深海に潜ってわかったプラごみの脅威

22/10/05まで

ごごカフェ

放送日:2022/09/28

#環境

14時台を聴く
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日本近海の深海には多くのプラごみ(プラスチックごみ)があるそうです。プラごみが招く地球の危機とは? どうしたらプラごみを減らすことができるのか? 生物海洋学者の中嶋亮太さんに教えていただきました。(聞き手:武内陶子パーソナリティー)

【出演者】
中嶋亮太さん(生物海洋学者)


<プロフィール>
1981年、東京都出身。2009年、創価大学大学院でサンゴ礁の動物プランクトン研究で博士号を取得。2016年からアメリカ・サンディエゴにあるスクリプス海洋研究所勤務。2018年より、海洋研究開発機構(JAMSTEC)勤務。現在「海洋プラスチック動態研究グループ」でリーダーとして活動。


――海洋研究開発機構はどのような研究をしているのですか?

中嶋: 地球環境の変化を把握し、海だけでなく大気や火山など、地球システム全体を調査・研究しています。

――海にあるプラスチックごみはどのくらいあるのですか?

中嶋: 控えめに見積もって2500万トン、多く見積もって1億トン以上あるといわれています。

――1年間に日本から海に出るプラスチックごみの量はどのくらいですか?

中嶋: 日本では2万から6万トンといわれています。日本は世界でも有数のプラスチック消費国であるということを知ってほしいですね。

――どうして海へ流れ込んでしまうのですか?

中嶋: ①不適切な廃棄物の管理 ②ポイ捨て ③使っているプラスチックが不本意にも環境中に出てしまう。この3つが海に漏れ出す要因です。

――そんなプラごみは、深海にまで流れ込んでいるんですね。

中嶋: 潜水艇「しんかい6500」で潜って調べました。往復するのに5時間、海底での調査時間は3時間。水深5700メートルの海底で、昭和59年製造のレトルトハンバーグの袋を発見しました。

――軽いプラスチックでも深海に沈んでしまうのね?

中嶋: 軽いレジ袋も生物が付着して深海に沈んでしまいます。そして、サンゴ礁に覆いかぶさってしまうんです。光を遮られて光合成ができなくなり、レジ袋で繁殖した病原菌がサンゴに移って死んでしまうこともわかってきました。

――イルカやウミガメにプラごみが絡まってしまうこともあるそうですね。

中嶋: 特にプラスチック製の漁具は、幽霊のように生き物を絡め取っていくので「ゴーストネット」とも呼ばれます。また、プラごみを食べてしまうことも問題なんです。ウミガメはたった一つのプラスチック片や、薄いフィルム状のプラスチックを飲み込んだだけで、消化管がふさがり死んでしまうこともあります。粒子となったプラスチックを動物プランクトンが食べてしまうと、栄養の摂取ができず生殖異常も報告されています。それは食物連鎖を通して人間にも影響を与えるかもしれません。

――ほかにどのようなことが懸念されていますか?

中嶋: プラスチックは、油とくっつきやすい特性があるため、自然に分解されにくい残留性有機汚染物質を吸着してしまいます。国際条約で使用が禁止された殺虫剤や、潤滑油、電気機器の絶縁体に使用される化学物質なども生物に影響を与えると考えられています。もちろんプラスチック自体に含まれている化学物質も影響は大きいです。

私たちにできること

中嶋: 軽くて沈まないプラごみは、長い時間、海を漂流します。そこに多種多様な生物がくっついて、本来の生息地を離れ新しい生息地へたどり着く「ヒッチハイク問題」があります。東日本大震災の津波で、日本からハワイや北米海岸にたどり着いたプラごみには289種の海洋生物が確認されました。ここには北米とかには記録のない生物も含まれていて、生態系や人間活動に影響を与えることが懸念されています。また、漂流するプラごみを住みかとする新しい生態系も出現しています。

――海のプラごみを大量に回収する手段はあるのですか?

中嶋: 海に流れ出たプラごみを回収することは不可能です。しかし、現状を把握しないと何もできないので、海洋のどこに、どれだけ、どのようなプラごみが分布しているのかを把握・評価する研究を続けています。残念なことに、日本近海には世界でも有数のプラごみのホットスポットがあると推測されているんです。このままだと魚よりもプラごみの方が多くなることは容易に想像できます。

――中嶋さんが考える解決策は?

中嶋: 主な方法は4つ。①プラスチックの生産量を減らすこと ②管理できていないごみを徹底的に減らすこと ③プラスチックの再利用とリサイクル率をあげること ④ごみを清掃することです。なるべくプラなし生活を目指してください。そして、プラスチックを使い捨てしないようにしましょう。

――プラスチックを使う時は、リサイクルして繰り返し使うことで、海に流れないようにしたいと思います。ありがとうございました。


【放送】
2022/09/28 「ごごカフェ」

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