午後5時台を聴く
24/05/05まで

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4月27日はオランダの国王の誕生日“キングスデー”。この日は祝日で、オランダ中がお祝いムードに包まれますが、なかでも市民によるフリーマーケットが人気なんだそうです。どうしてフリーマーケットなんでしょう?

【出演者】
福成:福成海央さん(アムステルフェーン在住:ライター/科学コミュニケーター)
TOBI:レ・ロマネスクTOBIさん(日曜担当MC)
中村:中村慶子アナウンサー


中村:
オランダの国王の誕生日 “キングスデー”について教えてください。

福成:
4月27日はウィレム・アレキサンダー国王の57歳の誕生日でした。国王一家は毎年どこかの都市を訪れ、町を歩いてお祝いを受けます。沿道の人々と和やかに話したり、市民と写真を撮ったりする様子がテレビで中継されます。
この日はオランダは祝日で、国中がオランダ王家を表すオレンジ色に飾られます。人々もオレンジ色の服や帽子などのアイテムを身にまといますし、ケーキやドーナツなどもオレンジ色のキングスデー限定品が売られたりするんですよ。

TOBI:
今年はどんな盛り上がりでした?

福成:
私の住む町では、午前中雨が降ってしまったんですが、王室の皆さんが訪れたエメンという街は、お天気もよく、王室のみなさんは沿道の方々と握手をしたり、ゲーム大会に参加したりする様子がテレビで放送されました。
実はこのキングスデーのあと、オランダの学校はメイバカンシーという1~2週間のお休みになります。そしてこの季節は長くて暗いオランダの冬が終わり、みな開放的な気持ちになることもあって、とにかく楽しもうという雰囲気でいっぱいでした。
野外フェスなどの音楽イベントも各地で開かれたほか、なかでも一番の見どころはフリーマーケットです。

TOBI:
フリーマーケットが見どころ、というのが想像できないんですけど?

福成:
通常は路上販売の許可が必要なんですが、この日は誰でも許可なく好きなものを売っていい日なんですよ。自由にお店屋さんをしていいので、お店を出す人も、買いに行く人も楽しみにしています。
だいたいは自治体が主な会場、たとえばショッピングモールや公民館の近くとかですね、そういった場所を指定して、お客さんも会場に足を運びます。場所取りは早いもの勝ちなので、何週間も前からチョークやガムテープで線をひいて、場所取りがされるほどです。

中村:
みなさん、どんなものを売るんですか?

福成:
古着や雑貨はもちろんのこと、私も最初はびっくりしたんですが、手作りのお菓子や食べ物を売る人たちもいます。
日本人でおみそ汁やカツサンドを作って売っている方や、漢字であなたの名前を書いてあげますという方もいました! そして私が毎年楽しみにしているのは、子どもたちが工夫を凝らして考えたお店です。

TOBI:
子どもたちは何を売っているんですが?

福成:
使わなくなかったおもちゃやトレーディングカードを売ったりするのは定番ですね。あと自作のアクセサリーを売ったり、マニキュアを並べて小さい子の爪を塗ってあげるお店を出したり。楽器の演奏やダンスを披露したりという特技系もよくあって、子どもたちのがんばりがほほえましいです。
さらに上級者になると、手作りのルーレットやくじ引きを作って、まるで日本のお祭りの屋台のようなものを作る子たちもいるんですよ。

中村:
売り物は物じゃなくて、特技でもいいんですね。

福成:
そうなんです。中には材料や元手をかけずに「あなたのすてきなところを褒めます」「僕の犬を触らせてあげます」なんてお店もあって、子どもが出しているお店があると「ここは何をしているのかな?」とついつい足を止めて見てしまいます。

TOBI:
昨日のフリーマーケットで、おもしろかったお店ありました?

福成:
手作りのゲームなんですが、滑り台みたいに斜めにしたパイプの上から、野菜のラディッシュを落とし、出てきたところをうまくトンカチで叩くというゲームがおもしろかったです。20セントで3回チャレンジし、うまく叩けたら50セントの賞金がもらえるというものでした。オランダ人はDIYが得意な方が多いんですが、この装置も手作りで、すごいなぁと思いました。
あと、楽器の演奏をしている子も何人かいて、オランダ国歌の演奏をしていた時は、道行く人たちも足を止めて聞き入っていましたね。

中村:
どうして国王の誕生日にフリーマーケットが開かれるようになったんでしょう?

福成:
国王の誕生日とフリーマーケットってあまり結びつかないですよね。実はフリーマーケットが始まったのは、現在の国王のお母さん、ベアトリクス女王の時代で、わりと新しい文化なんです。
事の発端は1966年。当時のベアトリクス王女とドイツ人のクラウス氏との結婚でした。まだ第二次世界大戦の記憶も新しい中、戦時中ドイツに占領されていたオランダでは多くの国民が結婚に反対し、国王誕生日には王室への激しい抗議活動や暴動が各地で起きたのです。
1971年、王宮前で行われていた抗議活動を禁止する代わりに、アムステルダム市は同じ場所で音楽フェスティバルを開きました。ついでに近くで行われていたフリーマーケットをそこに誘致して、国民が楽しめる場を作ったそうです。これが大成功となったので、オランダ各地でもフリーマーケットが開催されるようになったそうなんです。

中村:
福成さんは、オランダの国王の誕生日について、どう思いますか?

福成:
国王の誕生日をお祝いするのはもちろんなのですが、とにかくみんなが楽しむ! というのが大きな特徴だなと思います。もともとオランダは誕生日をとても大切にする文化があるのですが、それも「誕生日、本人がケーキを用意して、お祝いしてくれる人たちをもてなす」という風習があります。誕生日の主役自身が、大事な人たちに楽しんでもらったり交流したりする機会を作るというのが、この国王の誕生日にもあらわれているなぁと思いました。
ちなみに、昨日のパレードでも、国王自ら沿道の人たちにオレンジ色のケーキをふるまっていました。

中村:
福成さん、ありがとうございました!

ちきゅうラジオ

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【放送】
2024/04/28 「ちきゅうラジオ」

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