食欲の秋、コの字で楽しもう!

23/10/10まで
ごごカフェ
放送日:2023/10/03
#ローカル#お酒#たべもの
午後2時台を聴く
23/10/10まで
コの字型のカウンターがある「コの字酒場」の魅力について、加藤ジャンプさんに教えていただきました。(聞き手:武内陶子パーソナリティー)
【出演者】
加藤ジャンプさん(文筆家・コの字酒場探検家)
<プロフィール>
1971年、東京都出身。一橋大学卒業・同大学院修了後に出版社に入社。小説や雑誌の編集者などを経て独立。現在、フリーの文筆家としてグルメ雑誌など各種メディアで執筆。
――コの字酒場の定義を教えていただけますか?
加藤:
カタカナの「コ」の形をしたカウンターがあって、三方向から店員さんを囲むような造りになっている居酒屋を「コの字酒場」と呼んでいます。
――これまでどのくらいのコの字酒場に行かれたのですか?
加藤:
20代前半から通い始め、だいたい300~400軒くらいですね。
――客層も以前とは変わりましたか?
加藤:
10年くらい前は中高年男性が多かったのですが、最近は若い女性も多く、老若男女が楽しめる場所となっています。お酒が飲めない人も楽しんでいますよ。
コの字酒場の魅力
加藤:
写真は、群馬県高崎駅近くにある居酒屋です。大体のお客さんが、その店のおすすめメニューを食べているので一体感が強くなります。
――現地の人と話ができて楽しそうですね。
加藤:
それから、カウンターの内側にいる店員さんの洗練された仕事ぶり(所作)は、見ごたえがありますよ。例えば、オーダーに応じて串を焼き場へ運ぶ人、タレを付けて焼く人、それぞれの動きに無駄がなく、全員が持ち場の仕事を熟知して、互いにフォローしあっている。その優雅な連携ぶりはまるで群舞のようです。
――その他、どんな魅力がありますか?
加藤:
東京・町田市にある店は、初代の小料理屋に始まり、二代目が喫茶店とバーを経てコの字居酒屋をつくって、今は三代目という歴史があります。最近はその息子さん(四代目)も店に立っています。カウンターの中で見せる親子のやりとりは、まるで舞台(ホームドラマ)を見ているようです。
――初心者の方にアドバイスをお願いします。
加藤:
入店してすぐズカズカと座らないでください。会釈でよいので店主と軽く挨拶しましょう。常連さんの指定席があることが多いので、すみっこは避けるのが無難でしょう。オーダーは周囲のお客さんのまねをすると、会話のキッカケになりますよ。
おすすめ コの字エリア
加藤:
大阪の大正区には古き良き昭和レトロ感が満載のコの字酒場が多く残っています。地元のお客さんとの会話もおもしろく、「大阪ナンバーワン」という感じで話すのがとてもいい感じです。
加藤:
宍道湖の酒場では、スズキ、モロゲエビ、ウナギ、アマサギ、シラウオ、コイ、シジミの「宍道湖七珍」もオススメです。美しい夕焼けを見ながらだとおいしさ倍増です。
加藤:
松本城で知られる観光都市ですが、市民の生活と旅行客がいいバランスを保っている街だと思います。馬肉文化の信州ならではの馬モツの煮込みや、店主手打ちの信州そばもおいしい店も多いです。
加藤:
大森は、古くからのコの字酒場が多い「コの字タウン」です。中でも60年以上の歴史を誇るのが、煮込みがおいしいコの字酒場。実は、先代の大将が亡くなり、女将さんが後を引き継いたのですが、高齢により2015年に店を畳むことになったんです。しかし、お店の常連客だった人が、レシピごと引き継ぎ店を再開させたんです。そんな歴史と、常連客の情熱を思うとよりおいしく感じます。
新規店開拓法
――新しいお店選びは何を参考にしているのですか?
加藤:
僕の場合は、ネット情報ではなく直接聞いたクチコミですね。好みが似ていそうな人に聞いたところへ行く感じです。
――コの字カウンターはどうやって探すのですか?
加藤:
外からは見えにくいですが、すりガラス越しに後頭部と横顔がいっしょに見えると、コの字の可能性が高いですよ(笑)。
――これからコの字酒はどうなっていくと考えていますか?
加藤:
都市部では再開発で閉店してしまう店が多いのですが、中には新しい駅ビルに移転して続けている例もあります。そういうお店が増えるといいなと期待しています。店の風通しがよくなれば、社会の風通しもよくなると思っています。
【放送】
2023/10/03 「ごごカフェ」
午後2時台を聴く
23/10/10まで