【出演者】
松村邦洋さん
堀口茉純さん
川久保秀一さん


2023年10月1日(日)放送の<DJ日本史>、テーマは「あの偉人の、一見おかしなマイルール」。
歴史上の偉人の中には、「えっ、なんで?」と思ってしまうちょっと変わった決まりをかたくなに守った人物がいましたが、その人なりの事情があったり、時代背景も影響していたりしたようです。一見おかしなマイルールは、なぜ生まれたのか? そのウラ事情から歴史をひもといていきました。

来年の大河ドラマ「光る君へ」の主人公、紫式部(むらさきしきぶ)のマイルールとは、「人前で漢字は書かない!」。

もちろん、漢字を知らなかったというわけではありません。むしろ紫式部は幼い頃から頭がよく、漢字で書かれた書物をたくさん読んでいました。
では紫式部はなぜ、漢字を知らないフリをしていたのでしょうか?


「紫式部日記」の中に、こんなエピソードが書かれています。

あるときのこと。帝(みかど)が紫式部の源氏物語を楽しみながら、こんなことを言いました。
「この作者はきっと、日本書紀を読んでいるね。本当に学識がある」
すると、この何気ない帝のひと言が波乱を巻き起こしてしまいます。
帝の言葉を聞いた女官の一人が嫌みたっぷり、宮中でこう言いふらしたのです。
「あの紫式部という人は、たいそう学識を鼻にかけているのよ」
実はこの女官、以前から紫式部のことを快く思わず陰口を言い続けてきた人でした。
このときも帝の言葉をすくいとって、あてこすりしてきたわけです。

これに紫式部は激怒。日記にこう、ぶちまけます。
「私は実家にいるときでさえ、人前で漢字の書物を読んだりしない。ましてや宮中で学識をひけらかしなんて、絶対しない!」

実はこの当時、漢籍の教養=漢字で書かれた書物の知識は男性のもの、とされていました。女性が漢籍にふれるのははばかられること。
ですから紫式部も、漢字の読み書きができることを日頃からひた隠しにしてきたのです。

そんな紫式部、日記にこう記しています。
「一といふ文字をだに書き渡しはべらず」
つまり、漢字の「一」という文字さえ書いてみせたりしない、学識は決して表に出さない。
これが、紫式部のマイルールだったわけですね。

<2024年 大河ドラマ「光る君へ」 PR情報はこちら>

DJ日本史「あの偉人の、一見おかしなマイルール」②