午後6時台を聴く
24/05/26まで

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世界中に暮らす人と電話をつなぎ、現地の様子を伝えてもらう「ちきゅうメイト」。今回はスロベニアのハチの話題です。5月20日は、「World Bee Day=世界ハチの日」です。ミツバチなどは植物の受粉をしてくれますが、人間はこうした生き物のおかげで農作物を収穫することができます。だから、ハチなどの生き物を大切にしましょう、ということで、2017年に国連総会で制定されたんです。この「世界ハチの日」制定のきっかけがスロベニアにあるそうです。どういうことなんでしょうか? スロベニア在住12年、マリボル近郊にお住まいの平好雪乃さんに伺います。

【出演者】
平好:平好雪乃さん
TOBI:レ・ロマネスクTOBIさん(日曜担当MC)
中村:中村慶子アナウンサー


中村:
5月20日が「世界ハチの日」となったのは、スロベニアがきっかけというのはどういうことなんでしょうか?

平好:
スロベニアが国連に「世界ハチの日」にしようと提案したんです。その理由が大きく2つあります。
1つは近代養蜂の先駆者といわれる、スロベニア人のアントン・ヤンシャです。彼は18世紀にハプスブルク家の女帝によってウィーンにつくられた世界で最初の養蜂学校の指導者に任命され、世界初となる養蜂についての教科書を作り、技術と知識を後世に伝えました。5月20日を「世界ハチの日」にしたのは、アントン・ヤンシャの誕生日にちなんでなんです。

TOBI:
養蜂家のパイオニアがスロベニアの人だったということですね! もうひとつは、どんな理由なんですか?

平好:
もう1つは、スロベニアは養蜂がとても盛んで、ミツバチを保護することへの意識がとても高いということです。スロベニアの人口は210万人で、そのうち養蜂家はおよそ1万1,000人います。人口の0.5%にあたり、200人に1人が養蜂家ということになります。特に興味深いのが、このほとんどが趣味で養蜂をしている人たちなんです。

TOBI:
趣味で養蜂をする人がそんなに多いんですか!?

平好:
私の夫も趣味で養蜂をしているんですが、ふだんはIT系の企業で仕事をしていて、仕事が終わった後、夕方の時間や週末などの時間を使って養蜂の作業をしています。日本では家庭菜園などで育てた野菜を家族や友人におすそ分けすることがあると思いますが、それと同じ感覚でスロベニアには、趣味で養蜂を楽しんでいる方がたくさんいらっしゃいます。

中村:
平好さんの夫・マティアジュさんが作った養蜂箱などの写真をちきゅうラジオのホームページにアップしてあります。見られる方はぜひご覧ください。養蜂箱がカラフルにペイントされていて、けっこう大きくて箱というより家のように見えますね。

平好:
そうですね。うちにあるものは高さ4メートルぐらいありまして、これは養蜂箱の集合体で、まさにミツバチのアパートのようなものです。スロベニアでは「チェベルニャック」、英語では「ビーハイブ」と呼ばれています。チェベルニャックの大きさは人それぞれですが、このカラフルに色分けされている部分がそれぞれロッカーのようになっていて、うちの夫のように趣味で養蜂をやっている人は10~20のハチの家族を飼育しています。

TOBI:
養蜂箱、カラフルなペイントもかわいらしいですね!

平好:
これはうちだけでなく、スロベニアの養蜂箱は基本このカラフルなスタイルなんです。理由はミツバチが自分の巣箱に迷わず戻りやすくするためと、養蜂家がそれぞれの巣箱を確認しやすくするためだといわれています。養蜂箱をカラフルにするのはスロベニア独自の文化なので、観光名所にもなっています。

中村:
写真をみますと、娘さん、まだ小さいですがお父さんの養蜂のお手伝いをしているんですね! ハチに刺されちゃう心配はないんでしょうか?

