルスとか細菌とかです。

――おおっ、そっちですか……。

ともひとくん: はい。

――じゃあきょうはウイルスとか細菌の専門家の先生はいらっしゃらないので、広く動物という意味で、まず小菅先生に聞いてみましょうね。

ともひとくん: はい。

――小菅先生、お願いします。

小菅先生: はい。ともひとくん、こんにちは。
ともひとくん: こんにちは。
小菅先生: そうか。生きてるかどうかって、ウイルスとか細菌とか、そういうことかい?
ともひとくん: はい。
小菅先生: わかりました。まず、「生きている」ってどういうことか、例えば細菌とか原虫とかさ、単細胞の動物っているよね。
ともひとくん: はい。
小菅先生: 単細胞の動物でも、外側、自分以外の外側からの刺激に対して反応してるということが、生きてるということじゃないかと思うんです。「反応」って、わかるか?
ともひとくん: はい。
小菅先生: 例えば光を当てたら光のほうに寄っていくとか、酸みたいなものをこぼしたら、それから逃げていくとか。
ともひとくん: ああ、はい。
小菅先生: これが「生きている」ということだと思うんだよ。それともう1つ。生きてるということはね、「増える」ということなんだよ。自分と同じものを作り出す力があるということなんです。
ともひとくん: クローンとかですか?
小菅先生: クローンじゃない。クローンはこちら側が作り出すものだけど、自分と同じものを……「遺伝子」って、知ってるか?
ともひとくん: はい。あの、増殖とかですか?
小菅先生: そう、増殖するときにさ、細胞の1個1個っていうのが生きている基本なんだけど、細胞の中に核というのがあって、そこに遺伝子が、DNAっていうんだけど、最近だとRNAっていうのもいるけどね。その遺伝子が入っていて、遺伝子は自分と同じものを作り出すという能力がある。その遺伝子がちょっと変わることによって、自分とちょっと違うものも作り出すということもある。
ともひとくん: 突然変異とかですか?
小菅先生: そうそうそう! 突然変異なんかそうだよ。そのとおりだよ。そういうふうにしてとにかく生きてるということは、自分とほぼ同じものを作り出す力があることだと思うんだ。死んでたらそれはできないんだから、反応がないとか、それから自分と同じようなものを作り出す力、これがない、そういうことだと思うんだよ。それで、ともひとくん、さっき「ウイルス」って言ったよね。ウイルスが生きてるかどうか、ともひとくんはどうだと思う?
ともひとくん: えーっと、ウイルスは「もの」だと思いました。
小菅先生: もの? 生きていないということだね?
ともひとくん: はい。
小菅先生: そうそうそう。あのね、おじさんもそう思うんだよ。ウイルスは、増えることは増えるよ、確かに。増えることは増えるんだけど、自分で増えることはできないんだよね。
ともひとくん: 細胞の中に入らないと。
小菅先生: おー、そうそうそうそうそう、そのとおり! ほかの生きものの細胞の中に入って、その細胞の力を借りて増えていくんだよ。ともひとくんもよく知っているようにね。

