カレーはコミュニケーションツールという水野仁輔(みずの・じんすけ)さんに、カレーで広がった人生、世界のカレー料理の話などをうかがいました。(聞き手:武内陶子パーソナリティー)
【出演者】
水野仁輔さん(カレーの人)
<プロフィール>
1974年、静岡県出身。1999年以降、カレー専門の出張料理人として全国各地のイベントでカレーのライブクッキングを実施。世界を旅するフィールドワークを通じて「カレーとはなにか?」を探求し続けて、カレーについて学ぶ学校の校長も務める。カレー関連の著書多数。
――カレーを好きになったきっかけは?
水野:
小学校1年生の時に食べた浜松市のインドカレー店が僕の原点ですね。中学生、高校生になってからは自分のお小遣いで通うほどハマっていました。上京してからは、いろいろな有名店のカレーを食べ歩くようになりました。インド料理店でアルバイトをして、その店で覚えたカレーを誰かに食べてもらいたくてホームパーティーも開きました。最初は数名の友人だけだったのが段々と増えていったんです。社会人になってからは、公園に30名くらい集めてカレーイベントを開きました。
――出張カレー料理人の活動が始まったわけですね?
水野:
イベントが好評だったのでそれをきっかけに『東京カリ~番長』というユニットを仲間たちと作り、出張料理人の活動を始めました。いろいろなイベントから声がかかって、毎月どこかでカレーを作ってました。
――カレーは作って持っていくんですか?
水野:
スパイスだけを持っていって、現地の特産品などを調達してカレーを作ります。だから二度と同じカレーは作れないんです。
――どうしてカレーだったのですか?
水野:
カレーは、特別なコミュニケーションツールだと思ったんです。大きな鍋でたくさん作って、香りを共有して、みんなで食べる。初めてホームパーティーをした時からすごく盛り上がったんです。他の食べ物ではこうはならないと思っています。
――日本人ってカレーが大好きですよね。
水野:
学校の給食、林間学校でのカレー作り、初めてのひとり暮らしなど、いろんな場面でカレーがあって、思い出がある。カレーは日本人の生活に寄り添った食べ物なんです。
――コミュニケーションツールという言葉通り、水野さんにはたくさんのカレー仲間がいらっしゃいますよね。
水野:
好きなことを見つけると、一緒におもしろがってくれそうな人は誰だろう? とすぐ考えてしまうんです。仲間を作ることで、アイデアも増えて広がりも出てくるんです。
――最近ではどんなカレーにハマっているのですか?
水野:
ハーブ料理にハマった延長で「タイカレー」に注目しています。インドカレーはけっこう日本で広まったけど、タイカレーは、まだまだなんですよ。なので、しばらく「タイカレー、タイカレー」って僕はうるさいと思いますよ(笑)。
――家庭のカレーをおいしく食べるコツや隠し味など教えてください。
水野:
いつものカレーに、バターやヨーグルト、チーズなどを入れてみてください。乳製品は相性がいいです。しょうゆやみそなどの発酵調味料でもおいしくなります。また、ジャムやチャツネで甘味を加えるのもおすすめです。ちなみに僕が失敗したのはスイカとワサビですね(笑)。
――家で作る場合、スパイスは何をそろえたらいいですか?
水野:
スパイスはクミンシード。粉なら、ターメリック、レッドチリ、コリアンダーの3つがあれば完璧ですね。辛いのが苦手な場合は、レッドチリの代わりにパプリカパウダーを入れてみてください。
――メインの食材は何がいいかしら?
水野:
火が通りやすい鶏肉がおすすめです。