午後5時台を聴く
24/05/12まで

午後5時台を聴く
24/05/12まで

フランスの朝食に欠かせないパン「パン・オ・ショコラ」(チョコ入りのクロワッサン)。このパンが、南フランスでは「ショコラティーヌ」と呼ばれるなど、その名前をどう呼ぶかが話題になっているようです。フランス南西部、サン・コロン・ド・ロザン在住のローカルガイド、守安友理さんにうかがいました。

【出演者】
守安:守安友理さん(ローカルガイド)
TOBI:レ・ロマネスクTOBIさん(日曜担当MC)
中村:中村慶子アナウンサー


中村:
きょうは、「ショコラティーヌ」というパンについてですね。

守安:
「パン・オ・ショコラ」という名前の方がおなじみ、という方が多いかもしれません。

TOBI:
「ショコラティーヌ」という呼び方、あまり聞きなじみがありませんね。

守安:
地域によって呼び方が違い、南西部が「ショコラティーヌ」、パリなどその他の地域が「パン・オ・ショコラ」です。2019年、フランス世論研究所の調査によると、フランス国民の84パーセントが「パン・オ・ショコラ」、残り16パーセントが「ショコラティーヌ」と呼ぶという結果がでました。

中村:
なぜ、南西部の人はショコラティーヌ、という名前にこだわるのでしょうか?

守安:
ショコラティーヌという名前の由来にはさまざまな説があります。有力な説はフランス南部の言語、オック語で「小さいチョコレート」を意味する、「ショコラティーナ」という言葉に由来するという話です。2つの世界大戦の間にトゥールーズに広まって以来、「ショコラティーヌ」という呼び名が南西部の重要な言葉に発展したというわけです。その「ショコラティーヌ」という呼び方、長年、国を二分する議論が展開されているんです。

TOBI:
どういうことですか?

守安:
ぜひ紹介したいエピソードがあって、2017年、トゥールーズに近い町、モントーバンの児童たちが「『ショコラティーヌ』という単語を認めてほしい」という要望を、大統領に送付したんです。翌2018年、この議題が国会で取り上げられ、共和党議員らが農業・食料産業法の修正案として提出しました。国会では南西部出身の議員が「ショコラティーヌという名称をわれわれ南部の国民は誇りに思っている」と主張しました。

TOBI:
修正案が提出され、その後はどうなったのでしょうか?

守安:
結局、「ショコラティーヌ」の名称を追記するという法律の修正案は、否決されました。しかし、国会で討論されたことにより、国中を巻き込む論争が再燃しました。推進した議員たちはそこを狙っていたようです。また、児童が大統領に書簡を送ったのもショコラティーヌを正式な呼称として認めてもらうべく、シンボル的に訴えを起こしたそうです。結果を求めたものではなく「訴えることで、国民に認識してもらう」というところに、狙いが定められていたようです。

中村:
大統領に手紙を書くことはよくあることなんですか?

守安:
大統領に手紙を送付するのは珍しいことではないと思います。フランス人は徹底的に抗議しますし、とことん議論することが好き、という国民性なんです。そのため「ショコラティーヌ」という名前への愛着も強く、ある新聞記事では、ショコラティーヌ愛の強いパン屋さんが、ショコラティーヌは1ユーロ、パン・オ・ショコラは1.5ユーロと異なる値段を表示するところもあると書かれていました。冗談かもしれませんが、そのパン屋さんはショコラティーヌという名前で商品を買ってもらいたいんだと思います

TOBI:
そんなショコラティーヌ作りの大会もあるそうですね?

守安:
ショコラティーヌの世界選手権が、今年3月に開かれました。

TOBI:
ショコラティーヌの世界大会⁉ ショコラティーヌという名前が世界でも知られている、ということですか?

守安:
大会名はショコラティーヌ選手権ですが、実はかっこ書きでパン・オ・ショコラとも表記されています。そんな第2回ショコラティーヌ世界選手権ですが、フランス南西部のトゥールーズで開催されました。2019年に1回目が開催されましたが、新型コロナウィルスの影響で中止が続き、今年やっと2回目が開催されました。

中村:
世界選手権ということは、もちろんフランス以外からもパン職人が参加したんですよね。

守安:
はい。12か国から20人のパン職人が集まりました。フランス以外の参加国はイタリア、サウジアラビア、カメルーン、カナダ、コートジボワール、エジプト、クウェート、レバノン、モロッコ、チュニジア、ベトナムです。優勝したのは、トゥールーズの郊外にある町のパン屋で働く、フランス人パン職人のボルドンさん(29歳)でした。

TOBI:
地元のパン職人が優勝したことで、「ショコラティーヌ」という名前をつけた意味もあり、誇らしいかぎりですね。ボルドンさんは、どんなショコラティーヌを作ったんですか?

守安:
ボルドンさんの作品は、花椒(中華料理などに使うホアジャオ)を使ったショコラティーヌを風車型にアレンジして、マンダリン・オレンジとダイダイ、そしてユズの果汁を使ったゼリーで装飾しました。ボルドンさんは「非常に光栄」と喜びの声をあげ、「特に候補者たちと、彼らの作り上げる作品、そして審判員たちを見たときは、怖くて震え上がった」とコメントしていました。

守安:
守安さんもショコラティーヌをよく食べますか?

守安:
小腹がすいたときに、よく買って食べます。外はサクッ、中はふわっとした生地の中に、甘~いチョコレートが入っているなんて、幸せ以外の何物でもありません!

TOBI:
守安さんは、このショコラティーヌという呼び方についてどう感じていますか?

守安:
私はこの村に住んで20年ですが、この話題は住み始めたころから聞いています。でも私は、パン・オ・ショコラと呼んでいます。パン屋さんでは「ショコラティーヌ」ですが、スーパーでは「パン・オ・ショコラ」として売られていて、私自身も「パン・オ・ショコラ」のほうで慣れていますから。

中村:
守安さん、どうもありがとうございました!

ちきゅうラジオ

ラジオ第1
毎週土曜・日曜 午後5時05分

詳しくはこちら


【放送】
2024/05/05 「ちきゅうラジオ」

午後5時台を聴く
24/05/12まで

午後5時台を聴く
24/05/12まで