好きから学ぶ

21/10/29まで

武内陶子のごごカフェ

放送日:2021/10/22

#インタビュー#ライフスタイル#学び#シゴト

14時台(前半)
21/10/29まで

14時台(前半)
21/10/29まで

14時台(後半)
21/10/29まで

14時台(後半)
21/10/29まで

秋は、趣味やスポーツなど、好きなことに没頭できる学びの季節。中には、趣味の領域を超えて、好きな事を仕事にして活躍されている方もいます。今回は、編集者でインタビュアーの沖中幸太郎さんと、探求心を育てる塾の代表、宝槻泰伸さんに「好きから学ぶ」についてお話をうかがいました。(聴き手:武内陶子アンカー)

【出演者】
沖中幸太郎さん(編集者・インタビュアー)
宝槻泰伸さん(塾代表)


<沖中幸太郎さんプロフィール>
1982年、広島県出身。作家、経営者、オリンピックアスリート、ノーベル賞受賞学者など、さまざまなジャンルで活躍する人物のライフヒストリーをまとめる編集者・インタビュアーとして活躍中。

<宝槻泰伸さんプロフィール>
1981年、東京都出身。高校中退後に大検を取得し京都大学に合格。大学卒業後に起業し、企業や大学等を対象に研修や講演会を主宰。2011年、探究心を育てることを目的とした塾を設立。子どもたちに“好きから学ぶ”魅力を伝えている。


――沖中さん自身も、好きなことが仕事になっていますか。

沖中: 私の場合、編集者として主に企業のコンテンツ制作を手がけてきましたが、その中で人物インタビューの記事コンテンツを作ることがあり、そこから気づきを得てインタビュアーの肩書でも仕事をするようになりました。好きで選んだ仕事というより、目の前のことをこなしていくうちに、好きだと気づき学んだともいえます。

――これからの時代「好きから学ぶ」ことが、もっと注目されたらいいなと考えているそうですね。

沖中: インターネットなどの技術革新がもたらしたのは、少数派が認められる “価値観の多様性” です。例えば、1000人のうち1人だけが好きな趣味があったとします。しかし、日本の人口から考えれば13万人、100人に1人なら130万人もいるわけで、これは立派な市場になり、世界相手ならさらに大きな市場になるのです。インターネットで少数派の市場やコミュニティ形成が容易になり「好き」を仕事に昇華する仕組みができたと感じています。「好き」という言葉からは「好き勝手」「楽」といったイメージがありますが、苦しさや挫折、失敗も決して無縁ではありません。人物インタビューを続ける中で、そうした逆境や失敗を乗り越え活躍する人に共通してみられたものが「好き」を原動力にして乗り越える姿でした。

好きの力で乗り越える

沖中: 主婦から特殊メイクの世界へ飛び込んだ江川悦子さんは、アメリカの映画館でたまたま見た人間がオオカミに変身していくシーンの特殊メイクに衝撃を受け「私のやりたいことはこれかもしれない!」と、興奮冷めやらぬままハリウッドの特殊メイクを学べる専門学校に進学しました。

――すごい勢いですね。

沖中: しかし、専門学校にいる外国人は少なく、言葉には苦労したそうです。実習は「見よう見まね」で何とかなるのですが、講義は専門用語が聞き取れず、授業を録音して、必死に取り組んだそうです。

――でも、それを仕事につなげることは大変ですよね。

沖中: 特殊な世界で、さらに外国人なので、そう簡単に仕事は見つかりませんでした。黙ったままでは仕事を得ることはできないと悟り、電話で直談判をしてまわったそうです。「熱意だけは誰にも負けない」と、あちこちのスタジオや個人の工房に乗り込みました。当時、特殊メイクの世界には、女性が少なかったこともあって珍しがられ、無給の実習生としてキャリアをスタートさせました。その後も、手先の器用さを認められ「ゴーストバスターズ」や「キャプテンEO」など、次々とプロジェクトに参加。日本の特殊メイク界を代表する女性になったんです。

――インタビュアーとして江川さんの姿を通して感じたことは何ですか。

沖中: 好きであればどんな壁も乗り越えられるということです。江川さんは「完璧なメイクができたらこの世界をやめるわ」と言い続けて40年ですがいまだにやめられない。常に「そのときのベストを」という気持ちでハードルを上げ「いずれ血となり肉となる日は、必ず来る」という心持ちでいます。大変なこともあるでしょうけど、それを楽しめるのも“好きが原動力”だからだと感じています。

憧れを力に変えて

沖中: 藤倉健雄さんは、1985年にパントマイム集団「カンジヤマ・マイム」を結成した人物。無口で白塗りの大道芸という常識を覆す“おしゃべりなパントマイム芸”が人気で、2012年から7年間「おかあさんといっしょ」の身体表現コーナー「パント!」で、マイムの振付指導を行っていました。

――藤倉さんは、どのようにパントマイムの道へ入っていったのですか。

沖中: 藤倉さんは、芸術分野とは無縁のご家庭に育ちました。実家は畳店で、店を継ぐ気がなかった藤倉さんは、親を説得して大学に進学。同時通訳者を目指していましたが、自身に合わないことがわかり目標を喪失。そんな藤倉さんの運命を大きく決定づけたのが、友人に誘われて観た世界的巨匠マルセル・マルソーのパントマイムでした。心の底から「こんな風に、人に驚きと感動を与えられる人間になりたい」と思ったそうです。

