【出演者】
松村邦洋さん
堀口茉純さん
川久保秀一さん


2023年9月3日(日)放送の<DJ日本史>、テーマは『大きな敵に勝つ極意』。歴史上には、小さな勢力が圧倒的に大きな勢力を打ち負かすことがありました。強大な敵を前に、彼らはどんな心構えで戦いに臨んだのか? どのような策を講じたのか? 大きな敵に勝つ秘けつを歴史から探っていきました。

小が大を制する極意は大事ですが、一番確実な方法は自分の勢力を大きくすることですよね。
ここでは、わずかな期間で一大勢力を築いた人物について見ていきましょう。
ご紹介するのは江戸時代後期の剣豪、千葉周作(ちば・しゅうさく)です。

千葉周作は「北辰一刀流」という流派の創始者で、その道場をわずか一代で門弟3,600人を誇る江戸最大の道場に成長させた人物です。
この時代はさまざまな剣の流派が他流試合を盛んに行い、しのぎを削った頃。そんな中で千葉周作がぬきんでた理由、剣の腕が優れていたのはもちろんですが、それだけではなかったようです。


まだ20代半ばだった頃の千葉周作が、諸国を巡る武者修行の旅に出ていたときのこと。試合を申し入れてきた2人の男と勝負したことがありました。
試合が始まるとさすがは千葉周作、力任せの2人を完全に圧倒! 相手が自分から負けを認めるまで、徹底的に打ちのめしました。

で、千葉周作がすごいのは実はここから。
試合が終わるや相手を座敷に呼んで、こう言ったのです。
「いやいや、ご無礼つかまつった。お二人の技、実にすばらしい。うらやましい限りでござる」
なんと、たたきのめした相手を褒め上げたのです。

後に千葉周作は、こう書いています。
「勝負のときは、虎や狼の心になれ。しかし勝負後は、穏やかな言葉で礼を尽くすのだ。さすれば相手は、心の底からひれ伏すことになる」

千葉周作が北辰一刀流の道場を江戸最大に出来たわけ。それは、勝負の「後」にあったのかもしれませんね。

DJ日本史「大きな敵に勝つ極意」①

DJ日本史「大きな敵に勝つ極意」②