だから自分の力で増えることができるのが「生きているもの」だと思うんだけど、要するに人の力を借りて増えていくものを生きものと認めるかどうかというのは、ちょっと疑問だし、おじさんも、ともひとくんと同じでね、あれは生きものではないと思ってるんだ。だけど世界中の学者の中には、さっき「増殖」って言ってたけど、遺伝子を増やすことはできているんだから、人の力を借りようがどうしようが自分と同じものを作り出しているので、これは生きものだって考えてる人もいるんだ。
ともひとくん: ああ……。
小菅先生: うん。どっちなのか、はっきりわかんないのよ。そこでね、おじさんさっき、「反応する」って言ったでしょ?
ともひとくん: はい。
小菅先生: 生きてるって、反応するってこと。これは実は、動物だとわかりやすいじゃん? なんかいやなことがあったら逃げていくとか、近寄らないとか。
ともひとくん: はい。
小菅先生: おじさんね、ともひとくんにいろいろ質問されてちょっと浮かんだことなんだけどね、植物ってさ、生きてるかどうかっていうの、わかんなくない?
ともひとくん: ああ、確かにわかりません……。
小菅先生: ねえ。特におじさん、自分でやったことあるんだけど、大事にしてた植物が枯れちゃったの。枯れたと思って地面から抜いて、ごみ捨てのところに捨てちゃったんだよ。そこはかんかんの太陽が照ってさ、ますます死ぬと思ったら、ある日突然、葉っぱがついてるんだよ。「えっ、どこから?」と思ったら、その枯れた木から出てたの。
ともひとくん: えっ?
小菅先生: それがよくわかんないなあと思ってね。これちょっと、塚谷先生に聞いてみようか。
ともひとくん: はい。
小菅先生: 植物の場合、どこまでが生きていてどこからが死んでんのか、おじさんも今、聞きたくなった。塚谷先生、これ、どうでしょうか。
塚谷先生: はい、ありがとうございます。植物は、ふだんからわかりにくいですよね。
小菅先生: そうそう。動かないですからね(笑)。
塚谷先生: はい(笑)。植物も、すっごいゆっくりは動いているので、微速度撮影してみると結構1日の中でも動いてたりするんですけれど、確かに枯れちゃったように見えたときに、本当に枯れたのか本当は寝ているだけなのかって、わかりにくいですよね。

特に、枯れたときじゃなくてタネなんか全然わからないでしょう?
小菅先生: わからないですね……。
塚谷先生: アサガオなんかは夏のあいだにたくさん花が咲いて、秋にたくさんタネがついてとれますよね。あれはカチカチで、今おっしゃったように何も反応しないじゃないですか。何やっても反応しない。手元に置いて転がしといても何も変化しない。あれは生きているのか死んでるのかって、僕らでも分析しなきゃ、生きてるかどうか区別がつかないんですね。

タネの状態のときに、生きているのか、寝ているだけなのか、死んでいるのかということなんですけど、そこはもう本当に境目にいる感じですね。だから僕ら人間は、生きてるときは常に酸素を吸ってカロリー使って二酸化炭素出してっていう、外から見ても反応してますよね。化学反応してますけど、植物がタネになっているときは、すごーく微弱に酸素を使ってますけど検出ギリギリなんですね。だからその意味でも、見た目はほとんど生きているようには見えない。だから一時的にすべてストップしているに近い状態ですね。

それでもタネの皮をはいで水を吸わせれば、たちまち反応を示してむくむくと起き上がって芽は出すし葉っぱが開くということで生き生きと生き始めるので、本当に植物なんかでも、生きているのか死んでいるのか境目っていうのは非常に微妙なところですね。
小菅先生: なるほど……。ありがとうございました。ともひとくん、今の先生の話聞いて、わかった?
ともひとくん: はい。
小菅先生: ね。ともひとくんさ、「生きてる・生きてない」って言ってても、なかなか難しいんだよ、これね。
ともひとくん: はい。
小菅先生: うん。でも1つだけ言えるのはね、生きてるってことはね、必ず死ぬってことだと思うんだ、おじさん。
ともひとくん: ああ……。
小菅先生: 生きものは必ず死ぬ。植物も、見えないけど、ものすごく長いスパンだけれども、必ず死ぬわけだよ。生きてないものは死なないからね。生きてて最終的には、最後には死んじゃったら、「あ、いままでが生きてたんだな」ということなんじゃないかと勝手に思うんだけど、ともひとくん、どう思う?
ともひとくん: ……たぶん、そうだと思います。
小菅先生: ああ……ありがとう! 本当にね、なかなか難しい問題だよ。きょうは、ともひとくんのおかげで、おじさんもいろんなことを考えることができました。ありがとうございました。
ともひとくん: ありがとうございました。
小菅先生: はい。

――また「どうしてかな?」って思うことがありましたら質問してくださいね。

ともひとくん: はい。

――きょうはありがとうございました。

ともひとくん: ありがとうございました。

――さよなら~。

ともひとくん: さようなら~。
小菅先生: さよなら~。
塚谷先生: さよなら~。

【放送】
2022/01/30 子ども科学電話相談 「動物」 小菅正夫先生(札幌市円山動物園参与)

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