萩原健太さん/シティポップを語る

21/04/19まで

武内陶子のごごカフェ

放送日:2021/04/12

#インタビュー#音楽#なつかしの名曲

14時台を聴く
21/04/19まで

1970~1980年代の日本で流行した「シティポップ」と呼ばれる音楽が、ここ数年、再び人気となっています。海外でも注目され、40年前に発売された楽曲がチャートの世界1位を記録するという現象も。今回は、シティポップの旗手たちと長年交流のある音楽評論家の萩原健太さんに、今なお評価され続ける珠玉の楽曲の魅力を語っていただきました。(聴き手:武内陶子アンカー)

【出演者】
萩原:萩原健太さん(音楽評論家)


<萩原健太さん プロフィール>
1956年、埼玉県出身。音楽評論家として数多くのライナーノーツを担当。また、プロデューサーとしても数多くのミュージシャンを手掛る。テレビ、ラジオのパーソナリティーも務め、数多くの著書も発表している。

シティポップ人気の背景

――いつごろからシティポップの人気が高まってきたのですか。

萩原: 1956年生まれの私が、10代後半から20代だった頃の音楽が、2010年代の終わりごろから少しずつ注目され、現在でもその流れが続いています。中でも、歌詞やサウンドに都会的な雰囲気が感じられる「シティポップ」に注目が集まっています。

――シティポップ人気再燃の背景とは。

萩原: 再人気の要因として大きいのは、インターネット上で音楽を配信する「ストリーミング」が広まったことだと思います。定額を支払えば、サイトにある音楽を聞き放題というサービスにより、新譜でなくても過去の楽曲が等しく扱われるようになったからでしょうね。そもそも「シティポップ」が注目されたきっかけは、2017年頃、竹内まりやの楽曲が、動画投稿サイトで配信され、海外のDJや音楽ファンの間で新鮮さをもって受け止められたからだと言われています。その流れで、前の時代の音楽が聴ける「配信サービス」で、他のアーティストも注目をされ、さらに人気が広がったと考えています。レコード、CDの時代は「今の時代に呼吸している音楽がいい」とされる雰囲気がありましたが、ネットにより40~50年前のものも掘り起こされて評価される時代になりました。これが、シティポップ再評価の流れだと思います。

萩原さんが注目するシティポップ

  • 1)ブレッド&バター「ピンク・シャドウ」(1974年)
萩原: ブレッド&バターは、神奈川県の湘南を本拠地に活動を続ける岩沢兄弟によるポップ・デュオ。いわゆる売れたいといった欲を感じさせないサウンドがとてもおしゃれだったんです。日本の町の風景というより、理想の町の景色を感じさせたのが新鮮でした。
  • 2)小坂忠「しらけちまうぜ」(1975年)
萩原: 小坂忠さんは、グループ・サウンズブーム末期の1968年にデビューしました。この曲が入ったアルバムは、細野晴臣、鈴木茂、林立夫、松任谷正隆らがバッキング演奏を担当しています。私自身、レコードのジャケットに書いてあるミュージシャンの名前を見て「当たりハズレ」を推し量っていたので、彼らバックミュージシャンの名前があると「当たり」と思っていました。彼らの演奏技術の高さも、シティポップが今でも受け入れられる一つの要因ではないでしょうか。
  • 3)松原みき「真夜中のドア~stay with me」(1979年)
萩原: バブル前夜の雰囲気が感じられる楽曲ですね。いいものを作り出そうとしていた時の翳(かげ)りのない感じが、ネガティブになりがちな今の時代に受けているのではないかと思います。

シティポップが生まれた背景

萩原: 当時、ロックもポップスも洋楽のクオリティが圧倒的に高かったんです。海外の重厚な音作りに対して、日本っぽさが残るサウンドを目指した人たちが多くいました。
  • 4)山下達郎「SPARKLE」(1982年)
萩原: 達郎さんも、70年代はヒットに恵まれませんでした。しかし、80年代の時代の流れと合致してヒットメーカーになりました。テレビコマーシャルの役割も多かったですね。

――ご本人はテレビに出ないけどコマーシャルで音楽が何度も流れて、お茶の間に浸透しましたね。

萩原: シティポップのレコード目当てでやってくる海外の観光客も多く、山下達郎のマニアが結構います。そして、当時のレコード盤にも注目が集まっています。

――CDや配信でなくレコード盤なんですね。

萩原: レコード盤の復刻という流れでも、ことし、注目されているのが、大瀧詠一の「A LONG VACATION」です。ことしは発売から40周年ということで記念盤も発売されました。おしゃれなジャケットですよね。
  • 5)大瀧詠一「雨のウェンズデイ」(1981年)
萩原: 達郎さん、大瀧さんのアルバムに加え、松田聖子さんの「Pineapple」が、当時の大学生にとっての三種の神器でした。ドライブデートには必ずといっていいほどみんなかけていましたね(笑)。
  • 6)土岐麻子「Rendez-vous in '58 (sings with Bakarhythm)」(2021年)
萩原: シティポップ全盛期の80年代をテーマにした曲です。コーラスは、お笑いタレントのバカリズムさん。おふたりは同い年で、この時代への憧れがあるそうです。土岐さんのお父さん(土岐英史)は、達郎さんのバックでサックスを演奏されていました。彼女は小さい頃からシティポップに囲まれていたんですよ。

――シティポップは心がワクワク踊りますね。

萩原: いつの時代に聴いても楽しいですよね。シティポップに影響を受けて、音楽を作っているアーティストはたくさんいるので、これを機にいろいろ聴いてみてくださいね。

【放送】
2021/04/12 「武内陶子のごごカフェ」

14時台を聴く
21/04/19まで

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