放送を聴く
2020年9月24日(木)放送より

【出演者】
武内アナ:武内陶子アナウンサー
柳沢さん:柳沢博幸さん(漬物マイスター)


<柳沢博幸さん プロフィール>
1970年生まれ。東京・築地市場の漬物卸し問屋勤務を経て、2011年に独立し、漬物専門店をオープン。全国の漬物を食べ歩く。今までに食べた漬物は1000種類以上。

武内アナ: お漬物にハマったきっかけは。
柳沢さん: 築地市場の漬物の卸問屋にいると、プロの料理人から、産地・味・色つや・金額など、細かく指定があり、それに答えようと漬物を食べまくり、その人の好みにしっくりくるものを探しました。産地が一緒でも、漬け方で全然味が違うことも知り、漬物の奥深さにハマっていきました。
武内アナ: おいしいお漬物を選ぶコツは?
柳沢さん: 漬けているから鮮度はあまり関係ないと思われがちですが、他の料理と同じく、旬のものを選んでください。旬の漬物は、日本人の生活サイクルに密接しているので、漬物からその地域の生活が見えてきますよ。

漬物の歴史

本格的な漬物が登場するのは平安時代です。中国・朝鮮から、京都や奈良に伝わり、お公家様の嗜好品(しこうひん)として広まりました。当時は塩漬を中心に、ひしお漬(しょうゆの原型)、かす漬(酒粕)などが中心でした。ぜいたく品だったので、庶民が口にすることはありませんでした。そのような歴史もあり、今でも京都・奈良は漬物パラダイスです。特に有名なのは、夏野菜を刻んで、赤紫蘇(あかじそ)の葉で塩漬けにした「しば漬」聖護院(しょうごいん)かぶらを薄く切って、昆布と漬け込む「千枚漬」すぐき菜を伝統的製法で乳酸菌発酵させた「すぐき漬」。これを「京都三大漬物」と呼んでいます。

武内アナ: 日本人にとってお漬物とは?
柳沢さん: 意味合いが北と南では全く違います。北では寒い時期を乗り切る保存食として、南ではおかずのひとつとして漬物が食べられています。雪深い地域では、冬になると食べるものが限られるので、ぬか漬け、しょうゆ漬け、みりん漬けなど、バリエーションも豊富です。暖かい地域は、冬でも食べるものはあるので、種類もバリエーションも少なめですね。

ご当地お漬物案内

◇東北地方
いぶりがっこ(秋田県)…天日干し以外に大根を保存する手段として生まれました。秋田は、冬は湿度が高く、外に干しても乾かない。仕方がなく、囲炉裏(いろり)で干したら燻(いぶ)された。それをぬか漬けにしたのが「いぶりがっこ」です。「いぶり」とは燻すことで、「がっこ」は漬物の意味なので、大根以外の野菜でも「いぶりがっこ」です。

山形県は、地域ごとで漬物文化が違います。
丸小なす浅漬け(南陽市)…皮が薄く、柔らかいため、一夜漬けに向いている
赤かぶ漬け(鶴岡市)…温海(あつみ)かぶを、塩・砂糖・酢だけを使い、甘酢漬けにしたもの
ぺそら漬け(尾花沢市)…塩水に漬けてナスの色を抜いて乳酸発酵させ、唐辛子(とうがらし)でピリ辛に漬け込んだもの

◇関東地方
しゃくし菜漬け(埼玉県秩父)…しゃくし菜は、チンゲン菜の一種で、生産量が少なく、知る人ぞ知る漬物です。乳酸発酵させた、やや甘口のしょうゆ漬けです。

◇信越・北陸地方
木曽すんき(長野県)…捨てられていた赤かぶの葉を、有効活用しようと編み出された漬物です。海のない長野では塩が貴重なため、塩を使わず、葉の乳酸発酵で作られます。プレーンヨーグルトのような優しい酸味です。

かぶら寿司(石川県)…塩漬けしたかぶに、塩漬けした鰤(ぶり)をはさみ、米麹(こうじ)に漬け込んだ、いわゆる「なれずし」です。

◇中部地方
紀の川漬け(愛知県)…見た目も味も、関東の「べったら漬け」に近い。べったら漬けは、米麹(こうじ)に漬けるが、紀の川漬けは麦糠(むぎぬか)に漬けます。

◇中国地方
鳥取や島根に代表される山陰と、広島に代表される山陽は、全く違う漬物文化圏です。
らっきょう漬け(山陰)…古くから中国・朝鮮とつながりがあり、「らっきょう」が古くから食べられてきました。

広島菜(山陽)…暑さに弱く、秋から冬に栽培されます。冬の始まりに浅漬けとして食べ、冬の終わりごろには古漬けとして楽しみます。

◇九州地方
高菜漬け…冬の始まりに浅漬け、終わりに古漬けに。ラーメンやチャーハンなどに薬味として入れる人気の漬物です。ごはんに巻いても、炒めてもおいしいですよ。


聴き逃しは1週間です。あなた好みの漬物は何ですか。

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2020年9月24日(木)放送より