午後2時台を聴く
23/09/07まで
水分を抜き、長期保存できるようにした乾物は、日本の食卓には欠かせない伝統食材として重宝されてきました。現代人に不足しがちな栄養が乾物にはたっぷり含まれています。今回は、サステナブル料理研究家のサカイ優佳子(ゆかこ)さんに、乾物の魅力や素敵なレシピを紹介していただきました。(聞き手:武内陶子パーソナリティー)
【出演者】
サカイ優佳子さん(サステナブル料理研究家)
<プロフィール>
1962年、千葉県出身。東京大学法学部卒業後、外資系金融機関勤務。娘の重度のアトピーをきっかけに、食の活動を開始。2002年から五感を重視した食育ワークショップ「食の探偵団」を主宰。2007年から米粉レシピの開発。2011年には乾物を現代のライフスタイルに合わせて活用するための研究を開始。現代のライフスタイルに合わせた手軽でおいしい、乾物料理レシピを数多く発表。著書多数。
――サカイさんが乾物に着目されたきっかけは?
サカイ:
きっかけは東日本大震災です。計画停電で冷蔵庫が使えない状況での中、スーパーの棚には、乾物が並んでいたんです。乾物は、もしもの時の備えになる上、食品ロスの削減、省エネ、そして料理の時短にもなります。古くさいと思っていましたが、一周回って最先端の未来食だと注目したんです。
――きょうは番組中に、一品つくっていただけるんですよね。楽しみです!
サカイ:
ドライフルーツ(レーズン&マンゴー)と、乾燥ほうれん草、豆腐を使った「白あえ」をつくります。豆腐の水分で、ドライフルーツと乾燥ほうれん草を戻す簡単レシピです。調味料は、しょうゆ、ねりごま、砂糖です。水切りしない豆腐の水分で戻します。これをビニール袋や密閉容器の中で混ぜて15分ほど寝かせれば完成です。
――乾物は水で戻してから使うと思っていましたけど、豆腐の水分で戻しちゃうんですね。
サカイ:
もちろん水で戻しても良いのですが、たっぷりの水は必要はありませんし、戻した汁も料理で使えます。水を捨てると水溶性の栄養もいっしょに捨ててしまうことになるんです。水ではなく、水分で戻してみましょう。何で戻すかを考えると料理のバリエーションも広がりますよ。
乾物料理のレシピ案内
煮干しのトマトジュース焼き
サカイ:
煮干しをトマトジュースに7~8時間つけて戻し、フライパンで焼きます。仕上げに好みのハーブ(オレガノ、バジル、イタリアンハーブミックス、エルブドプロバンスなど)を振って完成です。
わかめとしょうがの炊き込みご飯
【材料】
米…2合(300g)
酒…40ml
乾燥カットわかめ…10g
しょうが…みじん切り 15g
白いりごま…少々
【作り方】
・炊飯器に研いだ米を入れて酒を入れ、2合の目盛りまで水を加える。
・わかめの重さと同じ分量(10ml)の水を加え、30分浸水。
・わかめとしょうがを加えて炊飯する。
・いりごまを散らして完成。
油麩(ふ)のティラミス風味
サカイ:
油麩を甘いコーヒーで戻し、マスカルポーネチーズを間にはさみ、ココアパウダーを振ってミントを飾れば完成です。
寒天スクランブルエッグ
サカイ:
棒寒天を牛乳で10分ほど戻したら、スクランブルエッグをつくりながら戻した寒天を加えます。寒天の繊維も残っている魅力的な食感が体験できますよ。
お豆たっぷりカレー風味のスープ春雨
【材料】
A
ひき肉…10g (※大豆ミートでも可)
いり大豆…10g
高野豆腐(薄切りタイプ)… 5g
切り昆布…1g
切り干し大根…5g
スライス干しシイタケ…2g
水…350ml
春雨…25g
フレークタイプのカレールー…10g
塩…適量
香菜…少々
【作り方】
・Aを鍋に入れてふたをして火にかけ、いり大豆が柔らかくなるまで5~6分弱火で加熱。
・春雨を加えて、柔らかくなるまで煮る。
・カレーフレークを加え、塩で味を調える。
・器に盛り、香菜を飾る
切り干し大根のぬか漬け
サカイ:
切り干し大根をぬか床の水分で戻します。3日間漬けたキュウリはシワシワになりましたが、切り干し大根は大丈夫でしたよ。
乾物をつくってみよう!
サカイ:
これからの季節、甘柿の皮を向いてスライスして干すことをオススメします。ヨーグルトで戻して食べると、ねっとりしてとてもおいしいですよ。
――ゴボウやエノキもおいしくなるそうですね。
サカイ:
ゴボウは酢水に15分ほどつけてアクを抜いてから干しましょう。炊き込みごはんや煮魚、とん汁やけんちん汁に加えてゴボウの風味を味わってください。エノキは干すことで細胞壁が壊れ、その中にあるエノキタケリノール酸が体に吸収できるようになります。エノキタケリノール酸は内臓脂肪率を低下させる効果があることがわかっています。うまみも増してシャキシャキ食感を楽しめます。
――きょうは勉強になりました。これからもいろいろ教えてください。
サカイ:
自分が乾物にならないように、これからも研究していきます(笑)。
【放送】
2023/08/31 「ごごカフェ」
午後2時台を聴く
23/09/07まで