外国語はその国のイメージを膨らませ、自分の知らない世界を広げてくれます。外国語を学ぶ楽しさについて、イタリア語教師のマッテオ・インゼオさんにお話をうかがいました。(聞き手:武内陶子パーソナリティー)
【出演者】
マッテオ・インゼオさん(イタリア語教師)
<プロフィール>
1976年、イタリア・ローマ生まれ。ローマ大学で日本文学を学ぶ。2002年に文部科学省の「語学指導等を行う外国青年招致事業」で来日し、群馬県前橋市役所で1年間勤務。その後、本格的にイタリア語教師として活動を開始。2005年、NHKの『テレビでイタリア語』、2010年からNHKラジオ『まいにちイタリア語』の講師。現在は、木曜・金曜の(応用編)を担当。
――外国語の習得が趣味だそうですが、外国語に興味を持つようになったきっかけは?
マッテオ:
両親はイタリア人ですが、母がアメリカで育った関係で、子どもの頃から英語を話す人たちに会うことが多く、どうしてこの人たちの言っていることがわからないの? という気持ちが、外国語を学ぶきっかけになったんだと思います。それから、中学校で英語、高校でフランス語やドイツ語も勉強しました。
――イタリアの中高生は、そんなに外国語を勉強するのですか?
マッテオ:
ヨーロッパは各国と地続きなので、国境を超えて人の交流は盛んです。なので、中学、高校から周辺国の言語の授業は多いですね。
――日本語を勉強しようと思ったきっかけは?
マッテオ:
10歳から空手を習っていて、技の名前や数字の数え方「イチ、ニ、サン」などは教えてもらっていましたし、テレビでは必ず日本のアニメを放送していたので、日本の文化になじみがあったというのもあるかもしれないですね。
――日本に初めて来たのは?
マッテオ:
大学2年生の夏休み期間に、東京のサマースクールで日本語を勉強しました。この時に「大学を卒業したらまた来る!」と決意しました。
――卒業とほぼ同時に、文部科学省の「語学指導等を行う外国青年招致事業」に合格して、群馬県の前橋市役所で仕事をすることになったんですね。
マッテオ:
前橋市はイタリア中部のオルビエート市と友好都市で、国際交流の際のさまざまなアテンドをしました。イタリアの大学でかなり勉強したはずでしたが、現場で実際に使われる日本語はそれとは違っていましたね。イタリア語どころか英語をしゃべれる人もほとんどいなかった職場でしたが、毎日のように食事や飲み会、イベントに誘ってくれて、一気に日本に近づいた感じがしました。とても大切な1年でした。
――日本での生活はどうでしたか?
マッテオ:
日本のアニメをイタリアで見ていたので、電車の踏切の音を聞いたり、おにぎりを見たりすると、本物だ! と感動していました(笑)。あと、日本では、イタリア語をあちこちでみかけることができます。渋谷にはイタリア語で「公園」という意味の大きなファッションビルがあったり、「速い」という意味のカフェや、「ひと休み」という意味のファミレスもあるんです。おいしいイタリア料理も食べることができるし、寂しさを感じることは少なかったですね。
――「公園」「速い」「ひと休み」って気になるわ(笑)。日本の食べ物で好きなものは?
マッテオ:
いっぱいあるけれど、すきやきが好きかな。肉料理に砂糖を使い、生卵をからめることに最初はびっくりしたけどね。