――憧れは見つかったけど、次はそれをどう学ぶかということですよね。

沖中: ニューヨーク州立大学でパントマイムを学ぶために、渡航費用と学費を貯め、英語の勉強もしました。

――学んだことは、日本で仕事に結びついたのですか。

沖中: 当時の日本ではまだパントマイムの認知度は低く、パントマイムだけをメインにやれる仕事はどこにもありませんでした。ある日、小劇場で司会をする永六輔さんの話芸に引き込まれました。「今のパントマイムにこの話芸のエッセンスが加われば最強だ」あふれんばかりの感激をハガキに書いて、永さんのマネージャーに渡し続けました。受け取る側の都合も気にせず、ただひたすら自分の思いをぶつけること1年半が過ぎたとき、永さんからハガキが届き、そこには「この次の舞台、45分間お任せしますから」それだけ書いてあったそうです。

――藤倉さんの情熱が伝わったのね。藤倉さんの姿を通して感じたことは何ですか。

沖中: 憧れは最大の原動力になるということ。道は下り坂や上り坂のままではない。調子のいい時もあれば悪い時もある。デコボコ道をあきらめずに進むことできたのは、最初に感じたパントマイムへの憧れを持ち続けていたからとおっしゃっていました。

探究心を育てる塾とは?

――ここからは宝槻恭信さんに伺います。宝槻さんは、塾を開いて子どもたちに教えていらっしゃるんですね。

宝槻: 塾といっても、勉強のやり方や問題の解き方を教えるいわゆる学習塾ではありません。「子どもの好奇心に火をつける」というテーマを掲げていて、例えば「なぜ恐竜は巨大化したのか?」「なぜ数学は生まれたのか?」というふうに、さまざまな問いを投げかけ、自ら考える力を養う動機づけを行っています。

――塾をやりたいと思った背景には、ご自身の少年時代の体験があったからだそうですね。

宝槻: 私の父が少し変わった教育方針の持ち主だったんです。「探究心に火がつけば子どもは自ら学び始める」という考え方の人で、漫画やアニメ、映画などを見て勉強しなさいと言われて育ちました。3人兄弟なんですけど、僕たちが学べそうな本や漫画を買い込み、テレビ番組やレンタルビデオなんかを学習教材の代わりに見せてくれたんです。漫画やアニメが、家庭教師みたいなものでした。NHKスペシャルとか大河ドラマは、本当にお世話になりました。

――どんなテレビを見ていたの?

宝槻: 父が近現代史を学ばせようと熱心だったので、歴史物はよく見せられましたね。例えば、学校だと歴史は、暗記 暗記で勉強が嫌になるんですけど、しっかりストーリー仕立てで見るテレビ番組や映画だと、面白くて興味をそそられるので、ついついのめり込んで、いつ、だれが、なぜそれをやったのか? いつの間にか覚えてしまう。知識というより、ストーリーを学ぶという感覚でしたね。

――宝槻さんは、好きから学ぶ意義って何だと思いますか。

宝槻: 例えば、映画「アポロ13」を見るとします。好きなことであれば、映画の背景まで考察したくなりますよね。アポロ計画が当時のアメリカでどんな意味を持っていたか? アポロ計画の背後にあるソビエト連邦との冷戦とは何なのか? という具合に次々と興味が湧いてくるわけです。好きなものであるほど、新しいものの見方や捉えかたを学べるということです。「好きから学ぶ」と言うと、やや不真面目な印象を持つ方もいるかもしれませんが、こういう考え方もありだと知っていただけたらうれしいです。

――子どもたちにそうなってもらうには、どうすればいいでしょう。

宝槻: 自分が“驚き、感動”したことを、そのまま子どもたちとシェアすることです。ただし、無理やりではなくタイミングをうかがうことも大切です。親御さんも根気がいりますけど、一度体験して味をしめたら、探求心はどんどん育まれていきます。

――私の世代も「好きなコト」を見つけてくれることを本当に望んでいます。好きなことが見つからない人にアドバイスありますか。

宝槻: 驚き、感動するのは子どもだけではありません。年をとっても変わりません。なので、ご年配の方々は、驚いたり感動したりするエモーショナルな時間を人生の中で大切にしてください。そして子どもや孫たちに「この世界に驚き、感動する人生であれ」と願って欲しいです。
沖中: 好きなことを増やそうとするより、やりたくないことを明確にしていくことではないでしょうか。 私は、嫌だと思った事を省いていく “消去法” で生きています。もちろん、最初から省くことはせずに、目の前の仕事や課題や困りごとを自分へのミッションだと思ってどんどんやってみる。それを続けていれば「好き」と仕事がつながると思っています。やっている時点では、どのようにつながるか分からないけど、後で見返すとつながっています。大切なのは、変化を恐れないことです。自分を見返す“人生の棚卸し”セルフインタビューも大切かもしれません。

【放送】
2021/10/22 「武内陶子のごごカフェ」

14時台(前半)
21/10/29まで

14時台(前半)
21/10/29まで

14時台(後半)
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14時台(後半)
21/10/29まで

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