本と出会おう

21/09/29まで

武内陶子のごごカフェ

放送日:2021/09/22

#インタビュー#文学

14時台を聴く
21/09/29まで

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21/09/29まで

読書の秋です。本を読んで元気が出た、癒やされたなど、本は、私たちの心や生き方に影響を与えてくれる存在ではないでしょうか。今回は書店主の二村知子さんに、本と過ごすことの価値や、書店の今、ステキな本と出会うコツなどについてうかがいました。(聴き手:武内陶子アンカー)

【出演者】
二村知子さん(書店主)


<プロフィール>
1960年、大阪府出身。
小学校2年生で水泳を始め、13歳で井村雅代コーチに師事し、シンクロナイズドスイミングをはじめる。現役時代はチーム競技で2年連続日本1位、日本代表として2年連続世界第3位に。現役引退後は、家業の書店に社員として入社。2015年、父のあとを引き継ぎ書店主に。

街の書店を取り巻く状況

――2015年にお父様が亡くなられて書店主になられたのですね。

二村: 赤字続きの書店でしたので、家族からは「辛い思いまでして続けることはない」と反対されました。でも、本屋で私は大きくしてもらったことと、近所のお客さんたちを失望させないために辞めるわけにはいかなかったんです。作家と読者の橋渡しも続けたかったんです。

――書店主ということで読書量も多いと想像します。

二村: 月に20冊程度ですね。興味を持ったものはまず読みます。以前は小説が好きでしたが、今はノンフィクションが増えましたね。

――街の書店を取り巻く状況は厳しいですよね。

二村: 問題はいくつもあるのですが、小さな書店が「売りたい本を売れない」ということがあります。これは昭和20年代から続く「ランク配本」という仕組みなんです。どのお店がどんな本を売ったかというデータは反映されず、月商・坪数で取次店(問屋)から本が配本されるシステムです。例えば単行本で出た作品をうちの書店で時間をかけて100冊売った実績があっても、その本が文庫化され新刊として発売されたとき、普通に考えたらたくさん配本されるのに、現実は0冊なんです。ようするに小さいお店には売れそうな本は配本されないのです。

――そんな厳しい状況を打破するためにどんなことをされているのですか。

二村: ライブに行けばミュージシャンに会うことができるように、書店で作家と会える「作家と読者の集い」を開催しています。この「作家と読者の集い」はリアルとリモート交えて270回以上開催することができました。その他、棚に地元出身の作家さんや、地元が舞台となっている物語など、地元という目線で本を並べることを心がけています。また、お客さんの状況を知ることで、私の中にある本を薦めることができると思うので、お客さんに積極的に話しかけるようにしています。「二村さんが薦めてくれはるんやったら」と読んでくださる方も増えてきました。
最近では、私からの質問に答えてもらって、その人に合った本を案内する「パーソナルな選書サービス」も行っています。そこまでして選んだ本は、その人の人生に寄り添うことができると信じています。

運命の出会いを信じる

――本を薦めるためにそこまでするのはどうしてなのですか。

二村: 私自身が、運命的な本との出会いを経験したからです。事故で手足の自由を失った画家で詩人の星野富弘さんの『愛、深き淵より』を読んだんです。現役を引退して悩んでいた私はこの本に救われました。本の力を信じるようになった作品です。

――街の本屋さんが少なくなって、本と出会える機会が減ってきたように感じます。

二村: 出会い方はネットも含めていろいろあると思います。しかし、なによりも手にとったものを読んで(立ち読みでも)ピンときたらそれが出会いです。これが一番の方法だと私は思っています。人に聞いてみることも大切だし、SNSなどで「今こんなんだけど、どんな本読んだら参考になる?」とか問いかけてみる方法もありますね。本はどこで買っても同じではないのです。なにより出会い方が大事だと思っています。

――今後、街の本屋さんはどうなっていくのでしょうか。

二村: お客さんが漫画や雑誌を入り口にして、他の本に出会う機会があるのが街の本屋さんだと思います。図鑑が好きで通っていた男の子が今では医学生になっています。きっと彼は運命の本に出会ったのでしょうね。これからも運命的な本との出会いの場を提供し続けたいです。

――二村さんにとって本とは。

二村: 生きるチカラをもらえるものです。本と人とのつながりが起こす奇跡のために、少しでも手助けしたいと考えています。頑張っている街の本屋さんを見かけたらぜひ立ち寄ってみて下さい。

【放送】
2021/09/22 「武内陶子のごごカフェ」

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