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2020年9月30日(水)放送より

【出演者】
武内アナ:武内陶子アナウンサー
大野さん:大野萌子さん(メンタルアップマネージャ)


<大野萌子さん プロフィール>
1968年、神奈川県出身。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構の代表理事。産業カウンセラー、企業内健康管理室カウンセラーとしての現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメント等の専門家。内閣府等の官公庁、大手企業、大学、医療機関などで、講演・研修を行うほか、メディアでも活躍中。

メンタルアップマネージャとは

大野さん: 産業カウンセラーとして20年以上、企業の相談を受けてきました。その経験上、メンタルの不調を訴える人の9割は、人間関係が原因でした。そうした会社や組織の問題を改善するために、コミュニケーションの知識を学んで、働きやすい職場つくりに貢献するのがメンタルアップマネージャという資格です。
武内アナ: 資格なのですね。どのような思いで取り組んでいるのですか?
大野さん: 誰もが言葉使いで失敗したという経験がありますよね。私たちは日本語を自由に操れると思っていますが、実際は、決まったフレーズを繰り返していることが多く、限られた言葉しか使っていません。その習慣化されたフレーズが相手を不快にさせるものだったら、嫌われ、距離を置かれる原因になってしまいます。悪気なく無意識に使っていることもあるので、振り返ってみることが大切だと思います。自分も相手も大切にできる言葉使いを考えるきっかけになれたらうれしいと思い、取り組んでいます。

ハラスメントになる会話とは

代表的な4つのパターンを紹介していただきました。

1) 「べき論」をふりかざす
相手を追い詰めパワハラになりやすい代表的な言葉使い。信念を持つのは悪いことではないが、自己肯定感が強くプライドが高い人に多い。自分が正しい、他を認めないという意識が表れた言葉使い。「○○すべき」は、あくまでその人の主観。言われた方は、強制された感じを持って、抵抗感を覚えます。また、その言葉を真に受けて実行できなかったとき、「自分はダメな人間」と心身の不調を抱える恐れがあります。一方、言った本人もそれに固執するので、できなかったときに挫折して自己嫌悪に陥りやすいという面もあります。

2) ダブルバインド(二重拘束)
2つの矛盾した命令をすることで、相手に精神的ストレスを与えること。相手に対する支配欲が強いモラハラ体質の人に多い。例えば、「何でも相談して」と言っておきながら、いざ相談すると「そのくらい自分で考えて」「何でもすぐに聞くな」と返す上司。部下は、矛盾する命令に混乱し、自由に行動できないストレスを感じ精神的不調に陥り、思考力を奪われてしまう恐れがあります。

3) オープンクエスチョンとクローズドクエスチョン
例えば、「遊園地楽しかった?」のように、ハイイイエで答えられる質問をクローズドクエスチョン。「この遊園地のどんなところが楽しかった?」のように、具体的な答えが出やすい質問をオープンクエスチョンと言います。がんばって会話をしようと焦っている人ほど、クローズドクエスチョンになりやすいです。簡単な質問なので相手も答えやすいだろうと、これを多用すると、相手にはハイイイエでしか答えられないため、自分の思いが伝えづらく、追い詰められる感覚になることが多いので注意が必要です。

4) デンジャラスクエスチョン
「なぜやらなかった?」「なぜこうなった?」など、「なぜ…?」というフレーズで問題を追及するのは、自分の意図、自分のやり方と、違うことへのイライラや不平不満の表れです。相手の意向や気持ちを無視した会話になり、追いつめることにつながりやすいので要注意です。

ハラスメントを回避する3つポイント

1) 事実をシンプルに伝える
例えば、仕事で誰かを注意したいとき。イライラしているときは、つい「やる気あるの?」「真面目にやっているの?」などと言ってしまいます。相手から迷惑をかけられたり、自分にも影響が出ていたりすると、余計に理性より感情をぶつけたくなるため、パワハラになりやすいです。自分が正しくても、相手に対して感情をむき出しにして威圧感を与えることはやめましょう。言い方としては、「最近、仕事の効率が落ちているけど、何か困っている?」とか「頼んだ資料が期日までにできていなかったので、対策を話し合いたい」というように、事実をベースに伝えることです。ハラスメントを回避するためには、感情論ではなく事実関係を明確にしたうえで、状況を変えるためにどうしたらよいか建設的な提案しましょう。

2) あいまいな表現をしない
例えば、親子の会話で、子どもが宿題をせずにダラダラしている、出かける前にグズって言うことを聞かない。そんなとき、つい「ちゃんとして!」と言ってしまう。本人に意向を伝えたいのであれば、「まずは漢字の書き取りからしてみようか」「7時半までに着がえようね」というように具体的な指示をしてあげましょう。成長にも個人差があり、できることにも差があるので、悪いような言い方は極力せずに、時には手伝うことも必要。行動をうまく導いてあげることが大切です。職場も同じで、「きちんとしてください」「場をわきまえて」と言われても、何をどうすればいいのか、人によって程度や基準が違います。「会議中の私語は慎んでください」「今回の商談では、必ずスーツを着用してください」というように相手に理解できる言葉が必要です。

3) 相手にフォーカスして会話をする
例えば、友達と会話中に「みんなやってるから」「そんなの常識でしょ」と言って気まずい雰囲気になることもあります。「みんな」を一般化して会話をすると、「みんな」が正しくて「あなたは間違っている」という否定につながりやすいのです。他人との比較や、自分の主観で決めつけた「当たり前」や「常識」が前提の会話は、相手の気分を害して、トラブルのもとになります。「みんなも頑張っているから」ではなく、「あなたはよく頑張っているね」と声をかけて欲しいですね。

メールやSNSでの言葉の使い方

太田さん: メールやSNSが増えたことで、場の空気や相手の顔の表情が伝わりにくくなり、現場では「アレ」「ソレ」で通じていたやりとりができなくなってしまったと感じています。そういう意味では、話し言葉だけでなく、メールやSNSでの言葉の使い方にもより注意が必要な時代になったと感じます。

武内アナ: メールやSNSでのことは選びのコツは?
太田さん: 具体的な言葉でのやり取りが大切です。特にスケジュールの表現には注意してください。「近日中にお返事します」「追ってまたご連絡します」と書く人がいますが、相手からすれば「それっていつ?」と気になり、他の仕事の日程まで待機させられる場合もあり、かなり迷惑をかけていることになります。例えば、「今週金曜までにお返事します」。さらに、「この日程で問題ないでしょうか」と付け加えましょう。希望とフォローをセットにして相手の合意を得るようにすれば好感度もアップします。
武内アナ: 本当だわ! すごく印象がよくなりますね。

言葉使いの心構え

すべてに共通するのは、「自分の思い」が相手にちゃんと伝わっているかどうかです。気持ちがハッキリしていないと、あいまいな表現につながってしまいます。また、相手にして遠慮して伝えないと、かえって迷惑をかけてしまいます。自分の言いたいこと、伝えたいことを表現できるようにしてください。


聴き逃しは1週間です。何気ない言葉ほど見直してみませんか。

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2020年9月30日(水)放送より