午後6時台を聴く
23/07/01まで

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毎週土日の夕方に、“世界の今”を現地で暮らす人ならではの目線でお伝えしている双方向番組「ちきゅうラジオ」。世界中の人々と電話をつないで海外のホットな話題をピックアップする「ちきゅうメイト」のコーナーでは、バングラデシュにお住いの田中志歩さんにお話をうかがいました。

【出演者】
田中:田中志歩さん(リサーチャー、広島大学 大学院 博士課程在籍)
ローズ:當間ローズさん(土曜担当MC)
中村:中村慶子アナウンサー


ローズ:
田中さんはちきゅうラジオ、初めてですね。今はバングラデシュの研究をされているそうですね?

田中:
広島大学の博士課程に在籍して、バングラデシュの少数民族の教育をはじめ、この国を広く研究しています。ここにいると、日本・バングラデシュ双方の研究者と出会えて刺激的ですよ。

中村:
リサーチやガイドのお仕事もされているということで、これからバングラデシュの話をいろいろ聞けるのを楽しみにしています! では今回、田中さんが注目したバングラデシュのニュースは?

田中:
はい、先日バングラデシュの新聞「プロトムアロー」に掲載されていた「100種類のマンゴーフェア開催」というニュースと、バングラデシュのマンゴー文化についてお伝えします。

ローズ:
100種類のマンゴー! すごいですね。どんなニュースか詳しく教えてください!

田中:
バングラデシュでは4月から8月までがマンゴーシーズンです。さまざまな種類のマンゴーがあり、特に5月にラジシャヒ県で開催されたマンゴーフェアでは、100種類以上のマンゴーが登場したとあります。ラジシャヒはバングラデシュの西にある県で、マンゴーの産地として特に知られている場所です。

中村:
100種類というと、私たちの知らないマンゴーもたくさんあるんですよね?

田中:
ヒムシャゴールやアムルパリという品種は、酸味と甘味のバランスがよく、バングラデシュでも人気があります。また、日本ではマンゴーといえばオレンジ色かと思いますが、バングラデシュのマンゴーのほとんどの品種は、熟れても緑色をしています。初めて見たとき「熟れているのは、ちっとも売っていないなぁ」と思ったんですが、違いました!

バングラデシュのマンゴー

ローズ:
マンゴーシーズンならではのもの、というのは何かありますか?

田中:
ラジシャヒ県などフルーツの産地から首都のダッカまでは300kmぐらいの距離がありますが、毎年この時期になるとマンゴーしか乗せない列車が走り、ニュースになります。マンゴーシーズンの風物詩といった感じです。

この時期、市場ではカゴに盛られたたくさんのマンゴーを目にしますし、ダッカに住んでいてもいろいろな方からマンゴーをいただきます。誰もが自分の地元のマンゴーに誇りを持っていて、「うちのマンゴーはこれこれという品種で、とてもおいしい」などと言いながらマンゴーをいただけるのが、とても楽しいです。

ローズ:
田中さんは、日本にいた時とマンゴーの食べ方や頻度に違いはありますか?

田中:
日本にいたときは高級品という印象でめったに食べなかったのですが、こっちではシーズン中、毎日食べます。日本のようにとびきり甘いものもありますが、酸味とのバランスが取れたものが多い印象です。

中村:
確かに日本のマンゴーはとても甘いものが多いですよね。

田中:
実は、日本の宮崎マンゴーが最近はバングラデシュでも話題で、「世界一高級なマンゴーをバングラデシュで作ろう」というプロジェクトが始まっているそうです。報道のみでまだ市場に出回っていないのですが、日本人の私に「あのマンゴーはどこで売ってるんだ?」とか「どれくらいおいしいんだ?」とか聞いてきますね。

中村:
日本のマンゴーがバングラデシュでも注目されているなんて、なんだか誇らしいですね。そんなにいろんな種類があるなら、食べ方もいろいろありそうですね。

田中:
まずはタイで食べられるソムタムのように、サラダにして食べる方法ですね。熟れていないパパイヤをサラダのように食べますが、こちらではカチャアムと言われ、ベンガル語で「熟れてないマンゴー」という意味です。
ほかに私が好きなのは、アチャールとかアムショッドとかですかね。

ローズ:
それぞれどんなものですか?

田中:
アチャールは、カレー味のピクルスみたいな料理です。ピリ辛で、いろんな作り方があってとってもおいしいです。
アムショッドは潰したマンゴーを日に干したもので、作り方はのりに似ているかもしれません。できあがった見た目はクレープみたいな感じです。熟れてないマンゴーと熟れたマンゴーで作られたアムショッドを食べ比べると、食感の違いを楽しめます。
また、両方ともホームメイドのものがとてもおいしくて、お友達からのおすそ分けがうれしいです。

アムショッドを作っている様子

中村:
つい先日、田中さんはバングラデシュで一番大きなマンゴーバザールに行ってきたとか?

田中:
バングラデシュでは6月ごろから、いろいろな場所にマンゴーバザールが登場します。マンゴーばかり売っている特設の市場のようなところです。
ラジシャヒ県の隣県のチャパイノゴンジ県には、バングラデシュで一番大きなマンゴーバザールがあって、卸売市場となっています。たくさんの種類でキロ単位での購入なので、小売店の方が買っていく様子が大迫力でした。道の脇にずらーっとマンゴー屋さんのテントが並んでいて、100はあったと思います。付近はマンゴーの甘い匂いでいっぱいでした。

マンゴーバザールの店員さん

ローズ・中村:
楽しそうですね!

田中:
本当にいろいろな種類があって、店主さんのお勧めを紹介してくれたり、私の好みを聞いてくれてマンゴーを選んでくれたりと、とても楽しかったです!
店主さんのお勧めも購入することになり、結局4キロもマンゴーをダッカに持って帰りました。4キロ購入しても250タカ、日本円で大体300円! いい買い物をしました。

ローズ:
バングラデシュの人たちにとって、マンゴーは特別な存在なのでしょうか?

田中:
こちらでは食品加工技術がそれほど進んでないので、マンゴーは採れる時期に食べるというのが一般的です。この時期しか味わえないからこそ、マンゴーをいろいろな方法で楽しんでいるという印象があります。
私も8月までのシーズン中、いろいろなマンゴーを試してみたいと思います!

中村:
バングラデシュの田中さんに伝えていただきました。ありがとうございました!

田中:
ありがとうございました。


【放送】
2023/06/24 「ちきゅうラジオ」

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