平好:
小学生の娘が2人いるのですが、ハチの活動が活発になる期間には養蜂箱・チェベルニャックの周辺には近寄らないように教えています。夫の作業を見るときは子どもたちも子ども用の防護服を着て中に入りますが、まだ実際の作業を手伝うのは大変なので、娘たちはハチミツを採る作業だけ参加しますね。採れたてのハチミツが好きなだけ食べられるチャンスなので味見係をがんばっています(笑)。

中村:
スロベニアの小学校では、ハチに関する授業など、あったりするんですか?

平好:
娘たちの通う小学校にはないのですが、スロベニアには「養蜂クラブ」がある小学校もあったりします。養蜂の器具などの知識やハチの病気についてなど、養蜂の教養を競う大会も開かれたりしています。

TOBI:
平好さんの夫、マティアジュさんも養蜂をされているということですが、趣味で始めるにしても、養蜂ってなかなかハードルが高そうなイメージがあるのですが、簡単に始められるものなんですか?

平好:
スロベニアでは養蜂を始めたいと思ったら、まず、養蜂協会が国の補助を受けて無料で開いている「養蜂クラス」を受講します。それと基本的な養蜂設備、ハチの巣箱=チェベルニャックを養蜂家から購入するなどしてミツバチを準備します。

TOBI:
養蜂クラスって、具体的には何を教えてくれるんですか?

平好:
自治体によっても異なるそうですが、ミツバチの生態や伝統的な飼育方法、ハチミツの採取の仕方についてなど、養蜂の基礎をいちから教えてくれるそうです。それで、いきなりチェベルニャックは作らずにミツバチ1家族・養蜂箱1つからお試しで始めることもできます。夫もまずは1箱から始めて、その間に養蜂クラスに通いながら地元の養蜂協会に所属していろいろ教えてもらって覚えていきました。その後、自分でもやっていけると判断して、チェベルニャックを建てて養蜂箱を増やしていきました。その他にミツバチの巣を農産省に登録して、衛生と食品生産に関するいくつかのコースを受講する必要もあります。

中村:
国をあげて養蜂家を育てようとしているんですね?

平好:
スロベニアは養蜂の歴史があり誇りを持っているので、養蜂協会がとてもアクティブなんです。さらに国も手厚く支援しています。スロベニアのミツバチは、カルニオラン・ミツバチというスロベニアの固有種で、他の種類のミツバチを輸入することは法律で禁止されています。また、スロベニア国内で採れたハチミツだけ“Slovenski med”という表記が許されていて、国で保護されています。

中村:
スロベニアでの、ハチミツを使ったお料理や食べ方、どんなものがありますか?

平好:
定番は、ハチミツのクッキー「メデニャック」。ふわふわとしていてパンとクッキーの間のような食感で、素朴な味の伝統的なお菓子です。他にもいろんな料理に使われますね。あと、うちでは夏にスライスしたレモンをハチミツにつけてハチミツレモンシロップを作り、それを水で割ってレモネードにして飲んでいます。家で採れるミントを入れると、とてもさわやかでおいしいです。

中村:
平好さん、あす20日はスロベニアが提案して制定された「世界ハチの日」です。農薬や気候変動などさまざまな要因で世界的にミツバチの数が急激に減っていると言われている中、あらためて地球のこと、生き物のことを考えたいですね。

平好:
そうですね。「世界ハチの日」に伴い、スロベニアでは22日と23日に国際連合食糧農業機関の主催で、持続可能な養蜂についてなどの国際フォーラムが開催される予定です。スロベニアでハチミツが採れるのは、豊かな自然があるからです。そして、スロベニア人はスロベニアの豊かな自然を誇りに思っています。私もスロベニアに住む中で、この自然を守ってきたいと、より強く考えるようになりました。


放送では、なんと! スタジオに届いた、平好さんの夫・マティアジュさんが作ったスロベニアのハチミツを試食させていただきました! どんな味だったのでしょうか? さらに、スロベニアでは「ことわざ」にもハチが登場します! 「言葉はミツバチのようだ。蜜もあれば針もある。」 ぜひ聴き逃し配信でどうぞ!

ちきゅうラジオ

ラジオ第1
毎週土曜・日曜 午後5時05分

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【放送】
2024/05/19 「ちきゅうラジオ」

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