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21/03/05まで

有森裕子さん

ゲストはこの番組3回目のご出演となる有森裕子さん。日本の女子陸上選手として初めてオリンピック2大会連続のメダルを獲得、当時異例の「プロ宣言」を行うなど先進的な考え方でスポーツ界をリードしてきたレジェンドです。コロナ禍でオリンピックやスポーツ界のあり方に厳しい目が向けられる今、有森さんは現状をどう見ているのか? スタートからまさかの「直球質問」で迫ってみました。


杉嶋アナ: 有森さん、早速質問が届いております。「質問ですが、もし有森さんが(組織委員会の)会長だったら、この夏のオリンピックどうしますか」。
有森さん: うわ~、直球。まじー?
杉嶋アナ: 直球できております。
有森さん: やっぱり祭りなんでね。平和なスポーツの祭典なんで、みんなの喜ぶ顔が8割方浮かばなければ、はい、考えます
増田さん: 今、世論は結構反対が多くって、7割ぐらい反対してるのかな。やっぱりオリンピック・パラリンピックをする意義ってこういう中で特に求められてると思うんだけど、どういうふうに感じてますか。
有森さん: やっぱりオリンピック・パラリンピックの根本なんでしょうね、理念というか。時代、状況でいろいろ変わるにしても、基本変わらないほうがいいと思うとしたらやはり平和の祭典だし、その祭典というのは競技会と違って参加する全て、関わる全ての人がやっぱり楽しく安心安全に元気にやるお祭りでなければいけないし、そういうエネルギーをみんな分かち合って開催されるものだと。世の中いろいろあるけど、そういうものを通してみんな平和にメッセージ流そうねっていうのを競技を通して見せていく、感動とともにっていう、そういう役割があると思うので、その要素がなければ、オリンピック・パラリンピックの意味はないと思ってます。
増田さん: うん、そうだよね。だからコロナであるけど、何かいろいろ対策して、やっぱり選手たちから出る、なんて言うのかしら、戦争とかの話じゃないもんね、競技を通して争うわけだから、平和のメッセージね。
有森さん: 逆に私、戦争とかだったら、戦争というかそういう人為的な何かこう争いとか何とかっていうんであれば、それをはねのけて「そんなことは駄目だ」っていうことをメッセージする大会としてやることは意味がすごくあると思う。
けど、今回はやっぱり違っていると思うのは、その人為的ではない中で、世界中、本来オリンピック・パラリンピックを一番盛り上げる基本にある社会とか状況がやっぱり乱れてるというか大変っていう中でいうと、そこが整わない限りは、私自身は何かこう・・・大会も何もないんじゃないかなっていう。そこが整い、そこに集う人たちが安心安全であることが一番大事な条件だし、競技会ではないので、祭典であるということの基本に今一度立ち返ること。
(陸上長距離の)新谷(仁美)選手がね、ものすごく短いコメントで分かりやすく言ったのは、もちろん選手だったらやっぱり開催してほしいけど、一国民であれば、みんなが7割8割が反対で安心安全じゃない中で今の状況では反対、やらないほうがいいと思ってるっていう、これはもうそのままですね。本当に。
競技者だったから競技者寄りのことを言うってみんな当たり前に思われてると思うんですけど、私自身は今まさに、だからこそ、外に目を向けたり思いを向けた時にやっぱり考えなきゃいけないかなっていう。だから、最悪のケースを考えた上で、それをじゃあどうやったらその最悪にならないように、これは強引に進めるものでもないですし、っていうのは何か思ってますね。

杉嶋アナ: 新谷さんのコメントというのが、「アスリートとしてはやりたいです。人としてはやりたくないです。アスリートとしては賛成だけど一国民としては反対という気持ちです」というこのコメントですね。
有森さん: ものすごく分かりやすい。短くてね。
増田さん: 駅伝の時なんかも言ってたのは、新谷さん、コロナ禍の中でやっぱりアスリートのあり方について考えたっていうこと言っててね。
有森さん: 結構聞きましたよ、コロナになって1年延期になった時に「オリンピックって何なんだろう」とか「スポーツって何なんだろう」っていうことをすごく考えたっていうアスリートのコメントは。結構ソーシャルメディアでも書いてる人いましたし、私自身ももちろんそんなにすごい大きな発見じゃないけどそうだよな、って思うものいっぱいあったし、今こうやって1年たって、じゃあ結局それでみんな何を学び、気づきっていうのがこう問うた時に・・・1年何だったのかなっていうのは時々思う時がある。
増田さん: うーん、ただあのさ、選手で池江璃花子さんなんかが言っているのは、白血病を乗り越えて、大会に出て、今もどんどん成長していってるけど、「逆境からはい上がるための希望の光になれたらいいな」って、やっぱり世の中の人ってみんな、悩みを持ったり苦しかったりしている人もいる中で生身の体で目標に向かって、体で紡いだ努力の時間なんかが見えるじゃないですか。で、頑張る姿で希望の光になればいいっていうことなんかも池江さんは話してて、だから、ちょっとこのコロナの中でオリンピックの商業主義とか政治との癒着なんかも見えてきちゃったけども、でもやっぱり、何か大切な意義っていうのはあるんじゃないかなっていうのは感じてる。
有森さん: だからまあ、あえて言うならば、ちょっと極端な言い方ですけど、やるやらないということ以上に、オリンピックやパラリンピックの社会的、世界的存在は、私はとても意義があると思ってます。で、今のタイミングにどうかと言われれば、それはまた別な話だと思います。だからやっぱり「いい意味があるよね」っていうふうに言ってもらえる判断をするべきだと思います。それがもしかしたら中止かもしれない。もしかしたら開催かもしれないっていうことかなって。だから意義、意味を考えるときにそれがあくまでも開催だっていうことでは私はないような気がしていて、そこはネガティブではなくて、私はやっぱりアスリートたちにも、いろんな人たちにも、あるから大丈夫、ないからダメって言うんじゃなくて、(オリンピックの)あるなしに関係なくスポーツというものを考えたときに、日常の、やっぱり力につながるようなものであってほしいと思うので、最悪(オリンピックが)なくても、そこからエネルギーを生み出せるようなものを私たちも考えなきゃいけない。最悪の事態としては。あればあったでもちろんそれをいい形にしなければいけないし、そういう発想を持ちたいかなって。
どうしてもね、今は開催ありきの話しかしないんだけど、やっぱり社会ありきの開催か中止かなんで、そこは何かこう、いつも考えちゃいますね。

有森さんにはこの後も、スポーツ本来の価値や、ライフワークとして取り組む知的障害者のスポーツ活動「スペシャルオリンピックス」への思いなどじっくり語っていただきました。また「スポーツなんでも相談」には番組初、海外在住のリスナーが登場! 女性ランナー特有の悩みに対して増田さん有森さんからのアドバイスは…? ぜひ聴き逃しサービスでチェックしてくださいね。放送当日、地震のニュースでお伝え出来なかった部分も聴けますよ!

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