「修理」するのではなく「治療」する、ぬいぐるみ専門病院の箱崎なつみさんに、ぬいぐるみの魅力や治療に込めた思いなどうかがいました。(聞き手:武内陶子パーソナリティー)
【出演者】
箱崎なつみさん(ぬいぐるみ専門病院 院長)
<プロフィール>
宮城県仙台市出身。洋裁専門学校を卒業後、オーダーメードの婦人服の会社や洋服修理店に勤務。2016年、ぬいぐるみ専門病院を開業。
――ぬいぐるみ専門病院って、どんなところなんですか?
箱崎:
ぬいぐるみは、モノではなく大切な家族の一員と考えています。大切な家族であるぬいぐるみに寄り添える治療を大切にしています。
――修理ではなく、治療とおっしゃてるんですね。
箱崎:
ぬいぐるみの個性を大切にしているので、修理ではなく治療と言っています。
――問診票には、ぬいぐるみの趣味、特技、好きな食べ物を記入する欄があるんですね。
箱崎:
ぬいぐるみにきちんと向き合えるように、記入していただいています。病院にあずける保護者にとっても、ぬいぐるみとの思い出を振り返るいい機会になっています。
――一般の病院のように内科や外科など、専門の科があるのですね。
箱崎:
内科でしたら綿交換。外科なら弱った生地などの補強。美容外科は薄毛の植毛など、それぞれ状態にあった治療を提案しています。新品に戻すことを目指している訳ではないので、古くなった中綿をハート型のガーゼに包んで体の中に入れたりしています。
――入院中のぬいぐるみたちをホームページで見ることができるそうですね。
箱崎:
治療過程を写真つきでアップしています。また、付き添いのぬいぐるみも受け入れています。
――海外からもいらっしゃるそうですね?
箱崎:
海外のメディアに取り上げられたこともあり、海外のお客さんも多いです。
――どんな方が来院されるのですか?
箱崎:
小さいお子さんから年配の方まで幅広く来院されます。
――ぬいぐるみにはどんな魅力があると思いますか?
箱崎:
やはり癒しだと思います。特に人間関係に悩みを抱え、疲れている人にはオススメです。
――印象に残っているお客さんはいましたか?
箱崎:
ぬいぐるみと離れたくないと泣いていた女の子が、ぬいぐるみが退院した時に人生初の「うれし泣き」をしたそうです。子どもの成長の一部になったんだなと感じて、本当にうれしかったです。
――時代によって、ぬいぐるみは変化していますか?
箱崎:
昔のぬいぐるみは、綿やポリウレタンが多く劣化しやすかったのですが、今はポリエステルなどの化学繊維が多いので丈夫になりました。