はたしてネッシーはいるのでしょうか? 何が私たちをひきつけるのでしょうか?
ネッシーで知られるネス湖の近くにお住まいで、この夏行われた大規模なネッシー捜索に参加された、ケリー狩野智映(かのう・ちえ)さんにお話をうかがいました。
【出演者】
ケリー:ケリー狩野智映さん(翻訳家兼ライター)
ローズ:當間ローズさん(土曜担当MC)
中村:中村慶子アナウンサー
中村:
ケリーさんには過去にもネッシー関連のニュースを伝えてもらっていますが、今回半世紀ぶりの大捜索ということで、現地の様子はいかがでしたか?
ケリー:
今回はネス湖ほとりにあるネス湖センター、通称「ネッシー博物館」が6月にリニューアルオープンしたこともあって、博物館と独立のボランティア調査チームが企画して大がかりな捜索が行われました。私を含めて世界中から200人以上のボランティアのネッシーウォッチャーが参加されたそうです。世界中で大々的に報道されていて、お祭り騒ぎでした。
ローズ:
ネッシーウォッチはどんな風に行われましたか?
ケリー:
捜索隊は船を出して、最新のドローンや調査機器を使って捜索したようです。ネス湖周辺の17か所の観察スポットが指定されていて、ボランティアはその中から希望したポイントで望遠鏡などを持って湖面を見ていました。私たちは、1日目は土砂降りの中、アーカート城の敷地内、そして天気が良かった2日目はネス湖東岸の浜辺でネッシーウォッチをしていました。
中村:
そして、一番聞きたいことです。ネッシーは??
ケリー:
今回、目撃報告などもあるのですが、残念ながら“発見”には至っていません。ですが、がっかりすることはありません。もともと情報の精査には時間がかかるとされていたので、主催者側は情報を整理していて現在調査中という発表をしています。今月中にはリポートをまとめて、捜索の結果を公表するとしています。
ローズ:
最新情報が楽しみですが、ケリーさんは今回どうしてボランティアとして参加を決めたんですか?
ケリー:
私は1980年代を日本で過ごしているので、ネッシーに関するテレビ番組などを熱心に見ていて、いつかはネス湖に行ってみたい! と思うようになりました。その後、夫がたまたまネス湖の近くのインヴァネスの出身で、ネッシーの話をいろいろ聞きました。例えば1965年にネス湖で大きな生物が同じ時間に複数の箇所から目撃されたことがあり、世界中で報道されました。その目撃者の1人が夫の友人のお父さんだったりします。
ローズ:
身近なところに、目撃者がいらっしゃるんですね。
ケリー:
夫の友人のお父さんの例だと、その方は地元警察の元幹部をされていて、とても真面目な方で嘘をついたり話を誇張したりする人ではないんですね。そんな話がたくさんあるので、「何かはいるんだろう」という風に考えている方が多いのではないでしょうか?
中村:
前にちきゅうラジオにご出演いただいた時におっしゃっていましたが、ケリーさんもその“何か”を見たことがあるんですよね?
ケリー:
そうなんです。2018年の夏、ネス湖で家族と過ごしていたら、200メートルぐらい先に何か大きなものが動いているんですね。ボコッとした盛り上がったものがひとつになったり、ふたつになったり、動いているので岩ではないんですね。そのうちに旋回し始めたりして。私は急いで持っていた一眼レフカメラで写真を撮影したんです。
中村:
その写真が手元にありますのであらためて紹介します。確かに岩のような生き物のような何かが湖面から飛び出して、そして形を変えて動いているようです。ケリーさん、最初ご自身では何だと思いましたか?
ケリー:
最初は「かわうそかな?」と思ったんですが、しばらく観察しても顔を出さない。「これはなんだ?」と思いました。
中村:
この写真はどこかに発表していないんですか?
ケリー:
なんでもないものだったら恥ずかしいし、実は仲間うちで話をするぐらいだったんです。でも、今回の大捜索初日の土曜日の夜に、伝説のネッシーハンターと言われるスティーブ・フェルタムさんという方を紹介してもらったので、勇気を出して彼に見せてみたんです。
ローズ:
ちょっと待ってください。ネッシーはまだ見つかってないのに伝説のネッシーハンターがいらっしゃるんですね?
ケリー:
ええ。彼は1991年以来、つまり32年間ずっとネス湖畔にキャンピングカーを構えて、ネッシー探しをしている人です。仕事も辞め、持ち家も売り払い、当時のガールフレンドとも別れて、ネッシー探しに人生を捧げているんです。21年目に突入した2012年には、ギネス世界記録(連続でネス湖を観察している最長記録)も獲得しています。
中村:
写真を見せて、どうなりましたか?
ケリー:
「これはすごい!」となりまして。ネッシーかどうかはわからないけど、このような興味深い不思議な写真は今まで見たことがないと。確かに生き物のように見えるし。となると生物学の観点からも貴重な情報だ、と言われました。「すぐに世間に公表した方がいい!」ということになったんです。
ローズ・中村:
えー! ケリーさんの写真がそんなに貴重なものだったんですね。
ケリー:
どうやらそのようで、すぐに英国の全国紙のウェブ版に掲載され、実は今も世界中から取材依頼が送られてきています。
中村:
ケリーさんの写真から、何か新発見がありそうですか?
ケリー:
ネッシーファンから生物学者やオカルト専門家まで、世界中のいろんな人たちが自分なりの分析をして、どんどん推論を立てているみたいです。私たちとしては、以前からネス湖調査に関わってきた人たちに相談したうえで、信頼できる画像解析の専門家や海洋生物研究所などに分析してもらうのが最善策だと思っています。
中村:
さて、今回のネッシー大捜索、そしてケリーさんの写真。地元ではどのように報道されていますか?
ケリー:
大捜索に関しては、もしかしたら海外では「発見されなくてガッカリ」という感じで報道されているかもしれませんが、こちらでは「調査結果が楽しみだ」とポジティブに報道されています。
私の写真に関しては、ネス湖の未確認生物の存在を裏付ける写真だとか、ネス湖への注目度をさらに高め、スコットランドの魅力を大いにアピールする朗報だとか、ポジティブな報道が多いです。もちろん懐疑的な意見もあって物議を醸していますね。
ローズ:
「ネッシー」の何が、ケリーさんはじめ多くの人を何十年にもわたってひきつけるんでしょうか?
ケリー:
やっぱり神秘性とロマンですね。これからもいろんな人々をひきつける存在であると思います。
中村:
ケリーさん、どうもありがとうございました!
ケリー:
ありがとうございました。
【放送】
2023/09/09 「ちきゅうラジオ」