午後5時台を聴く
24/04/27まで

午後5時台を聴く
24/04/27まで

世界中の人たちに電話をつなぐ「ちきゅうメイト」、すごい速さで進んでいるというアフリカのデジタル化事情についてです。アフリカの生活にかかせないものになっている最新技術について、アフリカのデジタル推進に取り組んでいるJICAチュニジア事務局の宮田真弓さんにうかがいました。

【出演者】
宮田:宮田真弓さん(JICAチュニジア事務局)
ローズ:當間ローズさん(土曜担当MC)
中村:中村慶子アナウンサー


ローズ:
今回はアフリカのデジタル化事情ですね。そんなに急速に普及しているんでしょうか?

宮田:
アフリカは2000年代に入り、急速にデジタル化が進んでいます。
わかりやすいところでいえば、2023年のデータでは世界のモバイル決済額の約7割はサハラ以南のアフリカで占めているんですよ!

ローズ:
世界の7割! かなりの数ですね! 日本でモバイル決済というとアプリやバーコード決済というイメージがありますが、アフリカでも同じでしょうか?

宮田:
日本のものとはちょっと違いますね! ケニアで始まって、アフリカでモバイル決済を押し上げたサービスがあります。近くの商店などで現金をチャージして、ショートメッセージでテキストデータを送信して、送金、預金、引き出し、支払いができ、認証などセキュリティーもしっかりしているものです。これが銀行口座を所有していない人が多いアフリカ南部を中心に爆発的に普及しました。

ローズ:
他にはどんなデジタルサービスがありますか?

宮田:
例えばお水関係でいくつかあげると、ウガンダではデジタル決済できるプリペイド式の井戸などもあります。広い意味でデジタル技術という観点では、チュニジアではフランスの企業と共同で空気中の水分から飲み水を作り出すという興味深いサービスもあるそうです。

ローズ:
えー! どっちもおもしろそうですね!

宮田:
特に井戸の方はJICAの海外協力隊の活動から生まれたものです。アフリカでは井戸水が生活に欠かせないものですが、みんなでお金を出しあって管理していても、不正利用する人が増えるなどしてなかなかうまくいかなかったんですね。プリペイド式の井戸にすることで公平に料金を集められるようになり、管理費が蓄積できて井戸が長く使えるようになったそうです。

中村:
井戸はどんな見た目ですか?

宮田:
ハンドポンプ式の従来の井戸に、ネットにつながったハイテクな蛇口がついているイメージです。その蛇口にチャージしたIDプレートを挿入するとお水がでます。お水が出た量はサーバーにデータとして送られ、料金が引き落とされます。

中村:
なぜアフリカではそんなにデジタル化が進んでいるのでしょう?

宮田:
大きく2つ理由があると考えていまして、『平均年齢が圧倒的に若いこと』そしてもうひとつは『他に代わる手段がないこと』です。

ローズ:
アフリカの平均年齢が若いというのは想像がつきますね。

宮田:
そうですね、日本の平均年齢は今48.6歳だそうですが、アフリカはどのくらいだと思いますか?

中村:
えー! 35歳くらい?

ローズ:
30歳くらいじゃないですか?

宮田:
2022年のアフリカの平均年齢は21.5歳だそうで、日本に比べて圧倒的に若いことがわかります。やっぱり若い層は新しい技術への適応力が高いですね。

中村:
そんなに違うとは思いませんでした! もうひとつの他に代わる手段がないというのは?

宮田:
日本では役所や病院、郵便局などがいたるところにありますね。アフリカではそうした社会的サービスはなかなか整備されていません。だからこそ社会のインフラ構築にデジタルが寄与しているんです。

中村:
どんな例がありますか?

宮田:
例えばJICAも支援したナイジェリアの救急医療対応のスタートアップ企業があります。
簡単にいうと、月額10,000ナイラ(日本円で2,000円くらい)の会費で、緊急時にネットワーク化された医療スタッフが対応してくれると言うものです。アプリで連絡すると医療従事者が状況を音声通話で状況確認し、救急車を呼んだり、バイクですぐに来て応急措置をしてくれたりするそうです。

ローズ:
ナイジェリアでは救急の医療サービスがないということなのでしょうか?

宮田:
ないのではなくて、整備が追いついていないので救急車は呼んでもなかなか来ないそうです。
日本では考えにくいですが、このサービス利用者のコメントを読むとこういった感想が見られます。
首都ラゴスで家族が倒れた時、政府指定の通報番号や病院など複数か所に電話してもすぐにつながらなかったが、このサービスは迅速に対応してくれた。というものです。
ナイジェリアの年間1人当たりの給与は大体2,180ドル(今の為替だと年間で33万円)くらいなので、安いサービスではありませんが、都市部の給与所得者など拡大しつつある中間層以上に需要があるようです。

中村:
デジタルサービスの発展をアフリカの人たちはどんなふうに捉えているでしょうか?

宮田:
特別なことではなく自然に便利なものは受け入れるという感じで、あまり抵抗感はないように感じます。ただ地方はネットワークが遅いとか電力が安定してない場合も多いので、都市部の中間層が先に取り入れるという流れが今見られます。

ローズ:
都市部から急速にデジタル化が進んでいるということですね。

宮田:
その通りですね! デジタル化が進むとともに人々にも勢いが感じられます。海外で留学や仕事をして戻ってきた人や若い世代を中心に、現地に合った全く新しいサービスを生みだして社会課題を解決しようという方が多くいます。JICAでもこうした勢いをうまく取り入れて現地への支援につなげて行きたいと思っています。

中村:
今のJICAでは、どんな方針でアフリカのデジタル化を支援しているのですか?

宮田:
ここ近年アフリカの支援の仕方も変化しています。
先ほどの救急医療の話だと、救急車など、モノをそのまま渡したり、その活用のための人材育成をしたりしていました。もちろんそれは今も継続して行っていますが、より現地に即したサービスを長く続けていくためにスタートアップ企業への支援にも力を入れています。

ローズ:
具体的にはどんな方法ですか?

宮田:
直接支援するのではなく、起業家が出やすくする環境整備に力を入れています。例えばさっきの救急医療サービスは、支援の一環で行われたビジネスコンテストで入賞した企業です。こうした支援だと、モノだけ渡して使われなくなってしまう、というようなことはなくなりますし、医療アクセスの向上という目的を早く達成できる可能性があります。ただ貧しい家庭などが置いて行かれないように同時に目配りすることは忘れないようにしています。

中村:
こうした支援によって日本にはどのようなことがありそうでしょうか?

宮田:
アフリカで始まったサービスが日本含めて世界中に広がって私たちの生活を便利にするかもしれません。またスタートアップ企業に日本からも投資することで、SDGs目標達成や社会課題解決を促進することが期待できるかと思います。

中村:
宮田さん、どうもありがとうございました!

ちきゅうラジオ

ラジオ第1
毎週土曜・日曜 午後5時05分

詳しくはこちら


【放送】
2024/04/20 「ちきゅうラジオ」

午後5時台を聴く
24/04/27まで

午後5時台を聴く
24/04/27まで