みんなでショートショート!

23/06/28まで
ごごカフェ
放送日:2023/06/21
#学び
午後2時台を聴く
23/06/28まで
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23/06/28まで
数分で読めて結末が印象的なショートショートが注目されています。「読む」だけでなく「書く」ことも人気で、その発想法を用いて新商品の開発に役立てる企業もあるそうです。今回は、ショートショート作家の田丸雅智さんをお迎えして、ショートショートの魅力、創作のコツを伺いました。また、リスナーから寄せられた言葉から「超ショートショート」作りにも挑戦しましたよ。(聞き手:武内陶子パーソナリティー)
【出演者】
田丸雅智さん(ショートショート作家)
<プロフィール>
1987年、 愛媛県出身。東京大学工学部、同大学院工学系研究科を修了。2011年に作家デビュー。翌年、ショートショートコンテストで『海酒』が最優秀賞を受賞。現代ショートショートの旗手として精力的に活動中。小説以外にビジネス書も手がけている。
常識のヘルメットを外そう!
――企業でショートショート講座もされているそうですね。
田丸:
通常の書き方講座の内容をアレンジして、企業でワークショップを開催しています。「荒唐無稽な物語の中にこそ、未来を切りひらくヒントがある」という仮説のもと、社員のみなさんに実際に自分の会社や会社の業務領域にまつわるショートショートを執筆していただきます。完成した作品をみんなで読み解くことで、新しい商品やサービスのきっかけになればと思っています。自分のアイデアを物語にすると、客観的に見つめることができるのです。
――ショートショートを書いてと言われても、戸惑う人も多いと思います。まず何をしたらよいのですか?
田丸:
まずは「空想」です。企業向けのワークショップでは「あなたの空想が世界を変える」と伝えています。そもそも、私たちが当たり前のように使用している「スマートフォン」も「消せるボールペン」も「羽のない扇風機」も、誰かの空想から生まれました。世界を変える新しい商品やサービスのアイデアは個人の空想の中に眠っているんです。ショートショートも、空想から生まれたアイデアをいかして印象的な結末を作る。つまり「商品」を作るのにも、「ショートショート」を書くのにも、この「空想」がカギなんです。
――空想が得意な人もいれば、苦手な人もいますよね?
田丸:
「自分は頭が固いから…」「子どもの頭のほうが柔らかい」などという人がいます。しかし、頭の柔らかさは、基本的には大人も子どもも同じです。大人は常識やルールにとらわれていることが多く、そのため頭が固く見えるんです。この「常識のヘルメット」をはずして、頭を柔らかい状態すればいいんです。「空想」「アイデアの発想」「物語の創作」においては、大人の「経験」「知識」「教養」も役に立つんです。
――常識のヘルメットを外せれば、子どもよりも大人のほうが有利かもしれませんね。
田丸:
日本人は、幼少期からマンガ、アニメ、ゲームに触れる機会があり、空想が身近にある環境で育つ「空想ネイティブ」なんです。ところが、成長の過程で空想力を発揮すると「変な子だと思われてしまうのでは」とか、「みんなと一緒でないといけないのでは」という同調圧力が相まって、次第に空想力が外に出ないようになってしまうんです。しかし、ビジネスシーンではこれまでにない革新的なアイデアを求められることが多く、今こそ空想力を発揮しないともったいないと思います。
不思議な言葉を考えよう!
――常識のヘルメットをどのようにして外して、ショートショートを完成させるのですか?
田丸:
まず、言葉と言葉を組み合わせて不思議な言葉を作ります。ステップは3つです。
- 1)名詞を4つ書いてください。例えば「猫」「アルコール消毒」「おむつ」「クリーム」
- 2)その中から1つだけ選んで、その名詞から連想する言葉を3つ書き出してください。
- ※ 「猫」を選んだら「ニャアとなく」「もふもふ」「夜行性」など。
- 3)先ほど挙げた4つの名詞のうち、選ばなかった3つの名詞と「猫」から連想した3つの言葉を組み合わせてください。すると不思議な言葉、おもしろい言葉が生まれます。
- ※ 「ニャアとなくおむつ」「夜行性のアルコール消毒」「もふもふクリーム」など。
田丸:
むずかしく考えず、自由に発想すれば、あなたの常識のヘルメットは確実に外せますよ。
話を膨らませよう!
――リスナーの皆さんからお寄せいただいた不思議な言葉の中からひとつを選んで話を膨らませていこうと思います。
田丸:
話しの膨らませ方には、3つのコツがあるんです。
- 1)どんなものか説明する。
- 2)メリットを考える(どこで、どんなときに、どんな良いことがあるのか)
- 3)デメリットを考える(どこで、どんなときに、どんな悪いことがあるか)
――例えば「猫」から連想した不思議な言葉の中に「もふもふクリーム」がありましたが、この「もふもふクリーム」がどんなもので、メリットとデメリットを考えるとどうなりますか?
田丸:
例えば「もふもふクリーム」について私はこのように考えました。
どんなもの⇒塗ると手が猫の毛に覆われて「もふもふ」になる。
メリット⇒疲れたときにほおずりができたり「猫吸い」ができたりして癒される。
デメリット⇒猫のように爪がムズムズすることがあるので「爪とぎ」を持ち歩かなくてはならない。
――さらに話を膨らませるにはどうしたらいいですか?
田丸:
登場人物を設定したり、会話を加えたり、自分自身に「それから? それから?」と次に起こることをどんどん質問していきましょう。
――田丸さんが考える、ショートショートを書くメリットは?
田丸:
学業や社会で役立つ文章力、アイデアを生み出す発想力、そのアイデアを印象的な結末にまとめあげる論理的な思考力が身につくと思います。みなさんも、是非、ショートショートを書いてみてください!
- ※ リスナーからいただいた不思議な言葉「しわくちゃのテレビ」で、どのような超ショートショートが完成したのか? 「聴き逃し」で確認してください。
【放送】
2023/06/21 「ごごカフェ」
午後2時台を聴く
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